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純正ナビ 2003.2.11
ワタクシは純正ナビ派だ。なによりも収まりの良さを優先してしまう。アヴァンシアの純正ナビはこれでもかというほど時代遅れなスペックだが、収まり度の高さにおいては社外品を圧倒している。機能的にはVICSくらいしか求めていなかったのでスペックはあまり深く考えないことにして装着したが、果たして時代遅れ純正ナビは使い物になるのか?
御本尊
ちなみに時代遅れなスペックとは何につけてもCD-ROMってことでしょうな… 今どき脱力もんである。一応2枚組になっているのに助けられてか、普通に走っている限り道路情報に関しては不足ない。2枚組の内訳は東日本・西日本版で関ヶ原付近を走行中に交換を促されたことがある。どうせ交換が前提ならユーザーの多そうな都市部ディスクがあれば良かったんだけどね。個人的にCDらしさを感じるのはやはり個別検索の弱さや交差点付近の詳細車線案内が無い点だろうか。
問題のCD-ROMが挿入されている様子をX線念写 ※分解は保証対象外となるのでお止めください
とは言っても実用面では特に大きい問題は感じない。当たり前だが幹線道路沿いの裏道を縫うように走っても道路とズレたりすることはまったくない。しかし高速道路の高架下を走っていると希に高速道路を走っているのと勘違いするのはなんとかならんかったのだろうか。高度差があるんだから可視衛星が多ければ是正できそうな気もするんだけど。
7インチワイドの液晶モニターは視認性良好で陽ざしの角度による影響も受けないが、表示されている内容は不安を感じるほど地味。オーディオもそうなんだけど自工会の取り決めか何かがあって目を引かないようになっていると聞いたことがある。恐らく関連した話なんだろうがお遊び的な機能も一切ない。CDの容量不足というのも多分にあると思うが、アナウンスはローパスフィルターがかったオバチャンだけだし、日替わり衣装で登場するお姉さまもいない。占いだのゲームだの、そんなもんもってのほかという見えざる強い意思すら感じる。その代わりにエアコンやオーディオのステータスが画面上に表示されるのは純正ならではの美点だろう。
ルート案内自体は検索速度も含めて可もなく不可もなく。まったく知らない土地に行くときは普通に頼りになる。ただし目的地が近づくと「まもなく目的地付近です」と言って案内を止めてしまうのが早すぎることが多い。ピンポイントとは言わないからもうちょっとなんとかしたほうが良かったんじゃないの?
ちなみにルート案内のアルゴリズムは現在値と目的地を直線で結び、なるべくその直線に沿うようなルートを走らせるというのが基本となっているようだ。しかし実際の道路状況は短距離が短時間に結びつかないこともあるので、案内されているルートが短い時間で到着できるルートとは限らないケースもある。純正ナビをOEM供給しているアルパインの時短ナビはこの辺をどうクリアしているんだろうか?
またこのアルゴリズムにはルートとして使っても良い道路幅の敷居値パラメーターがあって、これは「幹線道路優先」「距離優先」といった設定項目で表されているっぽい。ユーザー操作や渋滞情報による迂回では道路幅の敷居値が更に小さくなるといった感じ。こういう場合は驚くほど細い道を音声案内されることもあって、意外と侮れない。
その渋滞情報を取得するVICSだが、アヴァンシアにVICSユニットを取り付けると天井にFM VICSアンテナがベッタリ接着されてしまう。天井にはもともとのFMアンテナもあるので合計2本、同じようなアンテナがそびえ立つこととなる。個人的にはこれを由々しき問題だと思っている。収まりを重視して純正ナビにしたんだから、ワタクシは自分の車には2本目のアンテナを生やしたくないのだ。
VICSユニット取り付けマニュアルに基づいたWアンテナを念写
解決方法としてアヴァンシア・コミュニティでメジャーなのは荷室内にFM VICSアンテナを立てることらしい。ガラスを隔てるが、ガラスには水分を含まないのでデンパ様のお通りにはあまり関係ないと思う。実際に大黒オフで会った方が荷室にアンテナを立てていたが受信感度には何の問題もないとのことだった。
これらの情報に勢いづいてさっそく内装をはがした。内装剥がしこそVICSマスターへの第一歩。
しかしとんぼさん(たぶん仮名)の事前情報どおり荷室の内装は面倒くさい… 気をつけてたつもりだったんだけど、お約束で爪を一本折った。その道の匠からABSなら溶解接着剤とか溶接機(!)とかいろいろあると聞いてブツを託してみたんだけど、こいつはPPだったので復活ならず。まあ折れたところは他の部品からも支えられているので問題はない。むしろ無いなら無いでそのほうが組み立てやすくていい、かも?
