狙って行ったわけではない.たまたま,仕事でこの近所に仕事に行った際,偶然,見つけた.
ここにある説明によれば,"この坂を帯坂といいます.名称は歌舞伎で有名な番長皿屋敷の旗本,青山播磨の腰元お菊が,髪をふり乱し帯をひきずってにげたという伝説によります.また一名切通し坂ともいわれたのは,寛永年間 (一六二四~一六四三) 外堀普請の後に市ヶ谷御門へ抜ける道として切り通されたのでその名がつげられたといいます."
江戸時代には,"忠臣蔵" と "四谷怪談" の超人気の二本立てであったと言われている.
歌舞伎の設定というのがミソかも知れない.あの著名な怪談,"四谷怪談" でも,そのモデルとなったお岩さんは実在したらしいが,話の内容は,むしろモデルのお岩さんよりも,脚本家である鶴屋南北の方が自身の政略結婚したことがモデルになったと言われている.
また,別の説で,お菊 "スパイ説" も聞いたことがある.当時としては,女中が主人の大事な皿を割ってお手討ちにあっても何ら不思議はない.青山播磨に謀反の疑いあり.お菊はその実情を探るスパイだったというのだ.青山氏はお菊をスパイと疑い,皿を割ったことを口実に切った.
さらにはまた,やはり謀反の疑いで青山氏を成敗したのだが,無用の動揺を防ぐため,お菊の呪いとしたのかも知れない.
似たような話で,松尾芭蕉,"スパイ説" もある.その根拠として,芭蕉の出身地が "忍びの里" として有名な伊賀であること.老人の割に元気であること.陸奥の地など各地を旅したが,その各地で有力な人々と会っていることがあげられる.
お菊がもし,隠密だとすれば,時代劇 "隠密同心" にて,"隠密同心 心得の条 死して屍拾うものなし!" を思い出してしまう.
一方,お菊が皿を割った理由として,男女のもつれ合い,青山播磨に対し,"お皿とわたしとどっちが大事なの ?" と迫り,割ってしまった話もある.