道産子 チェザーレさん 北海道を語りき...。(取材日:07/19/1997 なまらーのチェザーレさん)

【道産子の見た北海道】

   「何処までも続く広い牧草地絵の具をまき散らしたような、色鮮やかな丘陵地帯」

これが、内地の人が持つ、北海道のイメージってやつかな? でも、120年前の北海道は、鬱蒼とした、森林地帯・・・。 屯田兵が入植して120年の間に、これだけ変わってしまったのです。
きっと想像を絶する苦労があったことと思う。  もちろん、それ以前から、北海道の自然と共存してきたアイヌ民族の存在を忘 れてはならないとも思う。 現在、北海道の住む人々の中には、おじいちゃん、おばあちゃんが「内地」出 身者、という方も多いはず。
それだけ歴史が浅いんだよね。

つまり、北海道は、日本の中の「アメリカ合衆国」みたいなもんです。
そのせいか、北海道人は、古い風習に縛られるということが無くって、結構発 想が自由だったりする。 まあ、良く言えば、だけど・・・。 悪く言えば、行き当たりばったりで無計画。 「なるようになるさ」みたいなところもあるし、内地の人のように「ち密」な ところが無いので、「ざっくばらん」で「楽天家」。
それがまた、いいんだけどね。

もともと、農業には適していなかった土地を持つ北海道が、今では、国内屈指 の「食料倉庫」となっている。 海産物も豊かだし、これなら「北海道国」として独立しても、いいかな?

私自身、よくもまあ、春夏秋冬、これだけさまざまな食材が揃うもんだと感心 してしまう反面、それが慢性化してしまって、自分が当たり前に思っている食 べ物や、食べ方が、内地の人にしてみれば、贅沢窮まりないものに映ってしま うことには、反省しきり・・・。

      長く厳しい北海道の冬・・・。

大自然の圧倒的な力の前には、人間の力なんて、なんて小さなものか・・・。 これほどのハイテクの時代になっても、なおかつ、この大自然の猛威をコント ロールすることは叶わず、人々は、ジッと静かに「将軍」が通りすぎるのを待 つばかり・・・。 しかし、「将軍」が去ったあとの春の訪れは、きっと、国内の何処よりも派手 できらびやかだと思う。
梅、桃、桜、こぶし、ぼけ、その他もろもろの木々の花が一斉に咲き始める。
まるで、長い間この日を待ちかねていたかのように我先にと咲き誇る。

     「私が一番よ!」

とでも言いたげだ。

そして、最後のライラックの花が咲く頃、「リラ冷え」の季節となる。 5月下旬、それまで穏やかだった気温が急に下がり始める。 リラ(ライラック)の咲く頃と重なるため、一般に「リラ冷え」と呼ばれてい る。 しかし、これを過ぎれば、北海道人が待ちに待った夏が・・・。

北海道の夏は短い。

熱さにボーッとしていると、あっという間に過ぎ去ってしまう。 そして、日焼けした肌の火照りが静まらないうちに、9月に入れば早くも紅葉 の便りが・・・そして、長い冬・・・。

この北海道に生まれて40年。

私、きっと、北海道の100分の一も見ていないと思うけど、なんでも知って いるような気になるのは何故だろう?

ここは、不思議な安心感があるんだよね。 北海道の大きな大地が、私をしっかりと受け止めていてくれるような気がする。

人々の喜び、悲しみ、一切を包み込む大きな大地・・・。

この大地は、来年の春も、また再来年の春も、ずっとずっと、私に語りかけて くれることだろう。

     「さあ、また春が来たよ!また一から頑張れよ!」と・・・。


執筆者のチェザーレさん御一家