甘いものなページ


甘いものに関する雑感を幾つか徒然なるままに。

●ケーキング
●クレープ
●シェイク
●ババロア


●ケーキング

「バイキング形式」という、 北欧方面に非常に失礼な食事形態がありますが、 「食べ放題」という言葉に弱い貧乏人は多いもので、 かくいう私もそんな一人です。 中でも「ケーキバイキング」となると目の色が変わったりしてしまうのですが、 「ケーキング」とはその「ケーキバイキング」の略称です。
私が勝手につけました、はい。

ああいうところは女性の比率が高くてなかなか近寄りがたいものがあったりして、 中には「男性お断り」なんていう非常に男女差別的なシステムもありますから、 男性の方では余りケーキングを堪能された方はいないかも知れません。
古来、 甘いものは「女子供の食べるもの」という偏見が植え付けられてしまった日本では、 男で甘いもの好き、という嗜好は虐げられ続けているのですが、 実際「みんなでケーキ食いにいかない?」 などと呼びかけてみると予想外の反響があったりして、 実は潜在的には男女関係無くニーズのあるものなんじゃないかと私は思ってます。

そんな恨みつらみはさておき、ケーキングの魅力について。 喫茶店でケーキセットなんかを食べる時、 まず「どのケーキにしよう」という時点で非常に迷い、 更に隣のテーブルのケーキを見て「あっちの方がおいしそう」と後悔し、 最後には「全部食べられたら良かったのに」と残念がることってありません?
これって、決して「沢山食べたい」じゃなくて、 私の場合飽くまでも「全部食べたい」なんですよね。

料理のバリエーションと比べると、 ケーキのバリエーションってのは、 豊富な割には食べたことのないものが多いんじゃないでしょうか。 見た目と実際の味わいのギャップが大きいものも多く、 沢山あるケーキの中から、 自分が本当に美味しいと思えるものを選ぶのは難しいんですよね。
ですから、まず「全部食べたい」。 そしてその中から一番美味しいものを改めて評価したい。 そのためにはやはり「ケーキング」なのです。

そんな私がケーキングに目覚めたのは、 千里中央にある「アンジェリカ」というお店でした。
そこは「千里ライフサイエンスセンタビル」という、 バブル時代の落とし児である高層ビルの 1F ロビーにありました。 「jus 関西 UNIX 研究会」という、 日本 UNIX ユーザ会の開催するセミナーがこのビルの最上階で開かれるので、 それに出席するためにこの店の前をちょくちょく通っていたのです。

ここは「2 名様以上でお願いします」という断り書きが書かれていたため、 いつも単独でセミナーに出席していた私にはなかなか入れなかったのですが、 ある時、同じセミナーに来ている有志を誘って入ってみました。
元々はティーラウンジで紅茶がメインのお店なのですが、 ここのケーキングはバリエーションが豊富で、 尚且つ箸休めにパスタやサンドウィッチもついてくるという至れり尽せりの構成でした。
それ以来、他のケーキングにも色々足を運びましたが、 総合得点でここのケーキングを上回るものには出会ったことがありません。 ケーキはおいしいけどしつこ過ぎるとか、 味の割に値段が高過ぎるとか、 そもそもケーキが美味しくないとか、 どこも一長一短あって、総合的には「アンジェリカ」を上回りませんでした。

しかし、残念なことに、1999 年 4 月いっぱいをもって、 「アンジェリカ」は閉店してしまいました。 本当に惜しいことをしました。
一説によると、 私たちがハイエナのように群がってケーキを食いまくったからだとも言われてますが、実際私が行ったのは 4,5 回しかないんですよね。 こんなことならもっと足しげく通っておくんでした。


●クレープ

「クレープ」というフランス菓子があります。 薄焼きパンケーキに色んな種類のトッピングを施して食べます。 15 年くらい前に流行して今では余り見なくなりましたが、 私はこのクレープがことの他好きなんです。

初めてクレープを食べたのは、 渋谷公園通りにあった「マリオンクレープ」でした。 当時、大学受験のために上京していた田舎者の私にとっては、 何とも新鮮な味わいでした。
クレープと言うと、 生クリームやチョコチップといった甘系のトッピングを想像しがちですが、 私の好きなのは「クリームチーズ」です。 と言っても、レアチーズケーキに使うあのクリームチーズではなく、 「マリオンクレープ」のそれはプロセスチーズをバターで延ばしたタイプの、 いわゆる「塗るチーズ」です。

