中国でついに感染者!成田でのトランジットを「日本からの帰国者」と紹介するのは悪意が感じられるが、よく読むと熱があるので自発的に病院に行ったので発見されたとか。ということは中国では水際対策をやっていない!日本に委託したつもりだったのだろうか。社会問題ネタ、目次へ
つまり、中国では人知れず新型インフルエンザが入っていても変じゃない。あれほど大きく人口の多い国で発病者がない、というのは妙だと思っていたら要するに検査をしていないから分からなかっただけらしい。すなわち気がついたときには拡大して手の施しようがなかったメキシコと同じような状況らしい。もっとも合衆国だって似たようなものだ。感染者拡大は検査キット配付先の拡大に歩調を合わせているみたいだから。
まあこの勇気ある中国人のおかげで、日本の水際対策、漏れが実証された。その第1号は乗り継ぎ客だったというのは、当局の面子を考えると悪くない。やはり日本ってめちゃくちゃ運のいい国だ。
しかし中国も水際を日本に任せていたつもりなのなら大国としての自覚を持ってそれなりの経済的/人的貢献を行っていてほしいものである。そのうち言うかもしれんな。帰国する際はかならず日本に1週間滞在すること、とお触れを出すとか。その分、日本の内需は拡大し、景気刺激にはなるかもしれないが少々怖いなあ。ともかく日本の必死の水際対策によって寝屋川の高校教師の「マスクははずかしい」という緊張感のなさもなんとかカバーされたわけだ。離れた席だが同じ団体だ!と気がついて追いかけていった検疫官、疲れきっていたはずなのに。首相や厚労相も「国内発生には当たらない」と声明を発するよりも「第一線の方々の努力で、国内発生一歩手前で防げたことにお礼を述べたい」と労をねぎらいながらさりげなく「国内発生ではない」と言い張ったほうがよいと思ったんだが、、、今の国民にははっきり言わないと分からんのかな。進学校の教師ですらあのとおりボケているからね。この人はやがて派手に責任を取らされることになろう。学校名、個人名を伏せていても無駄だぞ。巻き添えで停留された人たちから訴訟を起こされるかもね。相手は日本人だけとは限らないぞ。
いずれにせよ、第一線の検疫官をもっと称えないと。「水際阻止は効果がないとWHOにさえ言われたし、そろそろ国内拡大を抑える段階に移行したほうが現実的では」とモラルハザートが起こっても私は理解できる。でもこの人たちのおかげで幸か不幸か国内はきわめて冷静である。連休明けに新型インフルエンザ対策PTが組成されて呼ばれるかなと思ったが、そうはなってない。終わってみれば前例のないことに見事に対処して、周囲を満足させる(誰も傷つけないから)ことができる私向きの仕事なんだが。とりあえず個人では感染予防にマスクしてうろついている。もっともN95マスクはもったいないので、今は格安使い捨てマスクを使っている。ところでマスクしててもタバコの匂いは感じるんだが大丈夫だろうか。
と、私も随分たるんできたので、そろそろ笑う力もない。というわけで新しい用語を勝手に作る。「サイレントパンデミック」。
とりあえずは、初期のメキシコのように人知れず感染が広がっている、ことを言うことにする。ついでに、発症力のないインフルエンザウィルスが人知れずひろまっていることも含める。これは鳥の世界ではよくあることにちがいない。でなければH5N1ウィルスでカモはとっくに絶滅しているはずだ。
新型インフルエンザは、思っているよりもずっとたくさん発生しているはずだ。更には種としての寿命が短いらしい、ということに思い至った。研究の進んでいるスペイン風邪。カモのインフルエンザウィルスから遺伝子配列が10箇所変わったところがあったらしい。でもそれまでに起こった全ての変異がその10箇所の変化を目指していたわけではなかろう。それ以外のパターンもあるはずで、今で言うフェーズ3のウィルスが何種類か生じていたはずだ。話によると今のH5N1の鳥インフルエンザの変異パターンも1つとは限らないらしい(本読んでて「中には〜という変異をしたものもある」という言い方から推測)。だからスペイン風邪も亜種が何種類かいたはずだ。
第1フェーズと第2フェーズは別のインフルエンザだった?間隔が短すぎる、それに適当なインターバルを持ってもっと沢山起こっていた筈だ。ということは、感染はしても特に発症しないインフルエンザがあって、実はそれが広がっていたのだ、と考えるのが妥当だ。
これについての可能性は気がついている人も多い。「豚インフルエンザに60歳以上の人がかからないのは、類似のウィルスにその年代以前の人がさらされたからかもしれない」とテレビで言っている人がいた。これがサイレントパンデミックだ。言葉のイメージは「サイレント地震」から借りてきている。日本で起きている地震の量ではプレートのひずみのエネルギーを解放しきれていない、なら体感できない別の地震が起こっているはずだ、という奴だ。
しかし、WHOや政府機関の関係者が言うべき言葉ではないね。いくら個人的な仮説としても60歳以上の人が安心してしまうじゃないか。というのはその推測が事実としても、60歳以上の人が体験したサイレントパンデミックは北米だけのことだった、という可能性があるから。また新種インフルエンザの大流行は20世紀だけでも3回起こっており、という言い回しも疑問が残る。19世紀はどうだったの?記録が残っていない、そうかもね。でも毎年受けるインフルエンザ予防接種の内訳は、20世紀の3回の子孫に対応するものである。
つまり、19世紀以前は本当は起こっていなかった!日本は鎖国しているから助かった?まさか、その後持ち込まれる機会はたくさんあったはず。合理的に説明できるとすると「インフルエンザの菌は種としての寿命がありこれが結構短い」ということだ。
種としての寿命とかの話になってくると、今度はスペイン風邪のウィルスが猛威を振るうと、その亜種は生活場所を奪われて絶滅する、などということも考えられる。もともとあまりにも強力な病原体は減るのだ。活動場所を自分でなくすのがイヤだから自分から弱くなるはずなのだ。
ここまでくると「利己的な遺伝子」の遺伝子が意思を持っているかのような仮説に近くなるが、遺伝子の中には生き延びるために何もしないものもあるらしい。インフルエンザウィルスの中にも生き延びるために特に害を与えない奴がいてもおかしくないし、そういうのがサイレントパンデミックを起こすと仮定すると、なんか納得がいく。
おそらく専門家も支持してくれるはずだ。でないと新型インフルエンザは怖い怖いとあおってきたのが嘘だということになってしまう。もし、近似のウィルスの流行によってウィルス自体が死滅するとすると、つまり「スペイン風邪」という代表選手によって、レベル3まできていた他のH1N1ウィルスがいなくなったとすると(現象としてはこうなのだ)、サイレントパンデミックを起こすH5N1のウィルスが代表選手となれば、今問題となっている強毒性H5N1のウィルスを消せる可能性があるということだ。
あまりにもリスキーで、実験できないかもしれない。が、ワクチンが全国民分作れなくてもそれ以外の処方があるかも、ということ。ペニシリンを発見したフレミングの気持ちが見えたような気がする。
シャーレに青かびが生えたのはそのときが初回じゃないと思う、よくある事故だ。何度も何度も失敗作を捨てていて、またか!と忌々しいシャーレを見てたんだろうね。慣れっこになるうちに余裕が出てきて日によっては「今日の模様はきれいだな」などと感じたかもしれない。そのうちに気がつく「あれ、青かびが生えているときに限って妙に整然としているな」と。
多くの人の命を救った大発見まであと一歩。