とある古戦場に咲く夜桜.いつ誰がどのような目的で植えたのか ?
古来より日本人にとって "花" といえば "桜" を指す.
その美しさ,その儚さ.どんなに栄華を誇ろうとも,雨一つ,風一つで散っていってしまう.
色は匂へど 散りぬるを
我が世 誰ぞ 常ならぬ
有為の奥山 今日越えて
浅き夢見じ 酔ひもせず
仏教思想色濃い "いろは歌".いつの間にか日本人のものになってしまっている.
一方,夏の花火も日本人は大好きである.一瞬大きな花のように咲き誇り,音と火花の余韻を残し散っていく.美しさと儚さとの両方を堪能できるからだろうか ?
桜の花は,戦国時代の死者を弔うためにもよく植えられたという.
桜の花があんなに赤いのは,死者の血を吸っているからだという.そんな詩が数多く存在するが,そんな名残からであろうか ?
こんな話をすると,"じゃぁ,桜の下で花見をしてたらやばいんだ ?!"
などど言う人もいるが,わたしの答えは 否 ! である.
わたしたちは今 "生" を受け,それを今が盛りと楽しんでいる.やがては散りゆく身である.そんな儚い身なのである.ただ,風の吹く前の塵と同じ.
桜の木の下に眠り,その血を桜に与え咲いている霊も,仲間なのだ.