小説
●プランバーゴ

第2話

 とある娘がひとりで森にでかけ、そのまま行方不明になってしまいました。母親に頼まれて森にすむ祖母にパンとぶどう酒を届けにいったそうです。娘を探すように頼まれた美少女魔法士アリッサムは、娘が行方不明になった森へ向かいました。

 この森には最近、数人の盗賊が住み着いているそうです。おそらく娘は彼等に捕まったのでしょう。アリッサムは普通の町娘の格好をして、わざと不用心に森の中を歩きました。すぐに盗賊達はすがたを見せ、スケベったらしい笑みを浮かべてアリッサムを取り囲みました。アリッサムは形ばかりに抵抗してみせ、その後、わざと捕まりました。

 アリッサムが一番の得意とするのは操り人形と呼ばれる魔法です。実は男達に捕まったアリッサムは魔法の人形でした。東洋の魔法士が使う式神に似た魔法です。ただしこの人形にはいくつか欠点があり、たとえば声を出す事が出来ないので、アリッサムの声を魔法で伝える必要があります。
「いやっ 離して、助けてぇっっ」
 アリッサムは自分の声が直接聞こえてしまわない程度に距離を置いて、悲鳴をあげる人形を抱えた盗賊達を追いかけました。

 やがて彼等のアジト、洞くつに到着しました。そこには娘のすがたはなく、外れだったかとアリッサムはため息をつきました。ところがその時、男達のひとりがこう言いました。
「たっぷり嬲りつくした後、奴隷として売り飛ばしてやるよ。この間の娘みたいにな」
 どうやら間違いないようです。
 盗賊達は藁や草をひきつめたベッドにアリッサム(人形)を投げ下ろすと、一斉に襲い掛かりました。

 アリッサムは洞くつの外、めだたない木陰から魔法の水晶で中の様子を除き見しています。娘をどこに売り飛ばしたのか情報を聞き出せればよし、聞きだせなくても、男達はアリッサムを嬲りものにした後で娘と同じ所に売り飛ばすに違いありませんから、ほおっておけば、娘の所に案内してくれるでしょう。

 男達はアリッサムに催淫薬を使ったようです。ただ犯されるだけなら、なすがままにほおっておけば良いのですが、少しづつ薬の効果に犯され、快楽を押さえきれなくなり、やがては自分から求めていく・・・、そのような演技は人形には出来ませんので、アリッサムは直接操作する事にしました。人形を操作するには、実際に自分がそうしてるかのように、頭の中にリアルなイメージを描かなければいけません。
「あ、、あぅ、、ん、、ダメ、、、もう、我慢できません、お、お願い、、、」
 もちろん、先に述べたように声も出さなければいけません。

「そのうちにエッチな気分になってきて、いつの間にか手がいけないトコロに・・・」
 ベットの上に横になっているミルフィーは、仕返しとばかりに、意地悪気にそう言いました。
「ば〜かっ」
 アリッサムは、ローズマリーに剥いてもらったリンゴを、ミルフィーに投げつけました。ミルフィーは、アリッサムの顔が真っ赤に染まるのを見て、「やっぱり図星だ」とケタケタ笑います。
「それで、売り飛ばされた娘さんはどうなったんですか!?」
 ローズマリーは真剣な表情でアリッサムに詰め寄りました。
「いや、それが、探してた娘と盗賊達が売り飛ばした娘は別人だったんだ」
 アリッサムは、話がそれた事にほっとした表情を浮かべました。

 実はアリッサムが出発してすぐに、村の農作業小屋に隠れていた娘が、発見されて保護されていたのでした。娘はぐでんぐでんに酔っぱらっており、祖母に持っていくはずのぶどう酒はからっぽになっていました。

「め〜わくな話だよね。まあ、お金はもらえたからいいけど」
 アリッサムは「ははは」と笑いましたが、ローズマリーがまだ真剣にアリッサムを睨んでいるので、笑いが止まりました。ミルフィーは「あっ」と呟き、こっそり窓から逃げようとしました。
「ミルフィーさん、売り飛ばされた娘さんを助け出しに行きましょう!」
ミルフィーは頭をかかえて、深いため息をつきました。

終わり


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