クレープの何が美味しいって、 あの薄く焼いた皮が美味しい訳です。 トッピングなんて基本的にはパフェやサンデーに入ってるものばかりで、 特にこれと言って特色がある訳ではありません。
クレープをクレープたらしめているのは、 やはり薄くて香ばしいあの皮であって、 その皮を一番美味しく味わえるのは「クリームチーズ」に他ならないと、 私は常々思っています。
んー、昔から何故か薄い食べ物って好きなんですよね。 錦糸卵もスライスチーズも好きだし、 カマボコの板に最後に残った薄皮をこそぎ取って食べるのも好きだし、 ああして薄くすることで何か味の成分が変わるんじゃないかとまで思ったりもします。

それはさておき、マリオンクレープのクリームチーズ。 ところがこの「クリームチーズ」というトッピングは余り一般的ではありません。
まず、「クレープは甘系トッピング」という固定観念からか、 シーチキンやサラダといった甘系以外のトッピングの一切ないお店が結構多い。 これはまず論外ですね。 甘系のトッピングはそれはそれでいいんですが、 わざわざクレープを食べようって時には最適ではないのです。 少なくとも私にとってはね。
「チーズ」というメニュー項目があるお店は割と良くあります。 でも、その殆どはスライスチーズだったり固形チーズだったりして、 私の望む「クリームチーズ」ではありません。 固形のチーズじゃ駄目なんですよ。 あの薄皮との親和性を考えると、 あのゾル状のドロっとした食感が不可欠なのです。
たまに「クリームチーズ」と書かれたメニューを持つお店もあります。 しかし、半数くらいは本当のクリームチーズ、 即ちレアチーズケーキ用のクリームチーズのことなんです。 あれは加工して食べる分にはいいのですが、 クレープに包んで食べると酸っぱくて私の口には合いません。
という訳で、 私は「クリームチーズ」のクレープ屋さんを探しているのです。

渋谷の「マリオンクレープ」は、 その後本店を原宿の竹下通りに移動しました。 ラフォーレの脇の辺りにもチェーン店をオープンしています。
でも、原宿ってオノボリさんとガキんちょの街なので、 クレープをわざわざ食べに行く以外には行く機会がありません。 新宿辺りにあればいいのにと思っていたところ、 三越の脇に「三銃士」というクレープ屋さんを見つけました。
ところがこの「三銃士」。 気がついたらあっという間に店を畳んでしまい、 以来私はクレープ屋さん探しを続けることになるのです。 その後、さくらや新宿東口店の隣、ALTA 地下 1F と、 苦労して何度か「クリームチーズ」のクレープ屋さんを見つけるのですが、 何年か経つと店を閉めてしまいます。 この時代、クレープなんて売れないんでしょうかね。

最近は、私が最初に出会った「マリオンクレープ」そのものが、 TAITO と提携して全国拡大チェーン化していますので、 割とあちこちで見られるようになりました。 靖国通りの TAITO ゲームセンターの脇にもあって、 私は上京する度にそこに足を運んでいましたが、 最近 (99/12/23) ようやく京都にも進出してきました。
ただ、本家の「マリオンクレープ」ではロルフというメーカのチーズを使っているのですが、 これが関東近辺以外では入手しづらいため、 京都 (京阪伏見桃山駅前にあります) では他のメーカのものを使っているようです。 これがロルフのに比べるとちょっと酸っぱいんですよね。
おいしいものを求める道は険しいようです。


●シェイク

日本に初めてマクドナルドが出来た頃、 あのアメリカナイズされた食べ物と店構えには、 子供心に大きな衝撃を受けました。 中でも、あの「マックシェイク」なる謎の飲み物、あれにはビビりました。
ソフトクリームを作るのに失敗したようなあのドロドロの液体を、 よせばいいのに寄りによってわざわざストローで吸込むという、 何とも不思議な飲み物なんですが、実は私はあれには一家言あるのです。

ソフトクリームには皆さん馴染みがあると思いますが、 巷のソフトクリームには大別して二種類の食感があるのをご存知でしょうか? 冷やし方や水分含量によって、 ジャリジャリした食感のものとツルツルした食感のものがあります。
あのジャリジャリの正体は実は単なる氷なのですが、 あれがないと全体的に糊のようなベトベト感がして、 私は余り好きになれません。
そう、何を言わんとしているのかもうお判りですね? 「マックシェイク」のあの食感は正にその「糊」なんですよ。

