最近「はりせんかまし」の更新をサボって何をやっていたのかというと音楽ネタ、目次へ
Yahoo知恵袋
にかかっていたのだ。
基本的にそういうところには口を出したくないのだが、あまりにもひどい例があり、どうしても説教したくなった。どんなのかというと・・・質問文にも著作権はあるはずなので、適当に要約する。
「ギターのジャンクをアンプに繋いだら音が出ませんでした。どうしましょう。半田付けは出来ます。」
これにレスが付いた「修理する知識と技術がないのに、ジャンクと表記されているものを安易に落札したあなたの責任だ。」至極ごもっとも。普通の人はそう思う。が、それに対する質問者の回答がなっていない。
「そのような回答は受け付けていないのでしないでください」。つとめて平静を装ったふりをして書いた。
《「ジャンク」は「ジャック」の誤植とみて回答します。》ジャンクのギターを繋いで音が出ないのは当たり前である。安かったからオークションで落として、鳴らなかったら聞けばいいや、、、なんという甘えきった態度であろう。
怒鳴りつけるのは簡単だが、それでは聞いてもらえない。そこで無理に「ジャンク」は「ジャック」の誤植とみなしたわけである。「ジャンクのギター」ではなく「ギターのジャンク」と書いてるわけだから、文章的にもこのほうがしっくり来る、というのがミソ。答える内容も同じなので問題はない。ノイズの出方、ピックアップを切り替えた時の変化、切り分けポイントを示して、以上に合致すれば、セレクタスイッチとジャックの間の接触不良、あなたに対処できるのはそこまで、合致しなかったらリペアショップに持って行きましょう。
とここまで書いてから説教。《ギターでよかったんですよ。レスポールで助かったんです。アンプの「ジャンク」品を試したのなら繋いで弾いたとたん感電する危険があります。アクティブ式のギターなら逆にアンプが飛ぶ危険があります。危ないことをやっているのです。そこは反省してください。》質問者はすぐに質問をCloseした。恥という言葉くらいは知っているようだ。まあ、折角IDをとったんだから、と適当に質問を見て回答を、私とは全然違う環境で育った奴が書いているので、いままで使わなかった脳の回路を使うことになり、結構おもしろい。
もちろん、単純に回答を返すなんてつまらないことはしない。Yahoo知恵袋、読むだけなら誰でも読めるわけだ。だから周りで読む人も楽しめるように書く。
愚痴、なんていいネタだ。質問者は「はいはいそうですね」と慰めてもらえることを期待しているのだろうが、相槌をわざわざ書く気はない。きちんと問題点を提示する。
「音大の練習室で演歌(自分のデビュー曲)を歌っていると別の学生に怒られた」
→あなたが学外で営利活動をやっている。その練習を学校でやっていいかという問題はある。あなたの活動が学校の宣伝になるくらいになれば文句は言われません。
「楽譜ばかり読んでいて、日本語の分からない奴にお勧めのクラシックは」
→アリソンのためのセレナード。楽譜に音符はなくて文章なので、そういう人がどう演奏するか私も興味がある。自分でも意地悪な奴だとおもう。でも間違えて愚痴を読まされてしまった身にもなってくれ。一応フォローも入れているんだ。それなりのやさしさは見せている。だから「意地悪」でなくて「悪戯好き」くらいで見てくれるとうれしい。
ネタふりもアレンジのしがいがある。「指パッチンは楽器でしょうか」。
「わかりません。手拍子だけの曲(ライヒのClapping Music)があるので、楽器には違いない。一方、契約の関係で演奏に参加できなくても手拍子だけならOKという例を複数知っているので、法律的には楽器ではないようだ。指パッチンも同様でしょう。」
まさか、こんな真正面から捉えた回答が返ってくるとは思わなかっただろう。なお、手拍子で参加したと私が知っている例は、イモ欽トリオのハイスクールララバイに細野晴臣が参加したもの。ジョージ=ハリスンのAll those years agoにポール&リンダのマッカートニー夫妻が参加したもの。それでも回答は相手に合わせているつもりだ。
