詩 |
長い長い時間を掛けて、雫が一滴 静寂を破って音が響く 音とはこんなものだったんだ 輪が広がり どこまでもどこまでも広がり 無限の彼方で静まりかえる またしばらく 静寂 静けさが積み重なり 次の雫が徐々に成熟して また一つの世界が破れるとき 1秒に凝縮された宇宙を そこに見る 努力するのは秀才 突き抜けてるのは天才 でも、努力の天才ってのもいる 努力が楽しくて苦にならない そんな才能 努力の天才は、何でもできる 努力の天才は、自分を知らない そして本当は、 最初から天才なんて人はいない 上を見ればきりがなく 下を見てもきりがない 空か海か人の中か 浮いてるんだから 浮いていればいい お隣さんを見て 背伸びしてみても 浮いているんじゃ 意味がない 上を見て憧れて 下を見て馬鹿にして 横を見て嫉妬して 自分の背丈は分からない 自分を映す鏡を探して 浮遊の生を浮遊する 歪んだ鏡に怒り喜び 平らな鏡に背を向ける 空か海か人の中か 浮いてるんだから 浮いていればいい 人の生は、砂時計のくびれを見るようなもの 細い認識の管に歯車を取りつけて おのれの証を立てようとする 大きな歯車はろくに動かず 小さな歯車はよく壊れ 砂が何処より来て何処へゆくか 残された砂はどれほどか 小さな目にはつらすぎる つかえては悩み 通っては悔恨し 形の違う時の断片に ひと粒つぶの夢を見る 神の気まぐれで始まった生の 微分面だけが色をもつ 世界の深さを色は知らず 世界の理由を砂は知らず 風が指を奪う 風が頬を奪う 体の芯で心が燃えて いつもの遠い過去がやってくる 「あぁ、冬になるとこんな感じだ」と 音が近づいて 音が去っていく 光の向こうに またしばらくの闇が続く 座標軸を歩く私 原点は遥か遠い 交錯する無意味を踏みしめて 凍った衝動に翻弄される これが冬の匂いだと 脳の裏側で誰かがささやく 息が詰まるほど心臓が鳴って 吐息とともに汗になる 巡るオリオンに祈る 蒼い光を夢に見て 海の底に扉あり 太古、汝は透明だった けれども汝は天を仰ぎ、風の調べに身を任せた 遥か内なる扉あり 太古、汝は扉を開けた けれども汝は戦に戻り、剣の先に身を任せた 時代の向こうの扉あり 今や汝は濁り果て、視力を失い波間に浮いた 扉を知る者よ、今こそ解き放て 濁った海の底の底 智恵の剣で水を割り、大地の扉を解き放て 汝は独り、孤高の思索者 見えない底の扉を見つめる 快をむさぼる人を棄て、輝くローブを脱ぎ捨てて、独り闇の過去に立つ 汝その名は内なる子供 扉は聖なる汝を迎え、大地を忘れた楼閣は、哲理の亀裂に飲みほされん 目指す世界は闇の果て 汝の勇気は時間を超える 試練の扉は真理の扉 大地の底の神を問え 見えぬ心の神を問え 汝、心の冒険者 罪へ旅立つ王者の端くれ まことの宝をその手に持ちて、大地の底に気高く捧げん 汝、内なる冒険者 無垢の瞳の王者の端くれ 知られぬ心をその手に持ちて、天地の高みに気高く昇らん 海の底に扉あり 遥か内なる扉あり 時代の向こうの扉あり プールあがりの蘭が横に並ぶ 蘭はとっても綺麗な子 化粧はダメだと言われても 水着のときまでルージュをつけてる 男性教師には見えないほどにうっすらと 私にはよく分かる 蘭はとっても恥ずかしがり屋 蘭の素顔は私も知らない 私の素顔も秘密なように オンナの距離は近くて遠い 「ねえ、香奈」 遠くを見つめて蘭が言う 「好きな人いる?」 