幽霊と妖怪の違いがよく議論となる.
幽霊,お化け,妖怪,もののけ,その違いは何だろう ?
わたしは言いたい,昔の人々は格別に区別していただろうか ?
全てのものに魂が宿っている.大切に扱えば恩返しをしてくれるし,粗末に扱えば祟られる.人もものも同じ.
現代の視点で当時を斬ってもしかたがない.用語に対する正確な定義,それこそ現代的な観点に立ったものだ.昔の人々はそんなことの区別が必要だったとは考えられない.当時の人々がどういう感覚でそれらの言葉を使っていたのかということに焦点を絞るべきである.
百万都市,徳川幕府下の江戸.同時代の百万都市,ロンドンやパリなどでは既に川の汚染が始まっていたのに対し,江戸は大リサイクル都市であった.古びた衣類や瀬戸物,人糞などもリサイクルされ,そのための業者がいたことも知られている."てめぇのところで糞してやるもんか !" というのが江戸っ子の捨て台詞.糞もまた大家の大事な収入源であったのである.隅田川は透き通ったままであった.
"自然に優しく" とか環境問題などを考えて当時の人々が考えたであろうか ? そうは思わない.ものの全てに命が宿っていることを想像し,祟りを恐れた.その気持ちがそうさせたのだろう.
"どうして人を殺してはいけないのですか ?" とある生放送のニュース番組内のある少年からのその疑問に誰も答えられなかったことが話題になった.人を律するのは宗教か法律である.現代的に,理性的に判断するとそうなる.宗教と法律,どちらにも曖昧な現代の日本の治安が悪化していくのが不思議ではない.しかし,それだけだろうか ?
わたしの場合,悪いことをすると母親が悲しむ.だれそれが悲しむ.それが悪いことをしない理由だった.大人になった今でも似たようなもんだ.
けして法律をないがしろにするつもりはない."予め 決められたことを守る" これは重要なことである.
法律や宗教に曖昧でも,日本はかつて,リサイクル百万都市 "江戸" を形成した.
現代において "環境に優しい" ことを主張する人は,そうしない人を軽蔑している.人と人の間に摩擦を生んでいる."怒る" ことだけなら誰にでもできる.できるだけ自主的に気持ちよく,そうさせるよう工夫すべきであるのに.
善だの悪だの,社会悪だの,えぇい,うるさい.日本人には日本人の立派な価値観があるわい ! 西洋人の合理的な,かつ博愛主義とは違うかもしれない.しかしながら,日本人には余りなじまない法律やら善と悪の概念などを振り回しても付け焼き刃.それよりも,日本人になじみ深い,妖怪に登場させてはいかがか ?
かなり前,政府は独自の CM として "もったいないお化け" を登場させた.今こそ,再登場の時か ? 今こそ,ユーモアを絡めながら,リサイクルに妖怪に一役を買わせてはいかがか ?