PC-98で認識できるハードディスクのフォーマット形式について

■ ハードディスクの領域情報の形式について

 NEC PC-9800で使用可能なハードディスクのフォーマットには、次の3タイプがあります(下の表を参照のこと)。

PC-98形式というのは通常用いられるPC-9800シリーズ専用の形式で、16個までのパーティションを作ることができます(うちアクティブなのは4個まで)。

PC/AT形式は、PC/AT互換機のFDISKコマンドにより作成される形式です。区画を4個まで作ることができます(しかし起動できるのは、4個のうちアクティブ属性をつけた1個だけ)。区画には基本区画のほか拡張区画という属性があり、拡張区画のサブ領域を複数作ることができます。

SuperFloppy形式というのは、MOなどのリムーバブルディスクで使われた形式です。パーティション分割ができませんので大容量なハードディスクのフォーマット形式として使うのは適切ではありません。リムーバブルディスク以外で使用されることも通常ありません。
 
   OS→
形式
MS-DOS5.0
MS-DOS6.2
Win95
Win98
Win2K,NT
bootable
Win2K,NT
non-boot
FreeBSD(98) その他のOS
PC-98形式 ×  
PC/AT形式 ○(*1) ×  
SuperFloppy ○(*2) × × ×  

 ◎認識可能
 ○認識可能(条件による)
 △デバイスドライバがあれば認識可能(ドライバが実在した)
 ×認識不可能、認識できるドライバが存在しない
(*1)以前に使用したPC-98形式の痕跡を完全に消しておく必要がある
(*2)デバイスマネージャで「INT13hユニットでない」扱いにする必要がある
Win2K,NTのbootableというのはUIDE,SCSIなど起動可能デバイスとして接続の場合
Win2K,NTのnon-bootというのはUSB,IEEE1394接続などの場合

 PC-9800シリーズで動くOSは、当然ながらPC-98形式は認識できます。それ以外の形式は、専用のデバイスドライバがないと一般的には認識できません。しかしWindowsでは、PC/AT形式も基本的に認識できるようになっています。したがって、PC-9800用の起動ドライブとしない(データドライブ)ならば、PC/AT形式にしておいたほうが便利です。いざというときにPC/AT互換機に繋いで処理できるからです。

 フォーマットする際に、どの形式でフォーマットされるのか、一応注意を払っておいたほうがよいでしょう。といっても、ほとんどのフォーマッタは、PC-9800上で動作しているのならばPC-98形式のフォーマットをします。

 よくわからない形式でフォーマットされては困るので、確実にPC/AT形式でフォーマットしておきたい場合は、実際にPC/ATマシン上でフォーマットしておくのが無難です。PC/AT互換機上でなら、PC-98形式でフォーマットされることはありません。
 

■ 注意すべき事項

 Win9xの場合、OS付属のフォーマッタ(FDISK,FORMAT)は当然動作するはずですが、約32GB以上大容量のハードディスク(の場合のフォーマットパラメータ)に対しては誤動作してしまい、使い物になりません(註)。そこで、サードパーティのディスク製品のフォーマッタを使用することになります。このときどういうフォーマットがなされるかは、各製品あるいは接続条件によりさまざまです。PC-98を知っているフォーマッタであればPC-98形式でフォーマットされる可能性が高いですが、注意が必要です。 サードパーティ製フォーマッタの場合、一般に、起動のためのシステム転送をおこないません。また、PC-98形式が適切であるとは限りません。Windows2000においては、リムーバブルなUSB、IEEE1394接続のときにPC-98形式認識できないという問題があるようです(上の表を参照)

 いっぽうWindows2000、NTでは、一般にサードパーティ製フォーマットが使用できません。Windowsのディスク管理からのフォーマッタを使います。このフォーマッタには、既にPC/AT形式でフォーマットされて領域が存在する場合は、領域の追加削除はPC/AT形式でおこなわれるという便利(?)な性質があります。

 なお、Windows2000では、以前にPC-98形式で使っていた残骸が残っていると(たとえば固定ディスク起動メニュー)、PC/AT形式で正しくフォーマットされているのに、それを認識できなくなるようです PC/AT形式とPC-98形式のパーティションテーブルは同じセクタに存在しないことから、FDISKなどを実行しても破壊されずに残ってしまっています。これを消去するには、先頭の16セクタぶん(最小限)ゼロ値など無意味なデータで埋める必要があります。PC/AT互換機で使用していたハードディスクをPC-98で使用する前には、なんらかの消去ユーティリティを使用して、AT互換機で使用していた情報をクリアしておく必要があります。

 逆に、PC-98で使用していたものをPC/AT互換機で使用する場合はどうでもよいのですが、再びPC-98に繋ぐときに問題になるので、PC/AT互換機に持ってゆく前に消去ユーティリティを実行しておくべきです。

 いずれの場合にも、98側で実行する消去ユーティリティとしては、大熊猫さん作のソフト"NEWHD"が便利です。UIDE-xxに接続している場合は、そのBIOSメニューにある「消去」機能を使用してもよいです。なおDISKINITコマンドもこの目的で使用できますが、時間がかかるだけであまりメリットがありません)。



(*註(PC-98の場合)) Win9xのDOSモードで32GB以上のハードディスクをPC-98形式フォーマットする場合は、FDISKで領域の殻を確保してすぐに、拙作FORMATXで領域をフォーマットする方法をお勧めします。ただしFAT32領域のブート用IPL(いわゆるシステム)は作成されないので、SYSコマンドで他の既存領域かシステム転送してください。なお、フロッピーからのWin9xDOSモード起動だとSYSコマンドが機能しないという問題がありますからご注意ください。システム転送できたようでも、できていません。つまり、32GB以上のハードディスクについては、フロッピー起動で、何もないところからFAT32の起動可能な領域確保を作成することできないということになります。
(*註(PC/ATの場合)) Windows95〜98SEのFDISKは、64GB以上のハードディスクに対しては、桁あふれのため間違った容量を示し、操作画面もおかしくなります。そのためWindows98のFDISKにはMicroSoftから修正パッチが出ています。いっぽうWidows98のFORMATは1領域あたり128GB以上の領域に対しては不正な動作をします。FORMATには修正パッチは出ていないようです。したがって128GB以上のドライブをFAT32でフォーマットしたい場合は、サードパーティ製のフォーマッタを使うしかありません。