わたしには理解できないが、アインシュタイン方程式を何かについて解くと立派な業績になるらしい。ところでe=mc**2というのもそれなんだろうか。社会問題ネタ、目次へ
なので自分のできる範囲で、歴史の苦手な人(例:わが娘)のために歴史を人ついて解くことにした。歴史を勉強するときに面倒なのは多種の事象が相互に関連しつつ独立に、同時に進行してゆく、ということを理解することである。仕方ないので、年号を軸にしてまとめてゆくということをすると分かりやすい・・・ように見える、が、実はそうとも言えないのだな。
たしかに「地質時代」の歴史は年号でまとめるのが良かろう。白亜紀はだいたい1億五千万年前から6千5百万年前よ、ってね。ところが歴史を人間がつかさどるようになるとこれではうまく行かない。〜だから年号に合わせて地質時代のように時代を特性に合わせて大まかに分けることは便宜として必要だが(例えば1868-1919を明治時代とする、とか)、例えば「出来事」とか「人間」で分ける必要が出てくる。武家政治の時代は「人間」ごとにまとめるとやりやすいかな。戦国時代を中心にスターが多いからね。室町時代、これはピークに達する。
実にまとめやすい。 (室町時代でも例外的に、承久の乱→御成敗式目→六波羅探題、というスターにあまり関連しない流れがあるが。)
- 足利義満=幕府の権威確立(南北朝の統一/守護大名を抑える)=勘合貿易=金閣寺=北山文化。
- 足利義政=後継者問題(応仁の乱)=銀閣寺=東山文化
文化についても、運慶快慶、だいたいにおいて担い手がいる。商業の発達、あたりで主体の名前が出てこなくなるが。時代が下がって織田信長、豊臣秀吉となるとスーパースター過ぎて関連する項目が多いが、彼らは歴史そのものだから多くなるわけであって、人間中心に歴史を読み解くことに困難はない。
ところが、江戸時代になって少々雲行きが怪しくなる。
将軍がスターなのは8代吉宗まで(ってこたあないが、慶喜を除いて奥に引っ込む)。以後、田沼意次、松平定信、水野忠邦、井伊直弼、と政治家中心になる。ペリーさんなんぞも混じってくる。それでも政治はよい。文化は「代表作とその作者」を並べただけではおっつかなくなる。
化政文化の栄えた当時の将軍は家斉だが、この人が何かやったというわけではなさそうだ。定信を追放した後、政治が腐敗するに任せて文化が栄える余地を作ったということはできるかもしれないが。そして幕末になると一気に破綻する。坂本竜馬は大スターだ。しかし具体的に何かやりました?吉田松陰の妻がいかに軽い存在かは、どんなに頑張っても今年の大河ドラマが盛り上がらないことで証明されていると思う。
そして明治維新。伊藤博文をはじめとしてスターはいるがスターのやった以上のことを官僚がやっているのが分かってしまう。すると暗記事項に人が混ざるというのは残るとしても、歴史の流れと人を結びつけてもしっくりこない。
というわけでこの時代から歴史を人について解くのはやめようと思った。ちなみに私の頭の中で、明治時代は1919年の第一次世界大戦終戦まで続く。それともなんだね、大正天皇がデモクラシーを推進したとでもいうのかね?つまり明治時代は元号が明治の時代ではなく、政治形態を変えて欧米に追い付くまでの時代と捉えているわけだ。なので第一次大戦で終わり、国際連盟常任理事国就任で完了する。
というわけで明治時代を
「大目標:欧米列強に追いつく」
から区分けしてゆくと頭に入りやすいんじゃないかしら。
ならばビジネスハウツー本の目標管理のやり方が使える。とりあえずバランススコアカードでもやってみようかな。さすがにそのままの用語は使えないので、少々アレンジする。結構イケちゃうじゃないの。バランススコアカードをキッチリとやっている人から見ると「なんじゃこの歪曲は」かもしれないが、少なくとも一つの大きな目標を達成するために、いくつかの側面を提示し、それぞれの分野で達成すべき目標を設定してゆく、というバランススコアカードの精神は外してないと思う。(世の中には目標は4種類立てる、というのがBSCと思っている人が少なからず実在する。)
- 財務の視点(富国強兵)
- 地租改正
- 顧客の視点(国民へのアピール。外交)
- 五箇条の御誓文
- 日清戦争
- 治外法権の回復
- 業務プロセス(政治制度改革)
- 自由民権運動
- 大日本帝国憲法
- 学習と成長(文化、インフラ)
- 学制発布
- 鉄道敷設
ついでに対比して生まれる闇の部分を記載する欄も作っとくといいよ。五榜の掲示とか西南戦争とか。ビジネスハウツーでは無視される項目だが、忘れてはならないものだ。ほいでもって、国際連盟の常任理事国となり、この目標が達成されたため、各サブ目標は統一的な大目標を失ってしまう。一方、欧米列強は日本を黄色い邪魔者として意識しはじめ(それまでは「東洋の番犬」として人間以下だった)、いろいろと圧力を加えるようになった。かくして、各分野が圧力に抗いながら(東アジアブロック経済圏の構築?)、やりようがなくなって迷走した昭和前期という時代に進んでゆくわけよ。 おお、時代の流れが読めた。
さらに悪乗りしてプロジェクト管理シート風にしてみる。さすがにPMBOK使うにはタームが長すぎて合わないが「結構イケる!」。今度は何となく腹が立ってきた。なんでこういう風にわかりやすいまとめ方があるのに誰も教えてくれなかった。
もっとも明治時代以外でこのやり方が合うかは疑問。あの時代は世にも稀なる目的意識のはっきりした国家一体型プロジェクトをやっていた時代だったのだろうなってのがこの辺でもはっきりわかる。
いや稀な時代でもないかな?「もう二度とあんなひもじい思いだけはしたくない。全国民が一丸となって取り組んだ結果、戦後わずか15年にして食料自給率は100%に達し、ここに日本は有史以来初めて、全国民が米を腹いっぱい食える国になったのである。」名誉のために言っておくが、うちの父親の教え方はこれよりはるかにわかりやすい。が、教えるのが歴史というより歴史のどうとらえるかの考え方、なのだな。なので教えた内容を一覧にすることはほぼ不可能。同じ事象を何度も取り出すが都度別のものにリンク付けする。結果脳内には歴史の流れが強固なイメージとして仕上がり、まず忘れることはない。忘れても他のところからリンクをたどると、選択肢のどれが正しいかくらいは確実に導き出せる。私がこういう表を生み出せたのは、そんな教育を受けたからである。ただし恐ろしく手間がかかるし、吸収しきれる人間はひょっとしたら稀かもしれない。
タイトルの「歴史観の目録」。一度使ってみたかったのよ。「目録」は英語でLexicon。 え「歴史観の用語体系」と訳した方がすっきりするってか?うーん、そうなんだけどね。