プレ・クロマチック10.初めての曲

 ということで、つまり最小限の動きでギターを弾くクセがつき、左右の手を同時に動かす感覚が体得できてきたところで(最低3ヶ月かかると思いますが)、曲に移ります。  バイオリンの初習者はまず「きらきら星」なのですが、これは採用しません。隣同士の弦の音程差が完全五度であるバイオリンと違い、原則四度のギターでは、弦の振動長が長いこともあって冒頭の音程跳躍、ドとソの距離が長くなりすぎるのです。その分指に負担がかかる。ということで「ロング・ロング・アゴー」を最初に弾く曲とします。
 きらきら星だって開放弦を絡めればさほどの負担ともなりませんが、ギターってローコードを除いてあまり開放弦を活用しないのですな。その習慣になれるって意味もあります。(それときらきら星には休符がある。これが次の段階に行くとき考慮する点が一つ増えて邪魔なのだ。)

 まずは3弦5フレットの「ド」人差し指。ドード。薬指で3弦7フレットの「レ」。
以後、2弦5フレットの人差し指の「ミ」、2弦6フレット薬指の「ファ」、2弦8フレット小指の「ソ」、1弦5フレット人差し指の「ラ」。こうして書くとホント単純ですね。
 この調子で、ドードレ、ミーミファ、ソーラソ、ミー。ここの「ドレ」「ミファ」「ラソ」はピックをダウン&アップで。1拍を感じる間に2回ピッキング。(これ大事。1拍を感じる間に2回が八分音符で3回が三連符。4回が十六分音符。速度を倍にすると八分が十六分と同じ長さになるけど、リズムの取り方は違うのよ・・・え、常識だ?すみません、私バッハのハ短調プレリュード弾くまで気がつきませんでした。)
 原曲ではオクターブ下の「ソ」(4弦5フレット、人差し指)が入るけど、最初は省略していいや。ここだけ音が飛んでいるので、ちょっと難しいんだ。

 さて、曲を弾いていると、折角クロマチックで身に着けた「最小限の動き」の習慣を忘れちゃうことがあるんだな。最初からいい習慣になっていると大丈夫かもしれないが、私の場合矯正したはずの悪いクセが再発するという形になった。特に弦を移動させる際。
 そういうときは、前回も申しましたように手の甲を固定するよう気をつけるといいです。正確には手の甲の面を動かさない(上下左右に動く分にはいいけど、同じ平面状を動くように心がけてね、ということ)。従いましてここでも「サロンパス」のお世話になりましょう。
 そうだ。今まで「立って練習」って言ってきたけど、これは座って練習したのでいいや。その方が弦移動のときにフレットハンドの手の甲の平面を上下に動かしやすい。以前、手首を曲げずに肘から真っ直ぐ、って言ったけど、手の甲の平面を動かさないために、肘から手首を通して手の甲まで、極端には指の先端を除いてずっと、同一平面にするというのもいいかもしれない。それは真っ平らって風にはいかんけど、実は相当湾曲するはずだけど、気持ちとしては「あえて曲げていない」くらいにはなるんですな。で、最初に「(立って弾くなどという)そんな難しいこと、私には出来ない」と言ったロバート・フィリップの左手、そんな感じなんだわ。あのユルユルの左手首、カッコ良さとチョーキングを考えなければ理想かもしれない。

 本講座を書くとき、ちょっとあこがれていた教え方というのがあって、できたら近いものを提示したいと思ったんだわさ。自転車の練習方法で聞いたのだが、「ペダルを外せ」ってのがあった。自転車が乗れないときは、まず自転車屋さんに行ってペダルを物理的に取り外してもらい、地面を蹴って進む。転びそうになったらすぐに足を着く。足をつけずに進める距離がだんだん長くなるようになるから、いいかな、と思ったところでペダルをつけてもらい今度はこぐことを覚える。少なくとも倒れないで進めるようになっているから、1日で乗れるようになるそうです。すごいでしょ。当方の教え方、これには到底及びませんが、似たものは紹介できた。一つがこの「サロンパス」。あとは第4講で出したテレフォンカードかな。
 「コツ」ってのもいくつか提示したかった。いままで聞いた「コツ」で一番感心したのは「金魚を飼うと思うな、水を飼うと思え」。なるほど、でしょ。(「コツ」って言い方にはいろいろな解釈があるけど、個人的には、最終目的から焦点をよりコントロールしやすい操作目標に置き換えて、具体的に最終目的を達成しやすくする手法を提示すること、と思っている。)

 ついでに書いておくと、基礎練習と称して、ストレッチやるのはこの段階では反対です。初めのうちはできるだけ指使いの楽なものにしましょう。というのは、小指を伸ばすと、伸びるんだけど、反動で人差し指が離れてしまいがちです。これが癖になると結構致命的。ホントは「国民的練習曲」ドラえもんのうたのイントロ、紹介したいのですが、強烈なストレッチ練習を意識した指使いにしてしまったので、、、もっと上手くなってからね。

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