<BASIC言語の書式> BASICプログラムの記述は、行番号式、ラベル式、その混合、いずれの方法でも構 いません。以下、仕様について述べます。 <利用可能な変数型> 利用できる変数の型は、32ビット符号付整数(-2147483648 以上 +2147483647 以 下)と、文字列型の2種類です。文字列の末端部には0x00が付加されます。 A-Zの26個の整数型変数が利用可能です。文字列として扱う場合はA$のように記 述します。ただし、A(整数型)とA$(文字列型)を同時に使用することは出来ま せん。 整数型の定数は、10進法で記述します。16進法を使う場合、「$1200」のよう に、頭に「$」を付加するか、「0x1200」の様に表記して下さい。 文字列型の定数は、「"」で囲って記述してください。「"」を使用する場合は、 「CHR$($22)」のように記述することが出来ます。 <命令> 以下、x, y, z等は整数値を、x$, y$, z$は文字列を指します。xxx, yyy, zzz, www等は任意のステートメントを指します。[ ]は省略可能である事を示します。 命令同士を「:」で区切ることにより、一行で複数のコマンドを処理すること が出来ます。 BGCOLOR r,g,b 背景色指定。 CLEAR すべての文字列型変数と整数型配列を破棄し、整数値を0とする。また、 PCGの使用をやめ、表示キャラクターをリセットする。 CLS スクリーン消去。 COLOR x テキスト色指定。 CURSOR x,y カーソル位置指定。 DATA x[,y[,z[...]]] データー列を整数値で指定する。 DIM xxx [, yyy [, zzz [, ... ]]] 整数型の一次元配列を割り当てる。 xxx,yyy,zzzは、例えば「A(10)」のように記述する。この場合、A(0)から A(10)までの11個の整数型変数が確保される。 DRAWCOUNT DRAWCOUNT値を指定する。DRAWCOUNT値に付いては、DRAWCOUNT()関数を 参照。 END BASICプログラムを停止する。 EXEC x[,y[,z[...]]] 機械語を実行する。ただし、x,y,zは32ビット整数値。 FOR x=yyy TO zzz [ STEP www ] NEXT yyyで示された計算結果をxに代入し、xの値がzzzになるまで次のNEXT文 までのステートメントを、繰り返し実行する。繰り返しのたび、xの値は wwwずつ増加する(省略された場合は1ずつ)。「NEXT」の次に何も記述 しないことに注意。 GOSUB xxx 現在の実行位置を記憶し、xxx行目(もしくはラベル)に移動する。 GOTO xxx xxx行目(もしくはラベル)に移動する。 IF x THEN yyy [ ELSE zzz ] xが0以外のとき、yyyを、0のときzzzを実行 LABEL xxx GOTO/GOSUBのジャンプ先を登録する。xxxは、英数字6文字以内の文字列。 [LET] x=yyy yで示された計算結果を、xに代入する。「LET」は省略可。 [LET] x$=yyy yyyで示された文字列(もしくは連結結果;連結演算子は「+」)を、x$に 代入する。「LET」は省略可。 MUSIC x$ BGMを演奏する。詳細は、下記の項を参照。 PALETTE n,r,g,b パレット指定。 PCG x,y,z ASCIIコードがxの文字の表示キャラクターを変更する。y,zは、キャラク ターデーター。詳細は、下記の項を参照。 POKE x,y xで示される物理的アドレスに、yで示される値(1バイト値)を書き込む。 PRINT [ xまたはx$ [ ,または; [ yまたはy$ [ ... ]]]] ディスプレイに、整数値または文字列を表示する。「;」を使用した場 合、次の表示が続けて行われる。「,」を使用した場合、10文字ずつ に区切って表示される。どちらも使用しない場合、次の表示は行を変え て行われる。 REM xxx 何も実行しない RESTORE xxx DATA読み出し開始位置を指定。xxxは行番号もしくはラベル。 RETURN 最後に実行されたGOSUB文の次のステートメントに移動する。戻り値を指 定することがができる。この場合の戻り値はGOSUB()関数にて取得が可能。 SCROLL x,y 画面を横方向、もしくは縦方向(斜めも可)に動かす。動かす方向と大きさ は、x, yでそれぞれ、横方向の移動度、縦方向の移動度として指定する。 