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[ 豊かな人生のための四つの法則 ]
森を歩いて、とうとう僕は道化に会った。 僕が金を渡すと、道化は無造作に金を取る。 アタマルクは40パルを道化に払ったそうだ。 僕は32パルしか払えない。 道化は革の箱を僕に渡し、無言で去っていく。 僕は湖のほとりまで戻り、ロトラウムの樹のそばに座る。 そして新しい革の匂いをかぎながら、蓋を取る。 笛だ。 革の帯で支えられ、三つに分かれた笛がある。 はじめての、僕の笛だ。 僕は約束を守っている。 道化に会うときも、金を払うときも、箱を受け取るときも、 僕は一人だった。誰にも見られていない。 アタマルクは袋だったはずだ。 僕は革の箱だ。笛が入っている箱。 アタマルクの袋には何が入っていたのだろう。 いいから、アタマルクのことは忘れるんだ。 僕は三つに分かれた笛を取り出し、 繋ぎ目に油を塗り、 少しまわしながら組み立てる。 僕の笛。 まわりには誰もいない。空には白い雲が二つ。 鳥も鳴いていない。風は凪いでいる。 笛をくちびるに近づける。 はじめての口づけを思い出す。 僕は笛を吹く。 まっすぐな音が響き、ゆっくりとこだまが帰ってくる。 十三歳の春、僕は道化から笛を買う。
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