Adaptec製 PCI Fast/Ultra SCSIアダプタの設定支援ツール AHA29SEL Version 1.02
使用説明書 Copyright(C) 2022 まりも
Adaptec製のSCSIアダプタのSCSIコンフィグレーションは、ボード上のEEPROMに 記録されており、通常はAdaptec製の SCSI utilityで設定を行うか、PC/AT互換機 上で起動時にCTRL-A を押すことでBIOS内のそれを実行して設定します。
しかし98上でしかもSCSI utilityが存在しない場合はどうしようもありません。 ところが2022年末に、リウ様によって、SCSIアダプタのEEPROMを直接読み書きする ツールが公開されました。SCU.COMというプログラムがそれです。
そのツールでは読み出したデータはEEPROM.ROMをいうファイルに出力されます。 いっぽうEEPROM.64というファイル名にしておくと、その内容でEEPROMに書き込む ことができるようになっています。このバイナリファイルは、エディタなどで見た だけでは情報の意味がわかりませんので、意味内容を把握してファイルを読み書き できるようなプログラムが望まれます。
ということで作成したのが本ツール「AHA29SEL」です。本ツールは、SCUが生成 したEEPROM.ROMを読み込みます。画面上で意味を把握しながら設定後、EEPROM.64 というファイルを書き出します。
まずはSCUも別途ダウンロードしておいてください。
https://drive.google.com/drive/folders/1BZ7b4an5o_EI9lKoyU6RzOlsZ4AADlFJ にある「SCSI utility」です。
AHA-2940系SCSIアダプタが存在する環境で、MS-DOSコマンドプロンプトでSCUを 実行すると、カレントディレクトリに EEPROM.ROM が作成されます。 そこでAHA29SEL.EXE を実行すると、設定画面となります。設定できる項目は オリジナルのAdaptec SCSI utilityとほぼ同じです。
最初に、「Ultra SCSI アダプタ用の設定か?」尋ねられます。本ツールは
ファイルに対する処理しかしておらず、実装されているハードウェアは調べま
せんので、Ultra SCSIのAHA-2940AU かどうか判断できません。このため手動で
「はい」か「いいえ」を指定する必要があります。
それ以下の3つの設定はSCSIバスとホストアダプタにかかわる設定です。 ホストアダプタのIDは7としてください。SCSIバスのパリティチェックは「有効」 がデフォルトです。無効にするのは非常に古いSCSI機器が混在している場合に 限ります。
アダプタ上のターミネーションとは、終端抵抗のことであり、外付けと内蔵の コネクタの両方に機器を接続している場合は、必ず「無効」にしなければなり ません。片方のみの接続なら「有効」に設定します。「自動」にしておくと、よく わからない場合やつなぎ替えた場合に便利かもしれません。
なお選択肢が勝手に選ばれるのは現在の設定値になっているところです。変更の 必要が無ければENTERキーか↓キーで通り過ぎても構いません。
次にSCSIデバイス(ID)ごとのコンフィグレーションの画面が下に現れます。 IDごとに設定してください。IDごとの項目のところでENTERキーを押すと、設定が トグルで変化します。なお最大転送MB/sのところは数値が多段階あります。 希望する数値になりまでENTERを叩いてください。BSキーを使うと逆方向に変化 しますので、早く設定値にたどり着けます。
Ultra SCSIとして設定中のときは、「ULTRAの設定」のところにカーソルが移動 可能になります。fastだと最大10MB/sですが、ULTRAにしてあれば20MB/sにで きます。なおULTRAで10MB/sを超える値に設定してあった場合、fastに変更すると 自動的に10MB/sに落とされます。不適切な設定にならないようになっています。 また同期転送を「非同期」にすると、設定速度は現れずに「****」と表示されます。
設定を終了させるには[ESC]キーを押してください。さらにENTERを押すと、
EEPROM.64のファイルが作られ(更新され)、プログラムは正常終了となります。
SCUを実行して、EEPROM.64を書き込むかの問いにYで答えて書き込んでください。 次回起動時からは、この設定に従ってSCSIが動作するようになります。
ハードディスクは同期転送、Disconnectするで構いません。電源を入れただけでは スピンアップしない一部のドライブでは、StartUnitコマンドを「送出」にする必要が あります。いっぽうMO/PDドライブは非同期、Disconnect「しない」が望ましいです。 CD-ROM/DVDドライブは同期でも遅めのほうが確実です。 ほとんど存在しません。
対象となるSCSIアダプタは、Fast SCSIのAHA2940N,2940J/95に関しては、 「Adaptecが発売したもの」に限ります。NECが98用に発売したもの(PC-9821X-B02Lや Xt、Stなどの機種のオンボードのもの)はこれらのツールの対象にはなりません。 理由は、NEC製のSCSI BIOSではSCSIの設定が強制的に自動で10MB/s同期転送に されてしまうためです。したがってターミネーション(終端)の設定以外に もともとユーティリティが付属していません。MO/PDドライブで意図的に遅くする ことができず、困った問題です。
いっぽうUltra SCSIの場合は、AHA-2940AU相当のNEC製品である PC-9821X-B09 でも設定が保持されるようです。Rvオンボードでも大丈夫かと思います。なぜなら これらにはNEC製のSCSI utilityが付属しており、終端設定以外も設定可能となって いるからです。
WIDE SCSIである AHA-2940UWおよびPC-9821X-B10 については本ツールの対象ではあり ません。WIDE SCSIへの対応は面倒そうなので予定していません。
EEPROMの値がひどく壊れている状態や無内容のEEPROM.ROM を読み込ませた場合、 本ツールが出力するEEPROM.64の内容の一部は正しくない内容となる可能性があり ます。設定値の意味が完全にはわかっていない点があるため、無の状態から正しい 値を作ることができません。基本的にSCUで読み出した情報を引き継いでいます。
ソースファイルの一部を開示します。今回このプログラムを開発するにあたって 書いた部分のみです。画面表示、DOSのファイル操作などのアセンブラで書かれた 汎用ルーチンが含まれないので、このままではコンパイル・リンクはできません。 予めご了承ください。