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[ 豊かな人生のための四つの法則 ]
「毎朝ジョギングする」
「一年で百冊本を読破する」
「毎日日記をつける」
私たちは年の初めにさまざまな決心をする。 正月は、 今年一年という時間がまっさらのまま目の前に広がっている。 だから私たちは、 旧年の自分の行ないを振り返り「こんなことではイカン」 とつい「今年の目標」 を立ててしまうのであるが…これは三日坊主の第一歩となる。
いやいや、 別にお説教を始めたいわけではない。 何を隠そう私自身、 何度も「今年の目標」 を掲げ、 数日後にはその目標が実行できなくなり、 一ケ月も経つとその目標自体を忘れてしまうのが常であった。 それどころか、 目標を立てたことさえも忘れてしまうのである。
どうして私たちはすぐに「高尚な決心」 から「なまけものの安定」 へとずりずりすべり落ちていくのだろう。 これまで自分が決心していたことがすべて実行できていたら素晴らしいのに。 いや、 すべてなんて言わない。 数個でも結構すごいのに。
ワインバーグはこう言っている。
どんな処方にも二つの部分がある。
その一つは薬、
もう一つはそれが正しく使われることを保証するための方法だ。
これは「コンサルタントの秘密」 (木村泉訳、 共立出版)の中の「マービンの大秘密第三番」 である。
分りやすく言えばこういうことである。 どんないい薬でも正しく使われなくては意味がない。 しかも継続的に正しく使われなくては意味がない。 どんなよい方法も、 やらなければ意味がない。 …ということだ。
学生時代、 先生はよく、 「 継続は力なり 」 と言った。 継続は力なり。 だからコツコツと勉強しろ、 というわけだ。 大変けっこうである。 もしも継続的にこの格言を思い出し、 継続的に勉強し続けることができるなら。 ワインバーグ風に言えばこういうことだろうか。
継続は力なり。
継続するための仕組みは
もっと大きな力なり。
正月に立てた決心が三日で消え去るのは、 その決心を持続する仕組みに欠けているからかもしれない。 毎朝ジョギングするなら、 どうやって目を覚ますのか。 一年で百冊本を読破したり、 毎日日記をつけたりするなら、 その時間はどうやって確保するのか。 そのあたりがポイントのようである。
実は、 ずいぶん前から私は毎日日記を書き続けている。 コンピュータの上でエディタを使って、 一日の出来事を簡単に書いている。 コンピュータを使いはじめてからずっとやりたかったことなのだが、 これまで実現できなかったのだ。
日記を書き続けられなかった理由は単純明解だ。 「日記を書くことを忘れる」 からだ。 毎朝コンピュータに向かう時に、 誰かがそっと私に「日記書かなくちゃ」 とささやいてくれさえすれば私は喜んで書きはじめるだろうに。
コンピュータを起動したときに「日記を書こう」 と表示すればいいって? 私もそれは考えた。 けれどダメなのである。 起動されるときのメッセージって、 すぐに見なれてしまって、 読まなくなってしまうのである。
コンピュータを起動したときにエディタを起動して、 無理矢理日記を書かせるようにすればいいって? それもダメ。 プログラム開発の都合上、 しょっちゅうマシンはリセットするから、 そのたびごとに日記を書いてなんかいられない。
私が気付いた方法はこうである。 「その日初めてコンピュータを起動したときに限り、 エディタを起動し、 日記を書かせるようなプログラムを作ればいい」 つまり、 一日一回だけ動くプログラム を作ったのである。
ONCEADAY と名づけたこのプログラムのおかげで、 私は継続的に日記を書き続けることができ、 ついでに自分の仕事の記録をつけたり、 タイプの練習を行なったりできるようになった。 私はそれほど意志が強くないが、 いろんなことを毎日継続的に行なえるようになったのである。 私はやっと、 決心継続機械 を手に入れたのである。
ちなみにこの ONCEADAY というプログラムは、 本誌 Oh!PC 1993年9/1号 の p.236 「挑戦!プログラミング」 に掲載されている。
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