SOUND xxx 効果音を再生する。詳細は、下記の項を参照。xxxは行番号もしく はラベル。 USEPCG [x] PCGを使用、もしくは使用停止する。x=0で使用停止、x=1で使用、x=2で キャラクターをリセットして使用。xを省略した場合は、x=1と同じ。 WAIT x xで示された時間、プログラムの実行を停止する。xが60の場合、約1秒間 停止。 <関数> 以下、x, y, zは整数値を、x$, y$, z$は文字列を指します。[ ]は省略可能である事 を示します。 ABS(x) xの絶対値を返す。 ASC(x$) 文字列の最初の一文字の、アスキーコードを返す。 DRAWCOUNT() DRAWCOUNT値を得る。DRAWCOUNTは16ビット整数値で、1/60秒ごとに1ずつ 増える。 GOSUB(xxx) GOSUB命令と同じだが、戻り値(RETURNを参照)を得ることが出来る。xxxは、 ラベルもしくは行番号。 INKEY([x]) xを指定しない場合、現在押されているキーのASCII値を返す。押されていな い場合は、0。ASCII値でxを指定した場合、そのキーが押されているかどう かを返す。 KEYS([x]) キー入力を得る。xの値は以下の通り。xを指定しない場合は、x=63と同じ。 KEYUP: 1 KEYDOWN: 2 KEYLEFT: 4 KEYRIGHT: 8 KEYSTART: 16 KEYFIRE: 32 LEN(x$) 文字列の長さを返す。 MUSIC() BGMの演奏の残り数を返す。 NOT(x) x=0の場合に1を、そうでない場合に0を返す。 PEEK(x) xで示される物理アドレスから1バイト読み取り、返す。 READ() DATA文の後から、一つずつデーター(整数値)を読み出す。 RND() 0から32767までの擬似乱数を返す。 SGN(x) xの符号(-1, 0, または1)を返す。 STRNCMP(x$,y$,z) 2つの文字列のうちz文字分を比較し、結果を返す。同じ文字列の場合は0。 TVRAM([x]) ビデオRAMのx番目の内容を、バイト値で返す。xを省略した場合、ビデオ RAMの開始位置の物理アドレスを返す。 VAL(x$) 10進数もしくは16進数文字列としてのx$の値を、整数値で返す。 A$(x [,y])など xの値が0の場合、文字列全体を返す。 xの値が正の場合、xで示される位置より右側の文字列を返す。 xの値が負のとき、文字列の右側x文字を返す。 yが指定された場合、y文字分の文字列を返す。 CHR$(x) xをアスキーコードとする文字を返す。 DEC$(x) xの値を、10進数の文字列として返す。 HEX$(x [,y]) xの値を、16進数の文字列として返す。yが指定された場合、yバイト長の 文字列になる。 INPUT$() 文字列入力状態になり、入力が終了すると(Enterが押されると)文字列を返す。 <演算子> -x 符号を反転 x + y 整数加算 x - y 整数減算 x * y 整数乗算 x / y 整数除算 x % y 整数剰余 x = y 2つの整数値が等しい場合に1、そうでないときに0 x != y 2つの整数値が等しい場合に0、そうでないときに1 x < y xがyより小さい場合に1、そうでないときに0 x <= y xがyより小さいか等しい場合に1、そうでないときに0 x > y xがyより多きい場合に1、そうでないときに0 x >= y xがyより多きいか等しい場合に1、そうでないときに0 x AND y xとyの値のビットごとの AND(論理積でないことに注意) x OR y xとyの値のビットごとの OR x XOR y xとyの値のビットごとの XOR x$ + y$ 文字列の連結 なお、整数演算子の優先順位は、優先度が高いものから以下の順です。 + - (単項演算子) * / % + - (加算・減算) < <= > >= = != XOR AND OR <MUSIC> MUSIC命令では、BGM用のデーターを文字列で指定します。文字列の書式は、ABC notationに準拠しています。ただし、すべての記法が使えるわけではありません。 なお、キーや速度などのデフォルト設定値は以下の通りです。 Q: 1/4=90 L: 1/8 K: C BGM演奏時に一度に設定できる音の数は、31迄です。これを超えて音楽を再生したい 場合は、MUSIC()関数の戻り値を調べ、その値が十分小さくなってから、次のMUSIC命 令を実行するようにします。 