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● ● ●●●●● ● ● ● ☆HTML入門講座☆
● ● ● ●● ●● ● 第11号 98/10/5
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● ● ● ● ● ● 発行人:
● ● ● ● ● ● 池田蛇足 dasoku Ikeda
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=====================================================発行部数 2688部=
第9講:リスト(2)
前回に引き続き、HTMLでリストを生成する方法を勉強しましょう。じゃあ
さっそく、リストの入れ子構造を勉強してみましょう。
「入れ子構造」って、もうあまり使わない言葉かも知れませんね。一番分かり
やすいのは、あのロシアの入れ子人形です(正式な名前を誰か教えてください。
今、脳みそをほじくってみたのですが、『ピ、ピロシキ・・??』ってな感じ
で一向に思い出せません)。達磨さんみたいな人形があって、それをパカッと
開けるとその中にも人形があって、その人形の中にも・・・ってやつです。
文学の世界でも「メタ・フィクション」という概念があります。ま、この言葉
は色んな使われ方をするんですが、たとえばミヒァエル・エンデの『果てしな
い物語』を読まれた方はよく分かると思います。「物語の中の物語」が「物語」
と干渉し合う、あるいは、現実と物語がどこかで交じり合う。そんな、目眩に
も似た無限ループに、「メタ・フィクション」という言葉を充てることが多い
ようです。・・・これも一種の入れ子ですね。
今日まず勉強するのは「リストの中のリスト」というやつです。これを応用す
れば、「リストの中のリストの中のリスト」というようなことも可能です。理
論的には、それこそ無限に入れ子を作ることができます。
ですが「リストの入れ子」とか「リストの中のリスト」と言われても、よくイ
メージがつかめないですね。じっさいの出力としては、こんな風にしたいわけ
です。
【例1:リストの入れ子構造の例】--------------------------------------
1 Delphiへようこそ!
・総合ビジュアル環境
・高速コンパイラ
・Object Pascalの採用
・ランタイム不要
2 アプリケーションを作ろう
・型に厳格なPascal
・オブジェクト指向
・if分岐
3 コンポーネントを使う
・デフォルトコンポーネント群
・使えるコンポーネントをDLしよう
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☆この号の例ソースは上記サイトにサンプルとして置いてあります。「参考
資料5」を参照してください。ただしこのサンプルは水曜日にアップします
復習しますが、1,2,3・・・というように、数字を頭に付けたリストを表現
するためには
を、「・」などの記号を頭につけたリストを表現するためには
を使うのでした。
しかし、【例1】を見てください。「1,2,3」という数字付きのリストと、
「・」が頭についた記号付きリストが混在してますね。とのどっちを使
えばいいの??・・・答えは、両方使います。
【例1:リストの入れ子構造の例】--------------------------------------
- Delphiへようこそ!
- 総合ビジュアル環境
- 高速コンパイラ
- Object Pascalの採用
- ランタイム不要
- アプリケーションを作ろう
- 型に厳格なPascal
- オブジェクト指向
- if分岐
- コンポーネントを使う
- デフォルトコンポーネント群
- 使えるコンポーネントをDLしよう
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さてさて。どうですか?
分かりやすく構造を説明すると、全体が大きなのエリアであり、その中に
三つの小さなのエリアがあるのです。
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だから、の- と
の- があって、それは同じ
- でも全く違うわけで
すね。それを【例2】ではインデントで表しています。インデントって覚えてい
ますか?行頭の空白のことでしたよね。たとえば
ここにはインデントが空白2あります
ここにはありません
というわけですね。インデントをとっている要素は、入れ子の要素です。 大きな
の中に、小さなというカタマリが三つ入れ子として入っているわけです。
リストは、このように入れ子を持つことで、より複雑な樹木構造を表現できます。
枝分かれしていく樹木構造は、たとえば書物の目次などによく見られますが、WE
Bでそれを表現しようとする場合は、このリストの入れ子を使えばいいわけです。
あと、読者の方から、「にはCOMPACT属性があるのでは・・??」という質問
を受けました。この属性は、なるべくコンパクトにリストを表示したい時に使いま
す。しかし、この属性はHTML2.0からあるのに、どうしてか殆どのメジャー
なブラウザが無視します。また、HTML4.0で非奨励となりました。だから、
ま、知っておく必要はまずないでしょう。よって、省略しました。
さてさて。次は- を使った「定義リスト」の作り方です。ホームページ上であな
たの得意分野の用語集を作りたい時などにこのタグは威力を発揮します。たとえば
こんな出力を期待します。
【例3:定義リストの例】--------------------------------------------------
