わたしはこの近隣地域に住んでいるが,幼少の頃,"すいじんさん" と呼んでいた記憶がある.このあたりは中学校のマラソンコース上にあり,この程十五年ぶりに訪れたことになる.
ずいぶんと変わったものであるという印象である.マラソンコースの下見に来て,ここを管理しているおばさんと何か話した記憶がある.当時はこんなに立派な社ではなかったように思う.それよりも,当時このすぐ下の方に,荒れ果てた家があって,そこの方が怖かった.自殺して今は誰もいない などという噂が少年たちの間にまことしやかに囁かれたものだった.
いわゆる地元民と言っていい立場だが,ここが心霊の名所と言われたような記憶はない.夜行くと,木々の間を何かが飛び交ういう噂もあるらしいが,たぶん野生の猿ではないのか ? この下流に桃沢キャンプ場があるが,少年の頃,そこで野生の猿の群を見たことがある.また,このすぐ近隣に知人からは,早朝,猿が山から下りてきて,民家のゴミ箱を漁るという話を聞く.
日竜上人という方が明治初年に訪れたのが最初というので,歴史的にはそう古くはない.もしかすると,これが建つ以前の方が怖かったのではないのか ? 何かを封印する目的で建てられたのではないか ? などという邪推もしてみたくなる.
八代竜王を奉るといい,漁協関係者の信仰が厚いと言うが,何故,このような山奥に,という気もする.