"うに"と"ぷりん"

  いうまでもなく、どちらも思考が停止した状態、もしくは
それに近い状態を言う。だが、思考停止に至る過程が、両者
では全く異なる。この両者の意味を混同している人の為にも
ここではっきりしておきたい。

  "うに":頭を長時間フル回転させていると、ほどなく"うに"
になる。フル回転させている間は、なるべく休憩時間をはさん
ではいけない。とにかく、ガツガツ、試験勉強や仕事の企画を
練り出すといった作業を続けるとよい。

"うに"状態は、ある種の達成感が付きまとうのが特徴である。

  "ぷりん":頭を使うことなく長時間、単純作業を続けている
と、ほどなく"ぷりん"になる。単純作業はまた、体力をつかわ
ないもののほうが、より"ぷりん"になれる。徹夜明け、飲んだ
くれた次の日などにも、なかなかいい "ぷりん"になれる。
  ただし、二日酔いになってしまうともはや "ぷりん" ではない。
二日酔いは頭痛、吐き気などの体調の異変が伴うが、"ぷりん"
状態は、体調は問題なく、あくまでも思考が停止した状態のみを
いう。

  ボクの職種はプログラマーである。プログラマーという職種は
"うに" にも "ぷりん" にもなれる、珍しい職種である。大抵の
職種は、"単純労働" か "頭脳労働" のどちらかに分類される
からである。
  プログラマーはある時、新しいソフトウェアの仕様を考える、
新しいアルゴリズム(プログラムの仕組みみたいなもの)を考える、
新しいプログラム言語の勉強をする、といった作業を要求される。
  この時は自分の知らないことを一生懸命考えるので、ガツガツ
と4〜5時間も勉強した挙句、"うに"状態に陥る。

  またプログラマーはある時、与えられた、決められた仕様を
元に、それをプログラム言語にただ単純に書き直す、といった作業
を要求される。
  これは実に単純な作業で、数時間もすれば、簡単に "ぷりん"
になれる。

  一度、"うに" または、"ぷりん" になってしまうと、作業効率
は極端に落ち込む。なんかボーっとしているうちに1日がすぎて
しまい、降り返ってみると、なにも作業が進んでいなかった、何て
ことは、みなさんにも経験があるのではないだろうか。

  では、この "うに" または、"ぷりん" 状態からどう脱するか
というと、ありきたりのところでは、一服する、コーヒーを飲む、
散歩する、など、一度作業から離れてみるという手が考えられる。
  これらはそれなりに効果があるであろう。しかし、一度作業から
離れてしまうと、次に作業に戻った時に、また集中力を取り戻す
のに多少の時間を要する。つまりロスがあるのである。

  そこで、机から離れず、しかも "うに" にも "ぷりん" にもな
らず、集中力を維持する、とっておきの方法があるので、ここで紹介
したい。その方法とは実に簡単なことで、

  "机にかじりつく"

ことである。これを単に言葉のあやとしてとってはいけない。実際に
机にかじりつくのである。これが不思議なほど効果があるのである。
実際に、ボクは大学受験の時に、この方法には大変お世話になった。
  では何故それほど効果があるのか、その根拠を幾つかあげてみよう。

脳に刺激を与える(その1):
  机にかじりつくとあごの筋肉を使う。しかも、普通は机というのは
とっても硬いので、とってもあごの筋肉を使うのである。そのことに
よって脳に刺激を与えるのである。ストレッチの一種だと思ってもら
えばいい。

脳に刺激を与える(その2):
  机にかじりつくとこう、何というか、汁というか、匂いというか
そうゆうものがでてくる。もちろんこれは木製の机でなければなら
ない。鉛筆をかじっても似たようなものは出てくるが、こちらは芯
や表面の塗料の匂いなどがまじってどうもよろしくない。
  机の場合は、もっと純粋な匂いとなって、それが脳に刺激を与える
のである。アロマテラピーの一種だと思ってもらえばいい。

脳に思いこませる:
  "机にかじりつく"という事を思うだけでは、脳に与えるインパクト
が弱い。そこでこれを体現することによって、五感全てを使って脳に
対して、"俺は今机にかじりついているんだー。"という事を伝える。
これにより集中力が再び高まる。マインドコントロールの一種だと
思ってもらえばいい。


  もちろん、"机にかじりつく" という行動は最終手段である。
できることならば、"うに" や "ぷりん" になった時点で、その日の
仕事、勉強は切り上げちゃって、遊びに行くなり、寝るなりするべき
である。
  ただ、どうしても時間がない人には "机にかじりつく" 事を実に
オススメする。だまされたと思って一度やってみていただきたい。

  ただし、あまり人前でやることはオススメしない。