HyperCard tribute

HyperCardとは?


 HyperCardという名前を一度は聞いたことがあると思います。なぜなら、全てのMacintoshにバンドルされているソフトだからです。つまり、Macintoshと同じだけの歴史があり、Macintoshユーザーの数だけHyperCardの所有者がいるという事になります。インターネットなどには多くのスタックがありますし、作成したスタックはまるでテキストを読んでもらうようにいろいろな人に使っていただくことができるわけです。
 もちろん、自分が使用するというという目的においても素晴らしい利点があります。それは、ごくごく簡単な操作でソフトやプレゼンテーション書類を作ることができるという点です。今までプログラミング言語などに触れたことのなかった人でも、プレゼンテーション書類や、住所録、電卓、ゲーム、占いなどが作れることでしょう。
 そして、HyperCardの凄いところはこれらのソフトが短時間で作れるというところなのです。単純な機能を持っているだけの住所録であれば5分で作れます。しかも、その5分の内、4分はインターフェース(=ボタンの配置など)の作成に費やしている事と思います。

 ですが残念なことに、HyperCardに対する様々な偏見、Appleの消極的なヴァージョンアップにより、所有者数の割には多く使われているとは言えません。
 HyperCardに対する偏見の中で最も多くの人が述べている「スピードが遅い」という点は現在のMacintoshのラインナップであれば十分なレベルになっています。スピードが遅いといわれる原因の大きな理由は起動に時間がかかるせいですので、一度HyperCardを立ち挙げてしまえば気にならなくなるでしょう。もちろん、68Kマシンをお使いの方でも、特別にスピードを必要とするスタック、すなわち、(業務で用いる様な)大量のデータを処理するスタックやアクションゲームなど以外では実用レベルにあると言えると思います。
 Appleの消極的なヴァージョンアップという点も問題ありません。HyperCardの次期ヴァージョンでは、ブラウザー上での動作が可能となる予定だからです。それも、QuickTimeの一つの機能として実現されるということですので、HyperCardは素晴らしい舞台を得ることができることでしょう。

 言語仕様にうるさくなく、ビジュアル的であるHyperCardは、初心者には言語学習用として最適と言えるでしょう。
 しかし、だからといって上級者には全く必要のない言語とは言い切れません。商用のソフトを組むにはパワー不足かもしれませんが、あなたの仕事を手伝い、暮らしを快適にしてくれるソフトなら、簡単に作り上げることができます。エラーに悩まされ、メモリ管理に苦しむといったストレスから逃げ出すことができる言語、それがHyperCardです。

 これから先、HyperCardの紹介、基本概要、Tipsの紹介、ゲーム制作、実用ソフト制作など、理論と実践を交互に説明をしていきます。理論が難しければどんどん読み飛ばして、実践のみ読んで見て下さい。もちろん、理論編を読むことで必要な知識を理解し自分でプログラムが組めるようになるのが一番であることに間違いはありませんが、理解できていないとしてもプログラムを利用することができるようになればそれはあなたにとって大変大きな財産となるからです。


 それでは、それぞれの編について紹介します。

準備編:HyperCardの紹介
基本編:今までHyperCardを使用したことの無い人のために最低限必要な知識
実践編〜初級〜:スクリプトを用いないスタック作成
   簡単紙芝居
   簡単アドレス帳
理論編:スクリプトを組む時に必要となる知識について
実践編〜中級〜:簡単なスクリプトを用いたスタック作成
   簡単電卓
   簡単もぐらたたき
   アドレス帳
小技編:すぐに利用できるスクリプトテクニック集
実践編〜上級〜:高度なスクリプトを用いたスタック作成
   ぽけべら〜(ポケベルデータ変換システム)
   さんすうのお時間(筆算型電卓)
   電卓(多機能グラフィック電卓)
応用編:ネットワーク処理、スピードアップの方法など