PC9801 Emulator「T98-Next」で80年代の株ソフトを動かしてみます。80年代の株ソフトはどれも高価でした。何の取り柄もない株ソフトが、安い物でも10万円程度、中には100万円くらいするものもあったような気がします。(今でもあるような...)そんなもんはとても買えなかったので、やむなく自作した、拙作「WinChart」を振り返ってみます。ChartScapeの前々身ですね。(ちなみに前身はMacintosh用のVAChartProっていうやつ。)
なんとWindowsアプリケーションなんです。WindowsといってもマイクロソフトのWindowsではありません。当時のMS-Windows2.1ではさすがにまともなアプリケーションは出来ないので、ウインドウシステムから自作した代物です。コピーライトを見ると、1987年から作り始めたらしい。
コマンドラインから起動すると、まずはこんなメニュー画面になります。色使いはどぎついですが、デフォルトの8色ではこんな色しかでません。当時はこんなかんじの起動メニューがトレンドでしたね。
「サンライン接続」メニューが泣かせます。「サンライン」っていうのは今は亡き山一証券のパソコントレード(今で言うオンライントレード)サービスです。1200bpsのモデム接続で売買注文やテキストバーナー表示によるチャートが見れたりできました。売買とはいっても今のオンライントレードのようにシステマチックなものではなく、パソコン通信から注文を出すと、翌日担当者から電話がかかってくるというような、何のためにパソコンを使っているのかわからないような代物でした。パソコン通信ソフトでアクセスすることを前提としたサービスなんですが、証券コードを知らなければ注文できないとか、使い勝手が最悪だったので、「WinChart」側でGUIを被せました。「サンライン」のデータを使ったデータ更新機能も実装したんですが、パケット課金のDDX-TP接続だったんで、通信費がかさんで、やってられませんでした。
「WinChart」には、当時としてはめずらしい「操作マニュアル」メニューまであるんですが、Windowsなんて一般的でない時代ですんで、メニューやスクロールバーなどのウインドウ操作の方法から懇切丁寧に記述しています。今読むと、けっこうまぬけで面白い。
チャート表示に関しては、今のChartScapeとあまり変わりませんね。リスト表示が右側なのは、当時のトレンド。当時としては、マルチウインドウは最先端だったのですが...売り時、買い時のサインがでるのが、アピールできた点でしょうか。移動平均線乖離率チャート上の黄丸が売り時、緑丸が買い時のつもりですが、これを根拠に売り買いしたことは一度も無し。
これは、データ入力のサブメニューです。データソースも15年で様変わりしてしまいました。当時は、テレコン投伝形式か有線フォーマットが主なものでした。ちなみに、私の場合は、システック社のテレチャートで文字放送から抽出した株価データをテレコン投伝形式で取り出して運用していました。金持ちは、月1万円くらい出して、有線放送でデータを入手してましたね。
PC-VAN(NECが主催する98ヲタク向けパソコン通信)の中で、文字放送から抽出した株価データを融通しあう、あやしげなコミュニティが形成されたのもこの頃でしょうか。私はニフティ派だったのでよくわかりませんが...
「売り/買い自動分析」機能は、ちょっとしたテクニカル分析で、銘柄を抽出する機能で、当時これができるものはバカ高かった。別に難しいことしている訳ではないんだけど。
この「WinChart」は、今のChartScapeとデータファイルや辞書ファイルが同じですんで、実は今でも使えます。(とはいってもY2K対策してないんで、最新データでは無理か...)物好きな方はお試しあれ。