たかが爪が折れただけだが、しょげ返ったワタクシは荷室運転席側の内装を剥がすのを断念した。壊れるし疲れるし日が暮れるし明日も車を使いたいし壊れるし壊れるし爪折れるし。かなり無理矢理だがアンテナの向きを前後逆にしてDピラーに沿わせれば助手席側でも設置できると分かったのも断念の理由。いそいそとメンディングテープを張り巡らしてマジックで位置決めをする。アンテナの真下に線を通せるように穴を開けるつもりだ。
しかしこの案は実現できなかった。アンテナを仮設置して受信状況を確認したところ、なんと受信不可。あちゃこちゃテスターで計測するが問題が見あたらない。ナビECUのセルフチェックもOK。光ビーコンからの受信は問題ないのに… これはアンテナの初期不良なんでないの? と言うことでアンテナだけ別の物に変えたら難なく受信成功。
その別のアンテナっていうのはクォーターガラスに貼ってある4本のテレビアンテナの1本である。FM VICSアンテナとテレビアンテナではターゲットとなる周波数が違うので本来は良くないらしいが、上記の試験ではVICSもテレビも悪くない受信状況だったことと良品のアンテナが来るのを待っていられないことから、テレビアンテナを流用するように方針変更することにした。
一般的にこの方法で問題とされるのが弱電界地域でのVICS受信と、テレビのダイバシティアンテナのエレメントが減ってしまう点だろう。ワタクシもこの辺は気になっていたので電波の悪そうなビルの谷間なんかを試験走行してみたが、VICSの受信に問題があるようには見えなかった。ましてテレビなんて同じ場所に同じ角度のエレメントが2本あったって意味が薄そうに思えるし、そもそもアンテナ4本揃ってても走行中の車の中でクリアに写ることなんてありえない。気にするだけ無駄だろう。大きく影響が出たら(根本的な解決にはならないが)分配を検討すれば良い。
もう一点見逃せないのはブースターの問題だろうか。この手のアンテナはブースターが入れられているのが通例だが、このブースターへの電源供給がテレビのスイッチと連動していると面倒なことになる。FM VICSを受信したければテレビのスイッチを入れるか、ブースターへ常時給電するように結線を変更せねばならなくなってしまうのだ。
そしてさらに問題発見… テレビアンテナのVICS流用はメジャーな方法だし、アヴァンシアの場合はスマートな結果が得られるにも関わらず実践した報告が見あたらない。これはもしかしたらアンテナのジャック形状の問題かもしれない。テレビチューナーに入力されているアンテナジャックが一風変わっているのだ。
左はVICSに入力される普通のJASO標準ジャック、右はチューナーに入力されるミニジャック(?)とでも呼べばいいんだろうか。よくある3.5mmミニプラグではない。つまり思惑どおりにしたければミニジャックのメスから標準ジャックのオスへの変換が必要となる。まあ、ここでわざわざ書くくらいだから売ってないのよ、これがまた。最終的にはそういう製品が見つかったんだけど、一時期はテレビアンテナをぶった切ろうかとも考えてしまった。もともとあるハーネスはあまり切りたくないので思いとどまったが。
なんにしても変換さえ見つかれば、あとは通線するだけなので結構気楽。内装を元に戻す前に変換にスポンジテープを巻いて暴れに対処したり、定番のテレビ制限解除してやったり、ビデオ外部入力ラインを付けたり、今できることは済ませておいたほうがいい。あまり用もないのに内装を取ったり付けたりを繰り返すと、組み立てた時に隙間ができるようになったりするかもしれないのだ。写真の状態は組み付けが悪いだけで問題なかったが、常時こういう状態になってしまうとあまり気分の良い物ではないだろう。
ここまでの作業によりFM VICSアンテナは完全に視界から消し去ることができた。普段は都区内や関東一円を中心に移動し、遠くは北陸や諏訪にも行ったがVICSの情報は刻々とアップデートされている。本当は受信できていないスポットがあるのかも知れないがワタクシは感じたことがないし、エラーレートを調べる方法も知らないので問題なしと考えている。テレビ受像状態にも有意差は認められないし、心配していたブースター問題も元々常時給電だったようでまったく障害とならなかった。
VICSが付いた純正ナビはワタクシ的には結構役に立っている。(VICS情報自体はみんな変わりないからナビ本体とはあまり関係ないけどね…)とりあえず渋滞ドツボにはまる事が確実に減ったし、渋滞にはまってもどこへ迂回したら良いかが分かるのでストレスが少ない。幹線道路が流れているのにいつまでも裏道を走ってしまう失態もなくなった。移動時間も読みやすくなったので仕事中は大変助かっている。ただしVICSの情報は100%信用できる物ではないので、ある程度は混雑スポットをわきまえていないと結局渋滞にはまる。
あと返品して戻ってきたFM VICSアンテナの良品は石神さん(仮名)にあげた。テレビアンテナを使うことが分かっていれば最初から買わなかったのだが、もったいないことである。
えー、まあ純正ナビを総評するとやはりスペック並みって感じじゃないでしょうか? CDという側面だけを取り上げてボロカスに言うほど酷くはない。もちろんしょせん純正、これと言って誉められるところもないがナビとしての実用面には及第点をあげて良いと思う。見た目も内容も無難の固まりで新しモノ好きには絶対お勧めできない。インパネへの収まりを重要視している人や、スペックにあまりコダワリのない人、取り付けのことで悩みたくない人なんかは買ってもいいんじゃないでしょうか。
まあナビに何を求めるのかによるんでしょうな。
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