蛍光灯が、チカチカ瞬いていたので、外した。 おかげで部屋が、暗くなった。 暗いとはいえ、寝るにはまだ早かった。

景品でもらった、アロマキャンドルに、火を灯してみた。 香りが、広がる。壁に、卓上の物の黒い影が、映し出される。 明るくしようと、灯かりをつけたのに、大きな影ができたわけだ。

室内では、影のない生活をしていたことに、気がつく。 面白いので、電灯は全て消す。 ろうそくの炎が、ゆらゆらとゆれながら、光を放つ。 光のあたった面は、明るくその半対の面は、暗い。 しばし、手で影絵を楽しむ。

目が慣れてくると、真っ黒に見えた影の中にも、 反射した明かりが、うっすらと届いていて、 置いてある物が見えるようになってきた。

電灯が壊れ、影のある空間を取り戻した。 あたりまえのことだけど、日常忘れていた感覚であった。 蛍光灯のように、影のなく明るいところで見るだけが、 正しい物の見かたなわけではないのかもしれない。


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