「部活を引退したら、バンドを組んで学園祭に出ます。引退までにやっておいたほうがいいことは?」
引退、ってことは運動部だよなあ。ならば彼らが一番実感として分かってくれる言い方を。
「楽器を弾く筋肉、特に指を開く筋肉を鍛えなさい。一朝一夕ではつきません。」随分上から目線だが、質問に対する回答だからまあ、こんなもんだ。もちろん大多数の質問には普通に答えている。ただし問題は「相手が解決したいと思っていることが、本当に質問されているか」である。深読みの必要がある。
「握力がないのでピックを3本指で持っているのを矯正したほうがいいでしょうか。3本指で持っているせいかコードカッティングが重いといわれます。」
→カッティングが重いのはピックを深く弦に当てすぎているんだと思うぞ。「アコギから、エレキに持ち替えたらパワーコードと単音が上手く弾けません」
→今まで肘をボディに乗せていたのができなくなったから下手になったんだと思うぞ。別の固定法が必要です。昔の自分を思い出して・・・今の自分に教えてもらいたいことが沢山あったなあ。
昔の自分に一番説教したいのは「ピックは浅く当てて、疾く弾くこと」。
え、質問箱に参加しているのは音楽だけかって?うん。コンピュータとか書いたら大変なことになるじゃないか。本当は聞きたいことを見栄があってか書かない奴もいる。
はっきり聞いてくれればいいのに、しかし始末の悪いことに多少自分の知っている用語を交えて専門的な質問に見せかけている。
なぜか、曲目はGod Knowsが多い。というか、この曲の弾き方についての部分的な質問、やたら多い「イントロのピッキングはどうやるんですか」「タブ譜はリンク先ので正しいですか」。
こういう質問文にされてしまうと、「ダウン-プリングオフ-ダウン」とか、「ご紹介のタブ譜は間違ってますが本人も二度と同じには出来ないそうなので適当でいいです」という回答しか出来ない。
言外に言っていることがもちろん想像できるんだが。とりあえず抑えていた。が、あまりにひどいのがいたので、ついにリミッターを外した。「プリングオフってどうやるんでしょうか、同時にピッキングはしますか?」それすら知らずに何をやろうと思っているのだろうか。基本中の基本である。
一通り手っ取り早い方法をきちんと書いてから付け加えた。「あとこの曲を練習するための注意点があればお願いします」なんてあったしね。
で、練習の仕方ですが、、、何をアドバイスしようか考えるとき、普通はこういうことをバックグラウンドで考えながら回答を作ります。ところで同じように考えてわが学園のハルヒとの共演を目標にがんばった人、結構いると思うが挫折した割合ってどれくらいなんだろう。私の場合は、学園祭本番直前に歌詞カード渡されて、いきなりステージだっので何がなんだか分からないまま終わったのでよくわからん。賞はもらっていたようなのでまあまあの出来だったんだろう。(残念ながらギターの腕を買われてでなく、声量が足りないのでという理由で参加させられた。ただあんときだけは「あんたも協力しなさい」と手をつかんで引っ張られた。まさにアニメの1シーンのように。クラスメイトの前、本人も多少照れていたのだろうか。)
《初心者でもかなり適性があって、熱心に練習した場合は、2年くらいで形になるなあ。プロでもとちりまくる曲だから、まだプリングオフのやり方が全然わからない人間なら(さらにそれを自分で調べず、こういうところに聞いてくる人間であれば)、まあ5年先くらいになるかな。》
ずいぶん時間がかかるように見えますが、じゃあ小学校1年からピアノを始めて6年生、どの程度弾ける?プロでも本番では指が回らないような曲が弾けると思う?それはバイオリンの場合、木嶋真優はヴィターリのシャコンヌを幼稚園児のときに弾いた。15歳の五嶋みどりは、世界で初めてカプリースを音を抜かずに弾いた。確かにピアノよりバイオリンのほうがギターに近い。でもそんな天才は、こういう質問はしてこない。いってみれば2〜5年先を見据えて質問に回答するわけです。ただ曲目が曲目なので、質問者の求めているのは別にあるような気がしてたまらんのですね。なぜか、GodKnowsの弾き方に関する質問、やたら多いような気がする。
