鹿公園では、鹿を飼っていた。
山の斜面に、金網の柵で囲いが作られていて、その中に鹿がいた。 柵の中は、恐ろしく、荒涼としている。草が一本も生えてないのである。 茶色の土が、露出し、乾燥しきっていて、風が吹くと土ぼこりが、 舞いそうな雰囲気であった。どうも、鹿がすべて食べてしまったらしい。

 柵の外には、雑草が茂っているので、柵のそばにいた鹿に、その雑草を むしって与えたところ、実にうまそうに食べた。
金網の内側から、柵の外に生えている草をじーっと、見ながら、 でも、それを食べられず過ごしていたということか。

 鹿の食欲を満たすには、相当の量の草が必要であるとわかる。 草が生えるには、それなりの時間が掛かるから、鹿の生活には、 かなり広面積の草地帯が、必要になるわけだ。

 「生きるとは、食べることなり。」と、思わずには、いられなかった。

 それでは、人間には、本当はどれくらいの面積が、必要なのだろうか? 都市の人口密度は、物流によって支えられている事に、ようやく気がつく。

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