恋の声は甘いもの 蘭は誰に惚れたかな 遠くではしゃぐ男子たち 蘭の眼は遥か遠く だれでもみんな二つの色がある オンナ色とトモダチ色 混ざったときが一番綺麗 蘭はとっても綺麗な子 今、一番綺麗な子 星の果てから夜の顔 レディーサンタが舞い降りる たまの聖夜は寝るものよ こっちの袋は不幸の袋 夢を忘れたあなたにあげる 冬の空から夜の顔 華奢な腕でごめんなさいね 女の赤はちょっと濃い こっちの袋は不幸の袋 夢を忘れたあなたにあげる 水は流れるもの 流れぬ水は澱み腐る 人は旅するもの 旅せぬ人は目を失う まことの旅人は荷物を持たぬ 己自身を持ち歩くもの 人の渡世は天理の運命め 形あるものいつかは崩れる 安寧を求めるが人の性ならば 安寧を与えぬが世界の摂理 流転する天地にあって 人はただ、己の今をかみしめるのみ 責任のがれ? 大好きですとも 心労なんてないほうがいい 保身と甘えの塊に イヤになることあってもネ それが結局ワタシなの 社会に生きる術なんです ネロの幻想 見よ、燃える街を 崩れるものは美しい わからぬか? 美をわからぬものよ、下がるがいい 崩れゆく秩序こそが、輝く美なのだ 酒をつげ ほんの少しだけつげ ともに紅い芸術を見よ 世界の頂点にあって 足元の崩れる様を見る 酒は、何と美味しいものか 人は死に際が最も美しい そうは思わぬか 永遠の一瞬は千の嘘に勝る 全ての価値は死の一瞬に凝縮する あの紅は、神の燃える輝きだ 永遠の価値を一瞬に放つ 限りなく熱く、冷たい芸術であろう 見よ、崩れゆく街を 美しいとは思わぬか 見よ、逃げまどう民衆を 美しいとは思わぬか そうか、分からぬか 美とは、何と孤独なものであろうことか 太陽に近い余の心には、 冷たい風が吹くばかりだ のう后よ、 そなたも一度、命の舞いを見せてはくれぬか そなたならば、きっと最も美しく舞うであろう 圧縮されて過ぎ去る時の流れ どこまでが昼で、どこまでが夜だったか 高密度な夜と朝と昼 思い出すことはできるのに すべては霧の向こうの出来事 人と会い、書物を読み、色々と考え 常に何かをしていた一週間 無駄はなかったはずなのに 空虚なる、これは何? 目的もあって、努力もして、結果も出て でも、何かが違う 残った私は、自己疎外 引き裂かれる予定の濁流に呑まれて 淡々と醒めてゆく 最適化された機械化人間は 無言で用務を処理するだけ 決まり文句のヘッダは要らない まとめた休みを私に下さい 冷却水が、たまには欲しい 人間よ、聞くがよい 最後の人間よ 私は神である 汝の祖先を創りし神である 汝、人間よ 私の愛する人間よ 聞くがよい・・・・ アダムより数えて1000万の日は巡り 人は文明をつくり、銀河を旅し 戦い散り、愛する者を失い また一人に戻った 今や凍てつく世界に、汝は独りである 許せ、人間よ 奇跡はなかった 私は覚えている、汝の祖先が飢えと病苦の底から神を呼んだ姿を 私は覚えている、汝の祖先が孤独と絶望に天を見上げた夜を 私は沈黙し、救済はなかった 人は泣き笑い悲しみ怒り、 限りある短き一生を輝き 悔やみ力つき 散っていった 許せ、人間よ 奇跡はなかった 間もなく汝は冷たい砂の大地に横たわり、目を閉じる その時、遥かな時を駆け抜けた人の連なりは完結する 人間よ、今こそ言葉を与えよう 汝の根拠と世界の意味を 汝とその先祖が、天に向かって問い続けた疑問の答えを 人間よ、私のただ一つの友よ 汝は魔皇である 魔皇は天より生まれ地に降り立ち 滅びゆく美しい世界にあって 知恵の実のおもむくままに疑問を持った 疑問が全ての不幸の始まりであることを知りながら 考えざるにはいられなかった原罪よ だが魔皇よ 全ては終わった 私は過去の一切を許そう 汝とその祖先の営みの全てを認めよう 私の愛する魔族の子供よ 私は今こそ寄り添おう 再び世界が動き始めるとき 再び別れることを知りながら 私もまた、汝なしには有り得ないのだ 魔皇よ そして人間よ 私は長いこと同じものを見てきた 共に散りゆく星空を見届けよう 世界の終わる瞬間までも 永劫の輪廻の果てまでも 人間よ 私の愛する人間よ 聞くがよい・・・・ 人間よ 私の愛する人間よ 眠るがよい・・・・ 人は打たれれば打たれるだけ光るもの。