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書籍名やページ指定の英語表記


 授業で生徒と英語の文章を読んでいると、イタリック体やクォーテーションマークの使われ方に無頓着な生徒が多いことに気づきます。もちろん強調のために使われことが多いわけですが、そのほかに用法の定まったものもあるので、きちんと教えなければなりません。
 しかし、英語の先生の中にも自分が書くときには使い方を無視してしまっている人もいるようです。手書きよりもワープロ文書の方が多い今では、学習指導案や生徒に配布するプリントの中で、英語の約束をしっかり守る必要があると思います。
 そこで今回は、書籍名やページ指定の英語表記についてまとめてみたいと思います。

 日本語では、書籍名は二重カギカッコ(『 』)、1短編や1論文のタイトルなどにはカギカッコ(「 」)を使うことになっています。ただし、国語の先生でもこれを守らない人もいますが...

 さて英語ではどうかというと、書籍名・雑誌や新聞の名前・映画のタイトルなどはイタリック体で表記するのが普通です。イタリック体が使えない場合はアンダーラインを引くことになっています。一方、短編集や論文集の中の1編のタイトルはダブルクォーテーションマーク(" ")でくくるのが普通です。つまり、日本語の『』は英語のイタリック体に、日本語の「」は英語の " " に対応しているわけです。
 また、こういったタイトルの中で使われる単語は、通常、先頭の文字を大文字にします。全ての単語の先頭を大文字にする方法もあるようですが、より一般的なのは、最初の単語と(代)名詞・動詞・形容詞・副詞の先頭を大文字にし、それ以外の前置詞・接続詞などは大文字にしないという方法です。
 この表記法に従うと、次の例のような書き方になります。

  The Tragedy of X

  The Tragedy of X

  『Xの悲劇』

  The New Adventures of Ellery Queen  

  The New Adventures of Ellery Queen  

  『エラリー・クイーンの新冒険』

  "The Lamp of God"

  「神の灯」

 もう一つ気になるのは、ページ指定の表記法です。学校で「P23〜45」などという表記をよく目にしますが、間違っています。まず、p というのは page を省略したものなので、必ず省略符であるピリオドが必要ですし、普通は小文字でしょう。「〜」という記号は英語では使わないので、ハイフンにするべきだと思います。もっとも多い間違いは複数ページの指定の仕方です。page を省略したものが p. ですが、pages を省略したものは pp. です。したがって、「10 ページ」及び「23 ページから 45 ページまで」の指定の仕方は、それぞれ次のようになります。

  p. 10

  pp. 23-45  

 なお、行を指定するときには line を省略した l. を使いますが、これも複数の行を指定する場合は ll. としなければなりません。
 ついでながら、この小文字のエルは数字の1と混同しやすいのでよく筆記体で書かれますが、気になるようであればワープロではイタリック体にすればいいと思います。それでも気に入らないときにはリットル記号のような記号を使いたいところですが、JIS 規格にはリットル記号は含まれていません。そこでおすすめなのが MT Extra というフォントです。小文字のエルを入力しておいてフォントを MT Extra に変更すると思い通りの表示になります。なお、このページでの表記にもこのフォントを指定してあります。お手元のパソコンに MT Extra が存在すれば正しく表示されているはずです。



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