手が小さい方がベース向き

 楽器を扱う場合、特にギターやベースのようにサイズの大きな楽器の場合、手の大きさは重要なファクターとなる。ぶっちゃけ手が大きい方が弾きやすいのである。
 努力によってカバーすることは十分可能であるが、逆に言うと手が小さい分、プラスアルファの努力が必要だということであり、不利だという感覚は否めない。

 では手が小さい場合、ギターとベースのどちらがまだ負担が少ないかというと、これはベースです。というのは、ぶっちゃけ、どんな人であっても、ベースを弾くには手の大きさが十分と云うことはないからです。
 ベースを構えたとき、普通は4本の指で3フレット分をカバーするのが精一杯です。それに対してギターは4フレット分を常時カバーし、かつ(四度調弦だから)左右に1フレット分ストレッチすることが当然視されています。しかも「和音」を弾くのがこれまた当たり前。この場合、二か所以上を同時に押さえないと音が出ない。押さえるのが離れた場所であった場合、当然押さえる指の間は大きく離れることになります。この場合手が大きくないと辛いのです。
 一方、ベースの場合は原則和音を押さえませんので、その場その場で1カ所だけきちんと押さえることができれば弾けます。だから手の大きさは必須ではありません。ポジション移動が素早くできれば、多少音が途切れるにしても「手が小さくて演奏できない」ということはありません。

 今「ポジション移動」ということを述べましたが、これがポイントとなります。
 先ほど「4本の指で3フレット分をカバーする」と言いました。実際には4度調弦ということから、クロマチックですべての音を出そうとすると、左右に5フレット分移動しなければならなくなります。ギターはこれを人差し指ないし小指を伸ばして対処することが多いですが、ベースはすでにこれだけで1フレット単位のポジション移動を必要とするということです。これは意識して、無理に指を伸ばすのではなくポジション移動で、を意識して運指を組み立ててください。

 まとめていうと「ベースは誰が弾いても手の大きさが足りない。だからポジション移動が必須。その代りポジション移動をいとわなければ、重音がないので手が小さくても弾ける。」
ということです。
 そうなりますと、太いとはいえ弦が4本しかありませんから、指が短くてもさほど苦労せずに4弦に指が届きます。ギターだと、これが結構苦しいのです。とりわけハイポジションになるとね。
 なので、手の大きい人と小さい人がいる場合。他の条件を同じとすれば、手の小さい人にベースを弾いてもらう、という判断が正しいのではないか、と当方考えておるわけです。

 ベースに重音がないのは、音域が低いので「ローインターバルリミット」に引っ掛かるからであります。ようするに出す音が低すぎて和音が濁る。だから「これ以上低い音ではこの度数の和音は使うな」というガイドラインまであるのです。

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