小説
●プランバーゴ

第3話

 美少女剣士ミルフィーと美少女魔法士アリッサム、美少女司祭見習いローズマリーの3人は、少女達を誘拐しては売り飛ばしていた盗賊達をこてんぱんにやっつけて、取り引きしている奴隷商の事を聞き出しました。
「連絡場所の洞くつに、娘を置いてくるだけなんだ。次の日に行くと、娘はいなくなっていて、代わりにお金が置いてあるって寸法さ。実は俺達は奴隷商には会った事もないんだ」
 売り飛ばされた娘達を助けに行くためには、奴隷商を呼び出し、その後を尾行するしかないようです。そのためには1人、おとりになる娘が必要です。
「アリッサムの人形は?」
「この前、こいつらに無茶苦茶されたんで壊れた。まだ修理してないんだ」
 こいつら、とは、ここにいる盗賊達です。盗賊達は何かを思い出して想像したらしく、へへへ、、と笑いましたが、アリッサムに睨まれて黙りました。
「ここはもう、言い出しっぺのローズマリーにおとりになってもらいましょう」
「ああ、そうだな。大変な役目だけど頑張ってくれるかい?」
「はい」
 とローズマリーはニコニコ笑みを浮かべて即答しました。ミルフィーとアリッサムは『えぇっ!?』と声をあげました。実は冗談で言っただけだったからです。
「ちょっと、ローズマリー、思いっきり危険なのよ?」
「もし俺達が尾行に失敗したら、助けに行く事も出来ないし、ホントに奴隷に調教されて売り飛ばされるかも知れないんだよ?」
 慌てて心配しますが、、、
「奴隷商に捕まった皆さんを助け出すために必要なのでしょう? 私、頑張ります!」
 相変わらずニコニコしています。ミルフィーとアリッサムが、娘さん達を助け出そうと頑張ってくれている事が嬉しい様子です。
『全然わかってないな、コイツ』
 ミルフィーとアリッサムはため息をつきました。

 結局、おとりの役はミルフィーがする事になりました。何故なら・・・・・

 次の日の夕方。
ここは受け渡しの場所の洞くつです。そこには人がひとり入れるくらいの、大きな宝箱が置かれていました。ミルフィーとアリッサムを案内してきた盗賊は、少し苦しそうにお腹を押さえながら、受け渡し方法の説明をしています。
「それで、この宝箱の中に、娘を入れておくんでさ」
 盗賊が宝箱を開けると、中には、直径3センチ長さ1メートルほどの無数の巨大ミミズが、催淫効果のある粘液を分泌しヌチョヌチョと音を立てて、無気味に蠢(うごめ)いていました。
「ちょ、ちょっと、マジ?」
 ミルフィーは引きつった笑いを浮かべて後ずさりしました。そのまま逃げようとしたミルフィーの襟首を、アリッサムががしっと捕まえます。
 ミルフィーは助けを求めるようにアリッサムの方を振り向きました。
「やっぱりここは、ローズマリーに頼もうか、、、?」
「ローズマリーは、昨日、お前が造った料理でお腹を壊して寝込んだままだ。ぴくりとも動かんぞ」
 アリッサム自身も体調がすぐれない様子で、薬草をガムのように噛みながら、冷たい視線(盗賊達も倒れてるのに、この女ひとりだけどうして元気なんだ。もしかして人間じゃないのかも、、、という視線)でミルフィーを睨んでいます。

「やだ〜〜〜っ この作戦中止〜〜〜っっ やっめようよぉぉぉ〜〜〜〜〜」
「一晩中腹痛でのたうちまわる事に比べたら、たいした事ないって」
 ミルフィーが抗議の声をあげていますが、アリッサムは腹痛の仕返しとばかりに無視して、宝箱の中に突き落としました。
「じゃあ、頑張れよ、ミルフィー。俺は洞くつの外で見張ってるから」
 宝箱のふたを閉め、鍵をかけます。
「アリッサムの、ばぁぁぁかぁぁぁぁぁっっっっっっっ」

 その頃、奴隷商のアジトに王国騎士団が乗り込み、奴隷商は捕まって、娘達は助け出されていました。もちろん奴隷商はこの洞くつにやってくる事はなく、ミルフィーの犠牲は無駄になったのでした(笑)

終わり


戻る
home