キムチシェーキ 2003.10.9

キムチを知らない人はいないだろう。シェーキもまた然り。どちらも大変おいしい物だと思う。
ではその二つの融合は?

ま、あまり考える余地はないのかもしれないが普通はゲテだろう。
しかしこれが公に発売されるとなれば話は違う。メーカーだってただ漫然とキムチとシェーキを足すのではなく、何かしらの工夫をして商品価値を付けてくるはずだ。中身に自信があるからこそ、消費者にインパクトを与えるために「キムチシェーキ」だなんてイカす命名をしたに違いない。

ご存じない方のために一応事実を説明しておくとキムチシェーキはロッテリアが発売した新製品だ。



この製品が出てきた経緯がまたイカしていて、ロッテリアがシェーキの新フレーバーをネットで公募したところ、2ちゃんねらーたちがキムチシェーキに組織票を入れ始めたのがきっかけ。結果、キムチシェーキは12位。発売が約束されていたのは1位と2位だけだったのでロッテリア側はキムチシェーキを無視して良かったのだが、粋な意趣返し(としか思えない…)としてキムチシェーキが発売されるに至った、てな感じ。

キムチとシェーキを組み合わせるにあたって、いったいどのような工夫が凝らされているのかが非常に興味深かったので、昨日池袋を通りがかったついでにロッテリアに寄ってみた。
店内にはチョコチップクッキーシェーキと静岡抹茶シェーキの写真付きポスターがデカデカと張り出されているが、キムチシェーキのことは一行ばかりの記述があるだけ。とても不安な気持ちになる。裏メニュー的な扱いなんだろうか?

しかし案ずることはなかった。カウンターのメニューには普通にキムチシェーキの名前と写真が出ている。キムチシェーキをオーダーしても担当のお姉さんは動じることなく、にこやかに対応してくれた。なんだかレジにお姉さんしかいない本屋で発禁本を買ったような気分だが、とにかく無事にキムチシェーキをゲットできたので車の中で人目をはばかって飲むことにした。



見た目普通なのはキムチトッピングが自重で沈んでしまったため。
横から見ると赤い塊がちゃんといらっしゃる。
シェーキ部分がほんのりオレンジに色づいているのもお分かりになるだろうか。



この赤い塊をストローでいじってみたが、これはキムチそのものではなくペースト状の物体。白菜あたりがそのまんま乗っていたらストローだけで飲みきれないし、食べにくい。ペースト状にすることでシェーキにもよく混ざる訳で、やはりそのへん工夫されているのだ。いやおうなく期待度は高まる。

とりあえずシェーキ部分を吸い上げるとバニラ風味の普通のシェーキ。ちょっとニンニクの香りがするかな?と言った程度。このあたりは全然普通に飲める。

勇気を出してキムチペーストの近くを試してみるとニンニク臭が強く、酸味も感じる。本能が飲むな!避けろ!と指示を出すので、ペースト部分がだんだん余ってくる。この頃にはワタクシが期待していたメーカーの工夫とやらは戯れ言に過ぎないことを自覚していた。キムチがペースト状なのは顧客への気遣いなどではなく、ただ単に分量管理しやすいってだけに違いないと考えを改めた次第。



勇気を振り絞ってピュアキムチペーストをダイレクトに舐めてみるとキムチ味と言うよりはニンニクの酢漬け味。一応ピリッとした辛味はあるがキムチ味とはちと違う。人の商材を悪くは言いたくないが、ハッキリ言ってマズい…



仕方ないのでそのままペーストを避けて飲み進めていたのだが、どう考えてもシェーキを飲み干してしまうとペーストの処理ができない。絶対できない。少なくともワタクシには不可能。しかたないので泣く泣く混ぜた。下の写真をよく見ると粒状の物が見えるがこれは恐らく唐辛子だと思う。



で、この混ぜられたキムチシェーキは先ほどまでとは比較にならない衝撃的な味。バニラ風味はどこかにすっ飛んでしまってニンニクの臭みが口中を駆けめぐり、唐辛子の辛味が舌を刺激する。さらにシェーキの流動感が口腔を覆い尽くして食道をもっさりと流れる感じがたまらない耐えられない。質量を倍にもしたような重々しくモヤモヤしたニンニク臭い空気が喉から鼻に抜けていくのを感じる。さっき以上にマズい印象が鮮明になる。

これはシェーキに対してキムチペーストの分量が多すぎるのだ。先にシェーキ部分だけをがっついた罰に違いない。最初から思い切りよくかき混ぜていればここまでではなかったはずで、そのような検証方法を採るべきだったのだ。
しかしワタクシは2度とその検証はしないと思う… おいしければご飯にかけたりいろいろ実験してみたかったのだが、もうそのような機会を儲けるつもりはない。大変残念だ。罰ゲーム用としては結構実用的かもしれないが…

その後口直しにチョコチップクッキーシェーキを飲んだのだが、こちらは若干甘めながらも普通においしい。安心して口にできる。シェーキの口直しに別のシェーキとはロッテリアの策略にはまっている気もするが、そうしないと後味が悪くてやってらんない。

余談だがこの日は晩ご飯に本物のキムチが供されていたのだが、見るだけで胸焼けがして箸をつけることができなかった。濃度が高い場合の後味の悪さは本当に凶悪である。もしこれからキムチシェーキを試される方がいるなら最初にかき混ぜることをおすすめする。

一応ワタクシなりにまとめるとキムチシェーキはロッテリアの壮大なネタ。
ワタクシの中ではこんなことしちゃうロッテリアに対して妙な意味で株があがった。

以上