Ra300にPCIスロットを増設   Copyright(C) 2006 まりも 


絶対的に足らないPCIスロット  - 2006/02/25(Sat) 09:00 GIF_file_173  

 PC98-NX Pentium-III機種用のPCIライザボードを使ってRa300にPCI増設をおこなった記録です。まずはデバイス構成とベンチマークからです。WCPUIDの表示を見ると、相当なオーバークロックとなっていますが、このくらいで動かさないことにはWindowsで使っていられません。しかし一般にライザでPCI増設するとクロックアップ耐性が大幅に低下がってしまい、実用性をあげるべき増設改造があだとなってしまいます。そこで、91MHz(水晶が19.6608MHz)で動くことには相当こだわり、とくにクロックの配線取り回しに関しては慎重におこないました。



NXライザー基板とフレーム  - 2006/02/25(Sat) 09:40 JPEG_file_175  

PC-NXのMA二桁時期の機種用のライザーを使います。このライザー基板には3本のスロットがあります。フレームつきなので、ボード固定のために工作をする必要がないのが利点です。このフレームはPC-9821 MATE-R, MATE-X/Wの筐体にフィットしていますが、本体にかぶる部位があるので、そこは切り取ります。




ライザーにボードを載せた状態  - 2006/02/25(Sat) 09:45 JPEG_file_176  

最上段はボードの固定も完全にできますし、クロック線も正しく土台のB16ピンに来ているので、使用にあたっての問題は少ないです。しかし中段と下段のどちらを使用するかが悩みどころです。下段を使うとはX-PCM音源基板とカブリます。しかし配線変更が最小で済みます。中段を使うとX-PCM音源ボードが使用できますが、割り込み信号線とクロック線の変更の手間が増えます(後述)。また下段は直接フレームにボードを固定することができません。



フレームを本体スロットに取り付...  - 2006/02/25(Sat) 09:49 JPEG_file_177  

PCIライザーは内向きですので、一番内側のスロットに挿します。しかしMATE-X/WやMATR-Rでは、ここは汎用スロットではなく、「抜かないでください98グラフィクスボード」専用スロットとなっているので、まずこれを真ん中スロット(1)に移設する必要が生じます。このための配線追加をマザーボードに施します(後述)。空いた内側スロットにライザー基板を挿します。中段や下段のボードは、うまい具合に本体フレームに引っかかってくれて、固定されます。この写真は中段を使用した例です。



最下段スロットを使う場合  - 2006/02/25(Sat) 09:55 JPEG_file_178  

最下段スロットを使う場合はこんな感じで固定されます。ブラケットの切れ込みがうまくフレームにかみ合うので、前後に力を掛けても大丈夫です。しかし左右に力を掛けれは、ボードが脱落することもあるので、太いケーブルを挿さなければならないようなボードは無理があります。



G8YKK改造裏面  - 2006/02/25(Sat) 10:31 JPEG_file_179  

「抜かないでください」ボードを移設するために、G8YKKマザーボードに改造をおこないます。この写真は裏面の様子です。横取りするピンは次の通り。A09,B10,A11,A14,B14,A19(以上は固有配線)

そのほか、ライザ土台に追加する信号としては、 A60,B60(バスマスタ線の追加)、B11(クロック線の追加)があります。



ライザー側の改造  - 2006/02/25(Sat) 10:44 JPEG_file_180  

まずIDSEL信号。上段と中段には、100オームの抵抗がA26につながっています。この手前でパターンカットし、100オームの接続先を任意に選べるようにします(A26と書いたところからのびる青線)。これによりデバイス番号は任意に設定できます。パターンカットは裏側なので写真では見えません。なお、下段のIDSELは土台と同一となります、これは接続がPCIソケット下なので変更は困難です。

 このNXライザでは、上段スロットのバスマスタ線は、A60,B60を使用、中段のバスマスタ線は、A40,A41を使用しています(写真でB40,B41というマジック表記が見えますがこれは間違い)。A60,B60は9821のマザー上でも未使用ですが、A40,A41は、キャッシュ関係は機能未使用とはいえ、プルアップされてしまっている(というかマザーの3スロット間で接続されている)ようなので、ここから入れるわけには行きません。したがって下段からとるか、若番ピンにあるテストピンあたりから入れることになります。

 A17,B18のバスマスタ線の横取りは、青線と赤線です。この場合は下段は使用しない作りにしたので、中段のバスマスタ信号は下段から横取りしています。

 割り込み線4本はいじらずにそのまま使うことにします。また、このライザー固有の、予約ピンを使った線は、そのままでは「抜かないでくださいボード」の固有信号ピンとカブってまずいので、コネクタエッジのところですべてパターンをはがし、接触しないようにしています。




「抜かないでボード」のブラケット加工  - 2006/02/25(Sat) 10:49 JPEG_file_181  

「抜かないで下さいボード」は、専用スロット以外にはうまく刺さらないようになっています。これはブラケットの下部が幅広いうえに位置がズレているためです。そこでヤスリで削って、一般のPCIスロットに装着できる形状にします。実はこれが一番面倒な加工作業かもしれません。



ライザ組み込み完成図(一例)  - 2006/02/25(Sat) 10:55 JPEG_file_182  

このライザーを使った場合、上にCバス2段分の空間がありますので、さらにCHANPON-ZERO2を載せたり、なんていうこともできますし、もちろん上段にCバスを入れることもできます(中段は少々苦しいかも)。この例ではライザーの下段を使用せず、ライザーの中段はブラケットなしのものを入れたので、X-PCM音源ボードも装着できています。



PCIクロックラインの追加  - 2006/02/25(Sat) 11:08 JPEG_file_183  

最後に、PCIクロックの処理です。クロックはライザ上で横取り分配でもまあ動かなくはないですが、オーバークロックは全く効かなくなります。幸い(というか98の出し惜しみ仕様のため)W49C65 H12(の互換品)PLL-ICには遊んでいる出力が2本あります。ピン番でいうと8と9です。ここからクロックを引っ張ってきます。しかしただ持ってきてもあまりうまく行きません。うまい具合に(?)近くに独立空きランド[7J11]があるので、そこに22オームのダンピング抵抗を置いてやることにします。これでなんとか91MHzに耐えうるようになります。