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自作ヘルプの利用


 VisualBasic/VisualC++/Delphi などの開発環境ではなくて、Microsoft Office を使って業務用のソフトやシステムを開発する人が増えているそうです。このページをごらんの方の中にも「開発とまではいかないが、学校で仕事用のシステムを作っている」という方がいらっしゃるようです。そのような方の中からヘルプファイルについてのご質問をいくつかいただいています。  そこで今回はヘルプファイルの利用について少しご紹介したいと思います。

 まず、ヘルプファイルが本当に必要かどうかを考えなくてはいけません。
 たしかに自分以外の人が使う汎用的なソフト/システムの場合、何らかの形でヘルプあるいはマニュアルを作る必要があると思います。その場合の対応として、次のような可能性があるのではないでしょうか?

  1. Word などでマニュアルを作り、その文書ファイルをソフトと一緒に配布する。
  2. Word などで作ったマニュアルをプリントアウトして(紙の冊子として)配布する。
  3. Excel や Access など開発したソフトのワークシートやフォームに記述して、必要に応じて呼び出せるようにしておく。
  4. ヘルプファイルを作成し、ソフトと一緒に配布する。

 このうち学校でよくありそうなのが2番のパターンですね。パソコンの操作に詳しくない人が多い場合は、かえってこのほうがいいのかもしれません。また、3番の方法も捨てがたいと思います。なにより手軽にできる点が魅力です。でもヘルプのわかりやすさやスマートさ、それに検索機能を考えると4番目の方法を試してみたくなるものです。
 さて、このようなことを検討した結果ヘルプファイルを作ることにしたとします。どんな準備をすればいいのでしょうか?

 ヘルプファイルには従来からあるヘルプと InternetExplorer4/Windows98 以降の HTML ヘルプの2種類があります。後者のほうが新しいわけですが、環境に大きく依存するという点と重くて動作が遅いという点から、まだそれほど広くは使われていないような気がします。ここでは従来からあるヘルプを取り上げます。Mr.Bigのソフトに付属するヘルプも全てこちらです。
 このヘルプを作るのはそれほど難しいことではありません。ただし面倒だといえば面倒です(が、それが楽しいという人もいます)。
 最低限準備する必要があるのは、

  1. リッチテキストを扱うことのできるエディタまたはワープロ
  2. それをヘルプにコンパイルするためのヘルプコンパイラ(Microsoft Help Workshop)

の2つだけです。

 1は要するに Word でいいんです。Word で文字の色や大きさ・ページ指定・ジャンプ(ハイパーリンク)などを指定した文書を作り、リッチテキストファイルの形式(rtf)で保存します。それを2の Help Workshop を使ってコンパイルすればヘルプファイルができあがります。
 こう書くとなんだか簡単そうですが、実は結構面倒です。
 Word での操作の詳しい方法についてはここでは紹介できませんが、Web 上には参考になるページがたくさんあります。たとえば「九日亭」http://www02.u-page.so-net.ne.jp/ja2/marume/index.htm)というホームページには、作り方の解説のほかに関連するホームページのリンク集まであるので、一度ごらんになるといいかもしれません。
 Microsoft Help Workshop は VisualBasic 等をお持ちであれば、それに付属しています。CD-ROM からインストールしてください。手元にない場合でも、Microsoft Technical Support の Web サイト (http://support.microsoft.com/download/support/mslfiles/hcwsetup.exe) から無料でダウンロードすることができます。ただし、このソフトは英語版です。もちろんヘルプも英語です。頑張りましょう! 上記「九日亭」さんが、ここでも助け船になってくれるかもしれません。

 ところで、世間にはヘルプファイル作成支援ツールというオンラインソフトが多数あります。これらは Word を使うよりももっと簡単にヘルプを作ることができるようにするために開発されているものです。ただしこれらを使う場合でも Help Workshop は必要です。
 わたしはその中でも Koji27 さんの HelpDesigner というフリーソフトを使っています。ページの扱いがシンプルでわかりやすく、ボタン一発で Help Workshop を呼び出してコンパイルさせてくれます。高機能なのにフリーなのもうれしい点です。この HelpDesigner については「Mr.Bigのおすすめオンラインソフト」のコーナーで取り上げていますので、そちらをご覧ください。


 最後に、完成したヘルプファイルを Office アプリケーションから呼び出す方法を紹介します。

 まず Access の場合、フォームのプロパティの[ヘルプファイル]のところにヘルプファイル名をパス付きで記入します。 パスを省略してファイル名だけを指定する場合は、実行している Access のファイルと同じフォルダにヘルプファイルを置いておく必要があります。さらに[ヘルプコンテキスト ID]のところに表示したいヘルプトピックのコンテキスト ID を指定します。
 (「ヘルプコンテキスト ID」というのは、ヘルプを作成する段階でそれぞれのトピックに対して設定するページ番号のようなものです)
 こうすると、そのフォームが表示されている間は [F1] キーを押せば(Access のヘルプではなくて)自作のヘルプが起動し、コンテキスト ID で指定されたヘルプトピックが表示されます。
 ボタンに割り付けたい場合は、ボタンに次のようなプロシージャを記述しておけばいいでしょう。

'
'■■■ Access でのヘルプ呼び出し ■■■
'

Private Sub cmdHelp_Click()
  SendKeys "{F1}"
End Sub

 次に Excel の場合です。
 Excel では VBA でヘルプファイルを呼び出すことができます。ただし、ヘルプファイルがどこにあるかわからないと呼び出せませんので、ユーザーさんには Excel のファイルと同じフォルダにヘルプを置いておくように指示しておいて、次のように VBA を記述してコマンドボタン等に割り当てておきます。

'
'■■■ Excel でのヘルプ呼び出し ■■■
'

Sub MyHelp()
  Dim MyPath As String
  MyPath = ActiveWorkbook.Path
  Application.Help MyPath & "\Mysoft.hlp"
End Sub

 ここでは、自分自身のフルパスをいったん MyPath として取得しておきます。ヘルプファイルも同じフォルダにあるはずですので、このパスを利用して呼び出しています。Mysoft.hlp の部分をご自分のヘルプファイルの名前に置き換えてご利用ください。



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