妾は、人の弱きを見過ごさぬ。妾は己を以て 真実の光を示そうぞ。 妾を鬼と呼び、お前の歴史書に大蛇と書き、さあ、その正義で打つがよい。 妾に情けは要らぬ。ひとときの安寧も要らぬ。妾はただ、打たれるだけなのだ。 妾は打たれること以外に、何も望まぬ。打ち尽くせ。強く強く、力を込めて打て。 妾は光るのだ。光れば、地上のすべてを照らして、そなたのまだ見ぬ、美が拓けよう。 そしてそなたも、同時に打たれることに気づくのだ。安寧の恐怖に怯えるがよい。 頂の向こうが、広大な虚無であることに目を見張り、快楽に溺れた過去を後悔するが よい。人の道が、絶壁の一本道であることに目を見張り、決して正面を向かなかった そなたの眼を悔やむがいい。妾は打たれるのだ。打たれて光るのだ。さあ打て、 何をぐずぐずしている。妾を粉々に打ち砕き、見事己の足下を崩してみるがいい。 光を失ってどれだけになるだろう 昔、私は光の衣を纏っていた 輝いていた時があった 私に過去を見せるな 今の私は、醜く地を這う汚れたニンゲンだ もう戻りたくとも戻れない どうして光を失ってしまったのか 嗚呼、それさえも 失われた目には映らない 微かに見える理想の「あれ」が 溜まらなく切ない 誰にも頼むことは出来ぬ 温かさ、優しさ、高貴さ 手の届かない綺麗な自分よ もう私は冷え切った 再び夢に踊ることが出来るのか 悪魔に魂を剔られた私に 再び貫く光を見ることは出来るのか 笑うことのなかったあの頃 最も私は美しかった 笑うことを知ったいま 泥にまみれた自分がいる 光を求めて下俗な泥濘をのたうちまわる けれども私は知っている たとえ光があったとしても 私はそれに気づかない たとえ光に気づくとしても 光は私を照らさない それでも私は光が欲しい 遠い過去に、確かにそうだった 遥か天空を舞う 光輝くあの私を 渋谷界隈の黄色い声 諸行無常の響きあり 女子双股の花の色 盛者必衰の理をあらわす モテる女も久しからず ただ売春(ハル)の夜の夢の如し モテる男もついには滅びぬ ひとえに、カラスの前の塵に同じ ビンタ一発 涙ぽろぽろ 無言の勘定 外は雨 傘もささずに 笑って帰る 睡眠剤をいっぱい飲んで 眠れぬ夜の インターネット 雲の切れ目から覗く弱々しい太陽 いつになく静かな北海の冬 マストの影が海風に吹かれてのびる 黒ずんだ甲板の木がギイギイときしむ 遠い昔、新天地を夢見た祖先を想い 切ない光をその身に受ける 輝く水面を漂うあてなき旅 波に幾多の幻影が折り重なる 一呼吸が海原の果てまで広がる もう置きあがることのない船室で 無限の夢を馳せる 地平の果てより風が吹き 地平の果てへと流れ去る 日は天空を横断し 雲なき空に 流星が降る 砂を踏みしめ 我はゆく 一歩また一歩 渇いた世界に 跡は残らず 風の彼方の 街を夢見る 世界の森にほこらがひっそり 誰も読めない石のメッセージ 「私が病気? 世界が病気?」 笑って答えるあなたの影がない 「私が病気? 世界が病気?」 信じる言葉に顔が変 私の知らない何かが違う 「あなたに見える? 私に見えない」 後ろで答えるあなたが見える 「あなたに見える? 私に見えない」 過去の詩をダウンロード |
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