相性の悪いプログラム

 サッカーワールドカップ、大会ごとに期待されるが、どちらも本大会に出るのが危ぶまれたくらいなので期待するのすら忘れられていた黄金カード「ブラジル対ドイツ」が今回は実現するかもしれない。どちらもチームの力は弱いが、ブラジルは個人技で、ドイツは組織力で勝ち進んできたといわれているようだ。しかしこれは間違いである。ドイツもゴールキーパーカーンの個人技で勝ち進んできたのである。
 しかしドイツも今の韓国が相手だと危ないかもしれない。決勝トーナメントなのにスタンドは韓国サポーターの赤一色。組織委員会が一人でも多くのサポーターを観客席に迎えようとチケット確保に懸命の努力を進めてきたに違いない。韓国と日本の差はこのへんにも現れているとうのは言いすぎであろうか。それにしてもドイツはダイスラーが間に合うのだろうか。

 ソフトウェアの相性というのは結構悩ましい問題である。
 良くあるのが、バージョン間の不整合、Windows3.1なら動くけどWindows95なら駄目、というやつ。ミドルウェアが絡むとさらに頭が痛い。
 アプリケーション間の相性はMacintoshが深刻であったそうな。「機能拡張」という常駐アプリケーションである。こいつらはメモリ上の特定のアドレスを占有してしまうので、相性の悪い2つの機能拡張を同時に使うとOSが起動すらしなくなる問題があるらしい。(私は幸いぶつかったことがない。Macを教えてくれたちゃいくん、ありがとう。)
 似たような問題はUNIXでもあるそうな。セマフォをメモリの特定のアドレスにとるアプリケーションがあるため「セマフォが10個じゃ足りません」というときに「じゃあパラメータを調整して20個にしよう」などという解決策をとる決断には大きなリスクを伴うらしい。誰がコンフリクトを起こさないと保証できるんだ。

 なるほど、IBMが1台のメインフレーム上で仮想Linuxマシンを複数立てるということをやった理由はここにあるのだな。メインフレーマーとしては、1台のマシンを複数に見せかけて使う理由としては「セキュリティ上分けておきたい」くらいしか想像できないのだが、UNIXでは「アプリケーション間の相性が怖いから、走らせるマシンごと分けちまえ」という発想があるのだろうな。

 どう考えても確信犯的な相性の悪さが、Lotus NotesとMS-OFFICE2000。Notesの入ったPCにMS-OFFICE2000をインストールするとNotesの動作がおかしくなるらしい。Notesの最大のベンダーが、この現象があまりにひどいので製造元に問い合わせると、そうなりますと認めたとか。(^^;うわさです。うわさ、うわさ。(「バグではなくて仕様です」と答えたのでないところに信憑性を感じるのですがね。)

 この相性問題。会社で使っているパソコンのウィルスパターンファイルをアップデートしようとしてまた別のことに気が付いた。
 ウィルスチェックプログラム本体はシステム寄りのことをしているから、他のアプリケーションとコンフリクトを起こすこともありうる。しかし、ウィルスパターンファイルだけの更新であれば、所詮はファイルをチェックするときに照合する「辞書」が変わるだけであるから、他のアプリケーションの動作には影響ないだろうと思いながら私は準備をすすめていた。
 しかし、気が付いた。これは会社のパソコンだ。当然自社開発のプログラムやマクロを持っている。こいつらの中にたまたま、ウィルスと誤認識されるものがあるやもしれない。

従って最悪の事態は、
ユーザーが自社開発アプリを立ち上げる。
そいつがメモリにロードされる際にウィルスチェックプログラムがウィルスと誤認する。
ユーザーはそのプログラムを使えず、代わりにメッセージが出る。
おおさわぎ。
 この現象は、ウィルスパターンファイルを更新しただけで発生しうるわけだ。
 しかも悪いことに万一発生した場合の対応策は「ない」。
 少なくともそういうことを未然に防ごうと、冷や汗をかきながら、自社開発アプリのファイルに片っ端からスキャンをかけた。
 助かった。

 もっとも、インターネットメールのゲートウェイのウィルスチェックの場合はこの問題は無視できる。外部とのメールの添付ファイルがたまたまウィルスパターンと合致したとしても、「疑わしきは通さず」といえば誰もが納得するだろう。少なくとも新しいファイルがインターネット経由で取り込まれなかったとしても、代替策がないわけではない。
 ところが、クライアントの場合は既に使っている業務アプリケーションもウィルスチェックの対象となるため、業務アプリケーションがウィルスと誤認された場合「昨日まで使えていたプログラムが、今日から使えなくなり、業務に支障が出る」のである。さらにクライアントの数はサーバーに比べてとても多い。
 で、問題が出たとして、それらのクライアントを元に戻せますか?(ウィルスパターンを元のレベルに下げてよいかというのも悩ましいところ。)

 そんなわけで、このチェック、これからも更新するたびにやんなきゃ駄目ですかねえ。でも他にやっている人聞いたことがないです。ちなみにやらなくていい理由知っている人がいたら教えてください。とても助かります。
 なぜなら、業務用端末のプラットフォームとしてMicrosoft Windowsが使えるからです。
 逆にウィルスパターンファイルと業務用アプリケーションの相性問題があり、パターンファイルのアップデートによって業務用アプリケーションが動作しないという可能性がある以上、少なくとも自社開発アプリケーションについてMS-Windowsをプラットフォームとして採用することのリスクが大きいのである。
 一太郎やPhotoShopなどの大物アプリを使う分にはいいだろう。ウィルスチェックプログラムのメーカーもその辺はチェックしてくれているはずだ。しかし、自社開発アプリケーションを使って、ウィルスと誤認された場合にパターンファイルを書き換えてくれという要求が通るわけがない。自社開発プログラムを書き換えようにも、どこを書き換えればよいのかわからない。であるからMS-OFFICEのマクロすら安心して使えない。

 仕方ない。Linuxを使うか・・・。というのがまともな判断といえようか。

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