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Twilight

黄昏

昼間の光が衰え,夜の影がとってかわろうとするとき,何者かの息づかいが聞こえたりはしないか ?

黄昏の語源は,"誰ぞ彼" という.その他,"かたはれどき" という地方もあるらしいが,これも "彼は誰" を語源とするらしい.

知っている人間が知らない人間に見えたりすることもあるという.昔の人は,"麻" の着物を着ていたから,余計に判別しにくかったと思う.

幽霊は丑三つ時に出ると言うが,化け物はこの "逢魔が時" に現れるという.海外のミステリー系ドラマで確か "トワイライト・ゾーン" というのがあったが,海外でもこの時間帯に昔の人は何かを感じていたかも知れない.

一説によれば,昔の日本人感覚では,いわゆる奇形児は何かの祟りかと考えられていた.だから,隠した.でも,夕刻が訪れたとき,普通の子供達はいち早く家へ帰した."人さらいが来るぞ" とか,何とか言って.そしてその後に,昼間は,同じ年頃の子供達が遊ぶ様子を家の中からのぞいていた子供達が,外へ飛び出していくのだ.

だが,たまに言うことを聞かない子供が家に帰らず,見知らぬ子供に出くわす.ある者は驚いて逃げるが,中には剛気な者や好奇心旺盛な子供がいて,友達になったりする.

"おいら,昨日,河童と遊んだんだぜぃ !" ,"へぇ,すげぇ" ということになる.

そういう話もある.

迷信...その通りだ.だが,それにほんの少し抗う優しさがあったに違いない.よくある昔話.急に降った雨,偶然雨宿りのために立ち寄った寺院で,一つ目小僧が茶を持ってきた...きっと哀れな我が子をお寺さんに預けたのだろう.

2008.3.16 追記

"鳥山石燕 画面百鬼夜行全画集", 鳥山石燕, 2005年, 角川出版によれば

逢魔時 (おうまがまとき)

黄昏 (たそがれ) をいふ.百魅 (ひゃくみ) の生 (せう) ずる時なり.世俗小児 (せぞくせうに) を外にいだすことを事を禁 (いまし) む.一説 (せつ) に王莽時 (おうもがとき) とかけり.これは王莽前漢 (おうもうぜんかん) の代を簒 (うば) ひしかど,程なく後漢 (ごかん) の代となりし故,昼夜 (もうや) のさかひを両漢 (りょうかん) の間に比 (ひ) してかくいうをならん.

子供を外に出して遊ばせてはならないのは,共通だ.そして,この時間こそ,魔に逢う時なのだ.


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