「匿名」ではない「牽制」の欠如が問題だ

 モグラのように掘り続けてきたが、ここにきて妙に世間が私の脳内に一致してきたかのような気がする。

 そういえば、旧ソ連解体のとき、エリツィンが「ロシア革命以前の状態に戻す」とクリミアを併合しようとしたときに、日本としてはその考えに理解を示し「ならば千島列島も日本に返還で。その代り第2次世界大戦の結果として南樺太はロシアに返還してもよい」と交渉すれば4つの島くらい帰ってくるはずだと主張していたなあ。今、プーチンが元に戻そうとしてるなあ、などと思っている。

 んでもってクリミアの皆さんは、住民投票でロシアへの帰属ですか?これはフォークランド諸島のみなさんがイギリスへの帰属を投票したことを揶揄したのを思い出しますね。それが許されるなら、ロシア国内のしいたげられた各自治区はどこの国に帰属することを選択するでしょうか。例えばチェチェン共和国。それを考えるとやらせちゃだめなんですよ。EUはクリミアの住民投票を「茶番」と笑い飛ばします。アルゼンチンがフォークランドの住民投票を笑い飛ばしたようにね。ロシアはそれに合わせないといけない。

 一方ではクリミア情勢で金融危機が起こってはいけないとIMFが援助を!なんて言ってます。ここで日本がどどーんと1兆円ほど援助してはどうでしょう。もっともどこに資金を出すかというのは悩みのしどころで、ここは「クリミア共和国」が適当でしょう。どっちに転んでもいい顔できます。1兆円がどこにあるかって?いや、韓国への貸付への請求権を移転すればいいです。これは同時に韓国の経済の信用を高めようという意図もあるんです。金融危機を防ぎたいIMFは間違ってもこの「韓国への債権1兆円」を無意味というわけにはいかない。
 だからIMFは信用上問題はない!と発表する義務がある。これで経済失速がうわさされている韓国はIMFのお墨付きをもらうことができ、一挙に信用力が高まる。これで一息ついて、その間に内政をしっかりやればなんとか持ち直すかも!
 SDR提供を超えるウルトラCのテクニックであるが、一つだけリスクがある。クリミア共和国が国際的取り決めに反してロシアに併合されてしまった場合、プーチンは韓国から容赦なく取り立てるだろうということだ。韓国国内のロシアの資産を保全するため、という前時代的大義名分で軍隊を派遣することに、彼は抵抗なさそうだからね。もちろん、国庫に金があれば全然問題ないのだが。

 というわけでもう一つの金融危機、ビットコイン問題である。当然のように各国政府静観。システムトラブルでお金が無くなりました、ってことらしいが「持ち逃げ」の感は否めない。
 そもそも信用するのが悪い。以前から書いているのですが、誰がハードディスクからバックアップが取れるようなお金を信用するか、です。バックアップが取れるということは、所有者の意図に反して使用できる可能性があるということであり、バックアップがとれないということは、システムクラッシュっでなくなります、ということである。
 この辺は信用通貨と大きく差がある。物理的に硬貨や紙幣を保有しているのでない限り、匿名性なぞない(銀行預金だからね)。だからバックアップを取ってもそれはデータであって元に戻せます。
 だから15年以上前になるかな?電子通貨は小切手帳の電子化で実現すべきと主張したのだ。なぜかSUICAみたいな「汎用プリペイドカード」が電子マネーみたいな感じになっているが、これも匿名性があるからやばい。
 SUICA自身は記名式だが、受け取る側は匿名だ。さらには今のやり方だと、お金を払う際、財布ごとポンと渡して代金分とってくれということになる。こう説明すると誰もが納得。なんか変だね、と言ってくれる。でも受け取る側が匿名ってどういうこと?って感じるでしょうね。
 そこで追加説明。「もし受け取る側がJR東日本1社なら、大きな問題とはならない。何か不整合が起これば、それはJR東日本の責任だとわかるからね。しかし、複数社が残高を引き落とすことになった。すると利用者は不整合を発見してJR東日本に訴えても、JR東日本は取り合ってくれないだろう。」(クレジットカードは誰がいくらとったという記録が還元される。
 するとなぜか、皆さん問題点は認識しつつも「誰かがうまく考えてるんじゃない?」と言ってくるんだよなあ。でもさ、そんなこと考える人がいるわけないじゃない。(JR東日本は、利用履歴を個人情報付きで売ったんだから、そのくらいのことは分かっているはずなんだろうが、確実にわかりませんするだろう。)

 ここで問題の核心が顔をのぞかせる。なぜSUICAが欠陥か。受け取る側が匿名だからだ。なぜビットコインがうさんくさいか、作る側も預かる側も匿名だからだ。しかしもう少し考えてみよう。だれがSUICAを余分に引き落としたか、ビットコインを持ってトンずらこいたか、追跡できればそんなに問題ではない。そのとき主体が誰かというのは分からなくても構わない。資産が差し押さえられればいいわけだ。
 つまり「こいつが悪い」と特定でき、その「こいつ」の資産を凍結することが出来れば特に問題ないわけだ。それは匿名口座でもいいんだよ。

 ちょっと展開して、ネットでは匿名だから言いたい放題、という言い方がよくされる。でもそいつが誰かわからなくても、Webの果てまで追いかけていって「このIDの人です」と示すことが出来れば、言いっぱなしなんてことはたぶんしない。その「ID」として、そういえばIPアドレスなんぞが気にされていたんだな。「メールのヘッダーを公開するぞ」「それだけはやめてくれ」とかさ。ビットコインだってどこいったのか、トレースできればこんな問題は起こらない。
 一応流通先は確認できるそうだが、ビットコイン、クラックできればそれっきり、だからクラックする人もできるだろうし、クラックされました、といえば持ち逃げしてもわからない。セキュリティが甘い。この甘さを甘く考えていたことが、今回の事態を招いたのだろうね。

 匿名が問題なのではない。「牽制」が効かないのが問題だと思うわけだ。下手すりゃロシア軍が取り立てにやってくる、といった牽制があれば、だれもそんな無茶はしない。ウクライナの政情不安を助長した人たちはパラリンピックが終わるまでロシアは手荒な真似はすまい、その間に・・・って牽制の空白期間が生ずるだろうとおもったわけだ。
 しかしノーベル平和賞候補にノミネートされたプーチンは、積極的平和主義者(このくくりで言うと安倍総理とおなじ)だったわけだ。なるほど、それで官房長官がプーチンの行動に理解を示すわけか。

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