[FDclone3 運用に関する管理者の方へのお願い] 1.FDclone の運用ポリシー  FDclone は初心者用汎用ツールを目指して作られましたが、その 目的とするところは飽くまでも「UNIX から初心者ユーザへの歩み 寄り」です。  つまり、初心者にとって、取っつきの悪い OS であるとの不評を 一部で買ってしまうようなインタフェースしか用意されていないと いう現状を鑑み、初心者ユーザでも簡単に UNIX に触れて貰い、そ の管理者にとっては、初心者の対応に忙殺されなくて済むように、 ということを主眼に置きました。  FDclone の最初のリリース以降、様々な場でその反応を耳にする ことがあるのですが、実際の運用では上記のようなポリシーは必ず しも守られていないと感じることが多々あります。  それらの中で、運用上最もタチの悪い部類に属すると思われるの が、「新米 root による FDclone を用いたシステム管理」です。  FDclone は飽くまでもエンドユーザのためのツールです。  root たる者、新米と言えど、ちゃんと UNIX の世界に慣れて欲 しいというのが作者の持つポリシーです。  日々の管理で FDclone に慣れてしまうと、事故の際の特殊な処 理や shell programming 等のスキルを高めることができなくなっ てしまうという弊害があります。  加えて、最も問題なのがセキュリティです。誤操作による被害の 及ぶ範囲が大きいというリスクだけでなく、FDclone 内での操作は 後で追跡しにくいという問題もあります。  しかし、それでも尚 root での作業を行なうというのであれば、 少なくともログを残すようにして欲しいと思います。  FDclone にはログを残す機能が実装されており、ファイルだけで なく syslogd(8) にもログを出力できます。特に root 時のログレ ベルは独立して設定できるようになっています。  /etc/fd2rc でこのログ設定をしておき、尚且つそれらの設定変 数を readonly 属性にしておけば、FDclone 起動後に設定変更によ りログを回避することができなくなります。  こういった、root ならではの問題点に対し、きちんと問題意識 を持って頂き、安易に root 権限で FDclone を起動することがな いよう、UNIX 管理者としての道を歩んで貰いたいと思います。 2.エンドユーザの管理  FDclone は初心者用ツールですが、各環境での初心者教育に関し ての責任までは負いかねます。  FDclone をインストールした管理者の方は、その運用環境に於い て最低限の責任を負い、エンドユーザが正しく FDclone を扱える ように、UNIX の学習も含めて教育啓蒙していく必要があると考え ます。  FDclone は飽くまでも単なるツールです。  FDclone のインストールに際しては、エンドユーザに特殊な知識 がなくても FDclone を活用していけるような環境作りが必要でし ょう。  それは、/etc/fd2rc での自己の環境に特化した設定を熟考する というだけでなく、マニュアルや FAQ の参照方法などに関しても、 「初心者に優しい」環境作りを目指して下さい。  そのためには、FDclone をインストールした管理者の方は、UNIX 管理者としての最低限の知識を持っていなくてはならないと考えま す。  エンドユーザが FDclone を快適に使いこなしていくためのサポ ートは、各管理者の仕事であると思います。FDclone にツール以上 のものを期待して、初心者教育やサポートを怠らないように努めて いって欲しいと思います。  少なくとも、エンドユーザの苦情や質問が、直接作者まで来るよ うなことは避けて下さい。  FDclone に特化した件ならともかく、UNIX 一般の質問 mail が 作者宛で幾つか来ています。FDclone のパッケージには、FDclone に関する FAQ は設けていますが、UNIX 全般に渡る FAQ はとても 用意できません。  また、FDclone に関する問い合わせにしても、エンドユーザから 直接作者宛に頂いてしまうと、エンドユーザの UNIX 知識を補うた めの説明に手間がかかり、なかなかサポートし切れなくなってしま います。  FDclone の運用に関しては、基本的にその運用環境内の管理者が 管理して貰い、作者でないと手に負えない問題だけ作者宛に送って 頂くという運用形態を推奨させて頂きます。 3.FDclone の保証範囲  FDclone は無保証です。商用で販売されているものと異なり、万 全のチェックを行なっているとは申し上げにくいのが実状です。  特に Ver. 1.03 以降の開発にあたっては、作者の個人的事情に より、開発環境が著しく乏しいものとなってしまっています。現在 の作者は、UNIX 管理者でもありませんし root 権限すら持ち合わ せていない単なるエンドユーザです。  このような環境下で、FDclone の開発を続けることはそもそも無 理があったのですが、一部の方々の根強い支持もあり、時間をかけ ながらも開発を続けさせて頂きました。  UNIX wizard の方々から見れば、まだまだ稚拙な実装もあり、ま た場合によってはセキュリティホールも残っているかも知れません。 もしそういった点に不安を抱かれるのであれば、FDclone はその不 安を払拭できるだけの信頼性を保持しておりません。  逆に申し上げるならば、そこまでの信頼性を期待される方には、 ご自身でより安全で信用できるツールを作られることをご提案差し 上げます。  FDclone は UNIX に精通したエンジニアの手によるものではなく、 一介のゲームデザイナーが仕事の片手間に趣味で作ったツールに過 ぎません。  その点を考慮の上、FDclone に過大な期待を抱かないよう、お願 い申し上げます。