知って得する構造主義の用語集
テクスト
「作者」に帰属する著作物としての「作品」に対し、文化の織物(テクスチャー)
として、「作者」に帰属しない錯綜体。「作品」の読みが「作者」の影を追う作業
だとすれば、「テクスト」はその永遠のループから脱出している。テクストを生成
するのは「読む」行為だから、テクストの主は作者ではなく読者である。
ジェラール・ジュネット
コレージュ・ド・フランス教授。物語論の集大成として名高い「物語のディスクー
ル」が主著。構造主義に基づく彼のナラトロジーは、ポスト構造主義からの構造主
義への異論を考慮しながら現在もなお進化し続ける。近著「パラプンセスト」は、
パラテクスチュアリティのエンサイクロペディア。そして彼のナラトロージーは言
わば「文化の詩学」である。
ロラン・バルト
コレージュ・ド・フランス教授。交通事故で死亡。青年期に肺を患い療養生活を送
るが、その環境で書いた論文を封切りに、次々と新進気鋭の論考を世に問う。その
論考は、ソシュールの言語学を根底に、広く文学から宗教にも及ぶ。「記号学」が
メジャーな用語として定着したのは彼に依るところが大きい。
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こういうリストは、まず全体を
- タグで囲みます。DTとは Difinition List(定
義リスト)の略です。
次に定義される用語を
- で囲みます。DTとは、Difinition List の Term(術語)
ということでしょう(多分)。「術語」とは「学術用語」の意味ですよ。
最後に、用語に対する定義、説明の部分を
- で囲みます。DDは、Difinition List
の Difinition(定義)ということです。
【例3】をマークアップすると次のようになります。
【例4:定義リスト】------------------------------------------------------
知って得する構造主義の用語集
- テクスト
- 「作者」に帰属する著作物としての「作品」に対し、文化の織物(テクスチャ
ー)として、「作者」に帰属しない錯綜体。「作品」の読みが「作者」の影を追う
作業だとすれば、「テクスト」はその永遠のループから脱出している。テクストを
生成するのは「読む」行為だから、テクストの主は作者ではなく読者である。
- ジェラール・ジュネット
- コレージュ・ド・フランス教授。物語論の集大成として名高い「物語のディス
クール」が主著。構造主義に基づく彼のナラトロジーは、ポスト構造主義からの構
造主義への異論を考慮しながら現在もなお進化し続ける。近著「パラプンセスト」
は、パラテクスチュアリティのエンサイクロペディア。そして彼のナラトロージー
は言わば「文化の詩学」である。
- ロラン・バルト
- コレージュ・ド・フランス教授。交通事故で死亡。青年期に肺を患い療養生活
を送るが、その環境で書いた論文を封切りに、次々と新進気鋭の論考を世に問う。
その論考は、ソシュールの言語学を根底に、広く文学から宗教にも及ぶ。「記号学」
がメジャーな用語として定着したのは彼に依るところが大きい。
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どうでしょう。ブラウザの出力を確認してみましょう。おそらく、多くのブラウザ
では、- を、インデントをいくらかとって表示するでしょう。
ではこのリストは、説明をインデントする働きしかないのでしょうか。そうではな
いですね。「もう分かってるよ」とおっしゃる方もいらっしゃるかとは思いますが
何度も言います。「HTMLは見栄えを指定するマークアップ言語ではない」んで
す。インデントは、たまたまそのブラウザがそういう「表現」をしただけです。
たとえばこの
でリストを作ることにどんな利点があるのか。このタグの内部に
は- があって、それに対する説明が
- にあるわけですね。だから、たとえばW
EB上を自動巡回するロボット(プログラム)が、
だけを拾い集めてきて、W
EB上の小さな情報を百科事典としてデータベース化する、というようなことも可
能・・・かも知れません。
WWWの情報は膨大ですが、整理がつきません。また質も(管理者がいないからで
すが)バラバラで、今までの常識では「屑情報」として世に表立つこともなかった
ような情報が転がっています。しかし反面、今までは商業ベースに「採算が合わな
い」という理由で載せられず、結果として、世の中に披瀝されることのなかった情
報が公開されるようになりました。殆どの人にとっては「屑情報」だが、しかし或
る(かなり限られた少数の)人にとっては極めて有用かも知れない情報・・・それ
がWWWの世界を構成する最大多数の情報です。そういう情報を埋めてしまわない
ように、僕たちのできることはしなくてはならないと思います。
ちょっと横道にそれますが、たとえばというタグがあります。これは、そ
のページの製作者の情報を囲むためのタグです。で、このタグで「池田蛇足」を囲
ってみても、多くのブラウザは別にその文字を太字にしたり、斜体にしたりしませ
ん。つまり、見た目は全く変わりません。にも関わらず、このタグは書くべきもの
です。HTMLは見栄えでなく、その要素が文中の論理関係の中でどのような位置
づけにあるか、どういう意味を持つか、それをマークアップするための言語です。
「ここに製作者の情報があります」とマークアップしておけば、将来、ウェッブペ
ージの製作者情報を収集するロボットや、何かボタンを押せば製作者情報を示すよ
うなユーザーエイジェント(ブラウザも含む)が現れたときに対応できます。
じゃあ話を元に戻して、リストの説明を続けましょう。