綿系紡績工場原料混合計算応用例

綿系紡績工場の生産ポイントは原料混合にある。最適混合が得られるなら、コストの節約と品質の向上につながる。この応用例は、ある国の紡績工場の実際データを使って説明する。この工場が使っている原綿は国産品をはじめ、いろいろの国からの輸入品と合せて沢山の原料を使っている。原料混合はエンジニアの経験に頼って、繊維の長さ、繊維斑点、単繊維強力、品質長さ、繊維数、短繊維率…などを一定の制御幅の中に最適混合を計算する。

ある製品を生産するため6種類の原綿を用意している。

この工場の目標分析と制約条件を目標計画法で表現すると下のようなモデルになる。

まず変数の設定6種類の原綿の混合率は  X、X、X、 X、X、Xを設定する。

 制約条件

  1. 等級制限
    1+X2+2X3+3X 4+4X5+X6 +Y1-−Y1+ = 2.33
  2. 原料長さ制限
    29X1+29X2+29X3+27X4+25X5+27X6+Y2-−Y2+ = 27.3
  3. 繊維斑点制限
    113X1+235X2+275X3+304X4+202X5+153X6+Y3-−Y3+ = 250
  4. コスト制限
    3.2804X1+3.2804X2+3.1136X3+2.78X4+2.474X56+Y4-−Y4+ = 2.9
  5. 単繊維強力制限
    3.68X1+4.65X2+4.77X3+3.31X4+3.755X5+3.42X6+Y5-−Y5+ = 3.6
  6. 品質長さ制限
    32.6X1+33.0X2+33.1X3+29.9X4+28.6X5+29.9X6+Y6-−Y6+ = 30
  7. 繊維数制限
    5350X1+5675X2+5500X 3+5875X4+5500X5+5425X6+Y7-−Y7+ = 5600
  8. 短繊維率制限
    9.6X1+13.0X2+10.6X3+14.2X4+16.1X5+15.1X6+Y8-−Y8+ = 16
  9. 各原料変数の%率の和
    1+X2+X3+X4+X5+X6= 1
  10. 在庫制限
    5 ≦ 0.14   X6 ≦ 0.07

 目的関数

第一目標 Y1+ 最小化(等級最小化)
第二目標 Y2- 最小化(原料長さ最大化)
第三目標 Y3+ 最小化(単繊維強力最大化)
第四目標 Y4+ − Y4- 最小化(コスト最適値)
第五目標 Y5- 最小化(単繊維強力最大化)
第六目標 Y6- 最小化(品質長さ最大化)
第七目標 Y7- 最小化(繊維数最大化)
第九目標 Y8+ 最小化(短繊維率最小化)

 GLPS用インプット・データ

インプット・データの与え方はGLPS操作ガイドを参照していただきたい。 実際このモデルインプット・データ はGLPSプログラムに同梱してあります。 GLPS実行 → ファイル → Sample02 開く を経て、 ファイルを開くことによって見ることができます。

インプット・データの与え方はGLPS操作ガイドを参照していただきたい。 実際このモデルのインプット・データは下のようになっています。

TITLE 綿系紡績工場原料混合計算
MIN Y1+
MIN Y2-
MIN Y3+
MIN Y4+
MIN Y5-
MIN Y6-
MIN Y7-
MIN Y8+
ST
X1 + X2 + 2X3 + 3X4 + 4X5 + X6 + Y1- - Y1+ = 2.33
29X1 + 29X2 + 29X3 + 27X4 + 25X5 + 27X6 + Y2- - Y2+ = 27.3
113X1 + 235X2 + 275X3 + 304X4 + 202X5 + 153X6 + Y3- - Y3+ = 250
3.2804X1 + 3.2804X2 + 3.1136X3 + 2.78X4 + 2.474X5 + 3.1136X6 + Y4- - Y4+ = 2.9
3.68X1 + 4.65X2 + 4.77X3 + 3.31X4 + 3.75X5 + 3.42X6 + Y5- - Y5+ = 3.6
32.6X1 + 33X2 + 33.1X3 + 29.9X4 + 28.6X5 + 29.9X6 + Y6- - Y6+ = 30
5350X1 + 5675X2 + 5500X3 + 5875X4 + 5500X5 + 5425X6 + Y7- - Y7+ = 5600
9.6X1 + 13X2 + 10.6X3 + 14.2X4 + 16.1X5 + 15.1X6 + Y8- - Y8+ = 16
X1 + X2 + X3 + X4 + X5 + X6 = 1
END
SUB X5 0.14
SUB X6 0.07

 計算結果

原料 GLPS最適解計算%率 人工計算%率
23.53% 7%
9.97% 18%
0% 36%
45.5% 18%
14.0% 14%
7.0% 7%

物理性能制御とコスト最小化

項目 制御幅 GLPS計算結果 人工計算結果
等級 2.0〜2.5 2.33 2.14
原料長さ 27〜28 27.39 27.94
繊維斑点 150〜250 226.34 243
コスト 最小化 2.928 3.0057
単繊維強力 3〜4 3.6 4.18
品質長さ 30〜30.5 30.6624 31.617
繊維数 5600〜5800 5646 5594
短繊維率 < 16 12.327 12.5

評価

計算結果、物理性能制御とコスト面両方ともGLPSの計算結果は優れていることがはっきり判ります。

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