このページでは、イギリスであった出来事から感じたの「イギリス人」観を紹介しようと思います。
ケーブルTV(笑)
ある日、家のドアに次のようなチラシが入っていた。
「ケーブルTVに加入しませんか? (中略) ケーブルTVはもうあなたのドアの前まで来ています…」(英語で)
:ドアの前まで来てるんだって。
次の日帰宅すると家のガレージ(駐車場)にまっすぐ線が入っている。(水道工事をするためにアスファルトを切断している光景を思い出して欲しい。駐車場が切断されているのだ。)その線は駐車場から前庭の芝生を突っ切り、家の壁の手前まで到達していた。
:何でガレージがすっぱり切れてんの(・_・ )?
:きょうケーブルTVの人らが来てひとんちのガレージから芝生まで勝手に切ってったの。
:勝手にひとんちのガレージ切ってくかぁ?
:ドアの前までケーブル来てるよ(^ ^)。
イギリスってこんな国だったんだ…。その「線」はうちのガレージから植え込みを突っ切り、お隣さんの立派な庭もやっぱり突っ切って通りまで続いていた。
[補足]
の話によると、「これから2時間ほど出かけないか?車が出せなくなるよ。」とは聞かれたが、「ガレージを切断してもいいか?」とは聞かれなかったらしい。やっぱり勝手に切ってったんだ。
ケーブルTVその2
S氏がある日、会社の電話器を持ち帰ろうとしていた。「最近、家から電話を掛けることはできるんだけど、外から掛かってこないようなんだ…。」
「やっぱりダメだった…」次の日会社に来るなりS氏が言った。「ケーブルTVの連中が電話線を切ったに違いない。あの工事からだ。」どうやら、電話線の埋まっているところをケーブルTVの作業員が掘り起こしていて、電話線が切られたらしい。
次の日、S氏の怒りは爆発していた。「電話線が切断されたのをケーブルTVに連絡して直すよう言ったら、それは俺の仕事じゃない。BT(日本で言うNTT)の仕事だ。などとたわけたことを言っている。何とかしてくれぃ。」・・・これがイギリス人だ。
(キーワード:「それは俺の仕事じゃない」=" It's not my job.")
そういえば、の英語の先生が言っていた。新築の家を購入したとき、ボイラー屋がボイラーを運ぶときに壁をひっかいたらしい。文句を言うと、「それは俺の仕事じゃない。大工の仕事だ。」などとのたまったらしい。先生も怒り爆発状態で話していた。
このまえ出張したとき、ホテルの受付のケニスと仲良くなり、その話をしていたら、彼は「それがふつうだよ」と言っていた。彼は、客がもし「ロビーのテーブルが汚れている」などと言っていたら、必ず「俺の仕事じゃない」と答えるらしい。「ホントは僕の仕事なんだけどネ、そう言うのさ…。」やっぱりそういうものなのだ。
歯医者に行って来る
イギリスに引っ越して間もない頃、家の修理にきてくれていたロイは、朝9時頃来たかと思ったら「10時から歯医者の予約があるんだ。」と言って道具だけ家に残すとさっさと帰ってしまった。まだイギリス人のことをよく知らなかったは、とても驚いた。本当に帰ってきてくれるのだろうか。今思うと、ロイはイギリス人の中ではかなり信頼できる人である。そういえば、彼は我々の家のことをよく知っていた。ある日ボイラーの点検を頼んだらトコトコと2階へ上がっていき、ボイラー室のドアを開けたかと思うと中からさっそうとスティックを取り出した。そのスティックで天井をトントン…、天井から階段が出てきた。「え?何でそんなこと知ってるの?」彼こそが我々が唯一出会った信頼できるプラマー(水道工事やさん)なのだ。歯医者に行ったロイは、ちゃんと11時過ぎには帰ってきてくれた。
ジェントルマン(笑)
イギリス人は古いものが好きである。高速を走っていてもやっぱり古い車をよく見かける。よく路肩で白煙を上げているのだ。暑い夏のある日、路肩で車を押すおじさんを見かけた。ここまではよくある光景なのだが、イギリスには珍しく暑い日だったので、かなりしんどそうだった。「一人で大変そうだね。ほかにいないのかなぁ。」よく見てみると、おじさんが押している車の中にはおばさんが乗っているではないか。さらに子供が二人…。「げっ、おばさんと子供、車ん中でおやつ食べてる…。」
ジェントルマン(2)
がイギリスに行って初めて出社した日、道の途中でエン故してしまった(バッテリーがいかれていた)。「どうしよう…」と思った瞬間、周りの車からみんなが降りてきて押してくれた。「おぉ、なんていい人たちなんだ。これをジェントルマンというのか…」
ある日ロンドン市街でエン故してこまっているおじいさんを見かけた。は駐車場まで車を押してあげた。なんだか恩返ししたような気がした。
イギリス人って、必ず次の人のためにドアを開けてあげたり、見かけはモヒカンや入れ墨をした怖そうな人がベビーカーを押してあげたり、根はやっぱりジェントルマンなんだ。
イギリス人と雨
は昔、「イギリスの天気は変わりやすいから、イギリス人はいつも傘を持ち歩いている」と聞いていた。しかし、本当は違うようである。いつもみんなパーカーを着ていて、傘など持っていない。雨が降っても気にせずに歩き回っている。
知り合いにデボアとリチャードという姉弟がいる。デボアとリチャードは同じ学校に通っているが、いつもリチャードが先に出かける用意を済ませ、デボアを待っている。出かけていったかと思うと決まってデボアが忘れ物を取りに帰ってくるのだが、リチャードはおとなしく表で待っている。いつも学校までいっしょに歩いていくのだ。
ある朝、雨が降っていた。免許を取り立てのデボアは「今日は荷物が多いから…」などと口実を作って車で行くことにしたようだ。ところがリチャードはのっけていってもらえばいいのに歩いて出ていった。それも傘もささずに…。ちょっと不思議だったので何でか聞いてみると、「おねえさんの車に乗せてもらって学校に行くなんてすごくカッコ悪ィ。」のだそうだ。ちなみに、傘をさすのも「カッコ悪ィ」らしい。どんなに大雨でもずぶぬれになりながら「堂々」と歩いて行くらしい。
(キーワード:「カッコ悪ィ」="It's not cool.")