添付のmusic.basに、使い方に関するサンプルがありますので、参考にして下さい。 <SOUND> SOUND命令では、DATA列のデーターを、行番号もしくはラベルで指定します。SOUND命 令による効果音再生中は、BGMは再生されません。また、前の効果音が終わる前に次 のSOUND命令を実行すると、前の効果音の再生は停止し、新しい効果音がすぐに再生 されます。 DATA列では、32ビット整数値として、交換音を表現します。この整数値の下位16 ビットは周波数の指定です。2048が440Hz(ラの音)に対応します。値が大きくなるほ ど、より低い音が出ます。上位16ビットは、音の長さです。1が、1/60秒に相当し ます。最後に、65535以下の値で、効果音の繰り返し回数を指定します。これらのデー ターの数は、32を超えないようにして下さい。 添付のsound.basに、使い方に関するサンプルがありますので、参考にして下さい。 <PCG> PCG(Programmable Character Generator)を用いると、ASCIIコードごとにフォント を指定して、疑似グラフィックスとして表示させることが出来ます。使用する場合 は、まず USEPCG とします。フォントの変更は、PCGステートメントを用いて、 PCG 0x80,0x80402010,0x08040201 の様に設定します。この例では、ASCIIコード0x80の文字のフォントを設定してい て、バックスラッシュの様な記号(左上から右下に向かう斜め線)が表示されるよう になります。PCGの利用を停止し、オリジナルのフォントに戻す場合は、 USEPCG 0 とします。再度PCGを使用したい場合は、 USEPCG として下さい。先に設定したフォントデーターが、復活します。なお、先に設定し たフォントデーターを破棄してPCGの使用を始めたい場合は、 USEPCG 2 として下さい。 <ヒント> FOR文では、TOステートメントの次に書かれた値に合致する場合(超えた時ではなく) に、ループから抜ける仕様です。また、FOR-NEXTループの途中で、GOTO文でループの 外に飛んだり、RETURN文を実行したりすると、予期せぬ結果(機器のリセット等)を 引き起こします。ただし、GOSUB文でサブルーチンを呼んだり、別のFOR-NEXTをネス トして使う事は可能です。 ON GOTO分やON GOSUB文はサポートしていません。ただし、例えば次のように記述す ることで、同様の動作をさせることは可能です。 GOSUB 10000+A .... 10000 PRINT "A=0" : RETURN 10001 PRINT "A=1" : RETURN 10002 PRINT "A=2" : RETURN 一行中で連続して文字列を扱うと、"String too complexed"というエラーがでて、 停止することがあります。この場合は、文字列を扱う命令を独立した行するか、文 字列関連の演算を幾つかのステップに分けて、それぞれ1行ずつの記述にして試し てみて下さい。 <バージョン履歴> ・KM-1120 2016年2月公開。  1.PCG機能を追加。  2.SCROLL命令を追加。  3.WAIT命令を追加。  4.「Ctrl+Break」キーによる実行停止に対応。  5.FOR無しでNEXTを実行した場合、GOSUB無しでRETURNを実行した場合にエラー    を表示して停止するようにした。 ・Ver 1.1.0 (KM-1110) 2015年12月公開。  1.2015年11月21日に変更されたPIC32TVGSの仕様に対応。  2.PS/2キーボードに対応。  3.INKEY() INPUT$() VAL() DEC$() の4つの関数を追加。  4.TVRAM() ASC() PEEK()が、0x80-0xFFの値に関して負の数を返していた不具合    を修正。  5.DIMステートメントにより配列を定義した際、すべての要素がゼロになるよう    にした。  6.単項演算子、「-」「+」を追加。  7.LABEL定義されていない飛び先にGOTOするとリセットされる不具合を修正。  8.同一のLABELを複数回使用している場合に、コンパイルエラーが出るように修    正。  9.引数を持たないPRINT文に対応。 ・Ver 1.0.5 (KM-1100) 最初の正規公開バージョン。