だから本当に聞きたいのは、こんなんじゃないかと想像するわけだ。
「今度の文化祭で暴れたい。ハルヒ似のかわいい子がボーカルをやってくれると言ってくれた。これはGodKnows やるっきゃないでしょ。なんとか秋までに形にしたい。どうすればいいでしょうか。」そうなると、どこをどうごまかしても格好がつくか、アウトロの盛り上がり方を殺がずに音をどう抜くか、指使いをどう簡単にするか、という実践的な方法を教えてください、という質問になるんじゃないかなあ。私もオトコノコだった。気持ちはよく分かる。それならそういう答えをしてあげたくなる。しかしその場合でも
「テンポ、4分音符=120で、DeepPurple Highway Starのソロ、16分音符部分が何とかなること。」
(この曲が速弾きという言葉を作った、というような古典の名作です。)
くらいの条件は付きます。ギターに限らず楽器を弾くときは力を抜け、といわれますが入れることが出来る力があって初めて抜けるのです。筋力をつけて指が回るようになり、かつバンド組んでで合わせる、というのは並大抵のことではないです。
無理なら悪いことは言いません。あきらめなさい。こればっかりは物理的な筋力ですから、ごまかしようがありません。
どうしてもというなら、
「パソコンをステージに持って行って、シーケンサーソフトとソフトシンセで音を出し、弾いたことにしろ。」
私の兄弟分は、天国への階段のギターソロ、最後の1小節だけはどうしようもなく、その1小節のためだけに、当時珍しく、高価だったシンセサイザーを使いました。
それにくらべりゃ楽なもんです。さてさて、ウチのガキが興味を示してきた。何書いてんの?説明すると「見せて」。
こいつも中々突っ込む奴である。「なめてる。合わせるだけで3ヶ月かかる。」一応バンマスの経験があるのでそういう気持ちになるのだろう。
読みながら「これ、パパの回答でしょう。すぐ分かる。理屈っぽくて、最初がガシーンと来るから。」回答の文章を練り上げた過程とか説明してやって、それはそれで興味深いと思うんだが、すぐに飽きられた。
でも、書きかけのを見て添削してくれた。「レスポールでテレキャスに近い音はどうやったら出せるでしょうか」という質問への回答なのだが、書き出しに一行追加させられた。《レスポールとテレキャスは対極の音、というイメージをお持ちかもしれませんが、ご安心ください。》ガキは「うん、これでいい」と納得して向こうに行った。ときどきこいつは見所あるんじゃないかと思う。ベストアンサーに選ばれることもなく埋もれてしまったが、自分で書いていて楽しかったのがこれ。「ギターとベースどっちが簡単ですか?」普通、僕にこんなこと聞いてくる奴いないよなあ。だから書けた。
《適性、の問題だと思っています。他人がこう書いているのを私が読んだら、きっと「一度こいつと合わせたい」と思うだろうなあ。
一見単純なフレーズに思いをこめて、つい流されてしまいそうになるのをこらえて正確なテンポを刻んでいるうちに、体の中から熱いものがこみ上げてくる、というタイプがベースに向いているような気がします。その適性の差が一番自覚できそうなのが、Beatlesの While my Guitar Gently Weeps。
クラプトンのギターとポールのベースの激突。クラプトンの流麗なソロと的確なオブリガードに対して、ポールのローインターバルリミットをものともしない気迫の重音。流れるようなサビの裏メロ。
コーダに入ってクラプトンの極上ビブラートと絶品チョーキングに対する、ポールの大地がせりあがってくるようなリズム。どちらに思い入れを持てるか、これで大体分かると思います。》
これにかかわらず例としてあげる曲に極端にBeatlesが多いのは、「一般教養として知っていてもいいでしょ」と質問者が試しに聞く時間をとるのが正当化できるからです。