ソフトクリームに二種類の食感があるのならば、 シェイクにも同じように「ジャリジャリ」があってもおかしくないと思います。 という訳で、私の好きなのは「ジャリジャリ」のシェイクなんです。
ところが、 この「ジャリジャリ」シェイク、そう簡単には見つかりません。 マクドナルド、ロッテリア、モスバーガー、ミスタードーナツ等、 大手のファストフードのシェイクはまず「糊」です。 「糊」系のシェイクは食感がどうのと言う以前に吸引力を要するので飲みにくいんですよね。これはいただけません。
実は、大手のファストフードでも唯一「ジャリジャリ」系のシェイクがありました。 「森永ラブ」です。 ここのシェイクは正にあの「ジャリジャリ」ソフトクリームの食感で、 ストローでも吸い易いし食感も申し分ありませんでした。
しかし、現在森永ラブは存在しません。 親会社の森永がファストフードからの撤退を決めてしまったため、 森永お膝元の田町店を最後に国内全ての店舗を閉めてしまいました。 テナント契約の仲介をしていた代理店の兼合いで、 その後にはバーガーキングになったテナントが多いのですが、 当然のことながらバーガーキングのシェイクは「ジャリジャリ」系ではありません。
かくして、 私は「ジャリジャリ」シェイクを探し続けることになったのでした。

最後に、 家庭で出来る簡単な「ジャリジャリ」シェイクの作り方をお教えしておきましょう。
まずは、バニラアイスクリームを買って来ます。 と言っても、「ラクトアイス」と書いてある偽物ではなくて、 本物のバニラアイスにしましょう。 どの銘柄が良いかは実際に色々試すしかないのですが、 なるべく高そうな本物っぽいものを選んで下さい。
持って帰ったら、一旦封を開けてから冷凍庫で保存します。 一旦封を開けることで外気が容器の中に混入し、 アイスクリームが霜に包まれます。これがミソ。 出来れば小分けして保存した方が霜が多くつくと思います。 また、塩梅が難しいのですが、 ちょっと溶けかけたものを再度凍らせるのもほど良いジャリジャリ感を生みます。
一昼夜十分寝かせたら、 ミキサーに牛乳と一緒に入れます。 牛乳はかき混ぜやすくするためだけの存在ですので、 そんなに多く入れる必要はありません。 アイスクリームの 1/10 くらいでしょうか? お好みにより、果物やジャム、チョコクリーム等で味付けします。 ヨーグルト用に売られているシロップなんかも良いでしょう。 かき氷用シロップは駄目です。 あれは合成添加物の味が濃過ぎるので、シェイクには合いません。
あとはミキサーで一気にかき混ぜるだけです。 アイスクリームが冷たいうちにかき混ぜないと「シェイク」ではなくて単なる「ジュース」になってしまいますので気をつけましょう。 ジャリジャリ感を出すためには、 一昼夜と言わず一週間くらい十分置いた方がより適切ですね。


●ババロア

実は、 私が一番好きなデザートはババロアというフランス菓子です。 簡単に言うと、生クリームと卵をゼラチンで固めたものですが、 プリンとゼリーの食感を合わせたような何とも言えない味わいがあります。
ところが、 このババロアも余り手に入りません。 ケーキの中に入っているものなら良くあるんですが、 私の欲しいのは単体のそれもプレーンなババロアなのです。

ケーキ屋さんでババロアを買ってくると、 ケーキの中に入っていないまでも、 ババロア単体ではなく「ババロア・ア・ラ・モード」状態に様々なトッピングをされてしまうのが常です。 既にババロアの中に含まれている筈の生クリームまでトッピングされていることも多いですね。
ババロアの魅力は、 何と言ってもあの舌触りや食感にあります。 あれを十分に味わうためには、 余計なもの何もなしでプレーンなババロアでなくてはなりません。 生クリームや卵の味というのはそんなに強くありませんから、 トッピングによって完全に殺されてしまうのです。 トッピングはせいぜいジャムやシロップ程度までにすべきでしょう。

以前、 そういったプレーンババロアを食べさせてくれるお店を、 新宿 ALTA 地下に一軒見つけたのですが、 気がついたら潰れてしまっていました。残念。 ここではプレーンババロアに各種シロップをかけて出してくれていましたが、 本来はワッフルのお店だったようです。 どこかで同じようなお店を見つけた方がいらっしゃったらご一報下さい。
ババロアなんてものは本来家庭料理ですから、 プリンやヨーグルトみたいにスーパーのデザートコーナーで売られてても良さそうな気がするんですが、 何故かどこのメーカも作ってないようです。 以前、森永がプレーンババロアを出してたんですが、 何故かすぐに生産中止してしまいました。 ラブの一件と言い、根性が足らん!と渇を入れたくなってしまいますね。

どうしても駄目なら、 やはり家庭で作るしかありません。 と言ってもババロアの作り方なんてそんなに難しいものではなく、 単にホイップした生クリームと卵黄を混ぜて、 湯煎で溶いたゼラチンを加えて冷蔵庫で冷やすだけです。 味付けは、砂糖とバニラエッセンス、 隠し味にリキュール程度でいいでしょう。 甘いもの好きなら常備食ばかりですよね。
余った卵白はもったいないのでメレンゲにでもして使い切っちゃいましょう。 フライパンで焼くとメレンゲだけでもちょっとしたデザートになります。


戻る