PC-9821V233,V200,V166で、オンボードのL2キャッシュを無効にするソフト

[VXL2COFF] 1.3 < IPLware >     Copyright(C) 2002,2019 まりも

【このプログラムの目的】

 PC-9821 Value Star のV三桁シリーズは、Intel 430VX というchipsetが 載っていて、SD-DIMMが使えるという点で共通しています。そのほかXc16 Xc200の各機種も同様です。これらの機種に K6-III搭載のアクセラレータ、 とくに メルコ製の HK6-N2, N3下駄を使用すると、オンボードのL2キャッシュの 存在が災いして、動作不良になりやすいそうです。ならばそのオンボード キャッシュを無効にしてしまえばよいわけです。それには次の方法があります。
1. ハード的に無効にする。ITFのチェック段階で見えないようにする。
2. 起動後なるべく早い段階に、ソフトウェアで無効にする。

 このうち1.の方法は、メルコのHK6-N初代下駄やPC/AT用下駄でも動作可能に なる、汎用的な方法です。しかしやや高度なハンダゴテ技が必要となり、一般に お勧めできませんし、何かの都合でP55C、P54Cに載せ変えたときにも無効と なっていると、パフォーマンス低下が気になります。

 2.の方法は、chipset 430VXのあるレジスタ(詳細は後で)をいじれば よいことが知られていました。しかしIntelsatなどのソフトでコマンドライン から操作すると、直ちにキャッシュデータ不整合が起こって、ハングアップ したりデータ化けを起こして動作しなくなります。

 そこで、キャッシュタグデータをフラッシュしつつ、chipsetを制御して、 安全にオンボードL2キャッシュを無効にできないか…ということで、本ソフト を作成しました。

 このプログラムは、SDRAM(DIMM)のみを使用しているマシン専用になって います。SIMMを混在使用しているマシンでは、後述の SDRAM Turbo modeに 関するchipset動作ができません。

【基本的使い方】

 まずLHAにより展開しVXL2COFF.BIN、を取り出して下さい。このプログラムは IPLwareアプリケーションですので、別途IPLware.exeも必要です。 なおIPLwareアプリケーションとは、ハードディスクのIPLに組み込んで、OSに無関係に 動作させるものです。詳しくは別のソフトウェアである「IPLware」をダウンロードし、 その説明書を読んで下さい。組み込みを解除したい場合もIPLware.exeを使用します。  まず IPLware.exe と VXL2COFF.BIN がカレントディレクトリにある 状態で、MS-DOS(またはWin9xのDOS起動)のコマンドライン(Windows9xの DOS窓は不可)から、

IPLware  VXL2COFF.BIN
と打ち込みます。あとは、現在最優先ブート位置にあるハードディスクに 組み込まれます。(※)最初の問いで[ESC]を押すと、インストールするハード ディスクを選べますが、リストの先頭以外のドライブにインストールしても、 現在の接続環境ではそこから起動しない点に注意して下さい。

【実行結果】

 組み込まれたら、電源をオフにして再び起動します。起動プロセス中に、 2秒間程度メッセージが表示され、L2キャッシュが無効にされます。 またSDRAMの高速化もなされているはずです。

【技術的解説】(興味ない方は読み飛ばし可)

  このソフトは、ホストブリッジ Intel 82430VXの レジスタ 52hの bit0と1と を操作して、キャッシュを無効にします。bit 7,6の容量指定も、00bに設定 します。一旦CPUのL1キャッシュごとオフにして、その後L1キャッシュは有効に します。キャッシュのフラッシュのために、DOSメモリ空間を無駄読みします。 その間は割り込みを禁止にしています。それに加え、ホストブリッジレジスタ54h bit0を操作し、SDRAM turbo modeを有効にすることで、DIMMのメモリアクセスは 極限まで高速化されます。

 なお、DOSコマンドライン上で動作テストしたい場合のために、 実行可能プログラム "VXL2COFF.EXE" も同梱してあります。このプログラムは 仮想86モードではなく、リアルモードのMS-DOS上から実行して下さい。 仮想86モード下(EMM386が組み込まれている状態あるいはWinのDOS窓)では、 メッセージなしで即終了となります。

【お約束】

 L2キャッシュを無効にする程度のソフトなので、とくに問題は発生しない と思いますが、本ソフトを使ったからといって、N3下駄を使って動作不安定に なるのを解消することができるとは限りません。これはハードウェアの問題 ですので、N3下駄の調整に頼るか、若干遅くても安定なN4下駄を使用する ようにしてください。

 本プログラムはIPLware準拠ソフトです。IPLwareとは9821のブート用 ハードディスクのIPL(正確には固定ディスク起動メニュー)の空きを利用 して各種のプログラムを組み込むための仕様です。なお本プログラムをインストール したハードディスクが起動できなくなっても、私は一切責任は負いません。 IPLwareには、動作を回避する機能は用意してあるので、説明書をよく読んだ上で 使って下さい。

[履歴]

2002.1.16 新規作成
2002.1.23 1.1 作成
2002.2.14 1.1 説明書のみ追加
2007.4.20 1.1 説明書の改訂と添付版IPLware.exeの削除
2019.9.8  1.3 古いi486,80386機でハングアップせず実行中止するようにした

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