ChartScapeでは、従来から、銘柄抽出条件エディタでインタラクティブに設定した銘柄抽出条件により、その条件に合致した銘柄を抽出する機能をもっていました。この機能により、条件を満たす銘柄の抽出は容易に行うことができるのですが、抽出条件の信憑性(すなわち、その条件で抽出した銘柄はその後ほんとうに意図した値動きになるのか)を検証することはできませんでした。 ChartScapeに実装されている抽出条件可視化チャートを利用すると、銘柄毎に日足チャートに併記する形で、抽出条件の評価結果を表示できます。これにより、どのようなタイミングで抽出条件を満たすのかを確認することが可能です。
銘柄抽出条件の検証機能とは、設定した銘柄抽出条件が有効化否かを統計的に提示する機能です。これにより、抽出条件の信憑性の目安を得ることができるようになります。 以下具体的な例を元に、銘柄抽出条件の検証を行ってみます。
ChartScapeでは、以下のような検証条件を設定することができます。
ここで、検証条件を設定し、OKボタンをクリックするだけで、以下のような検証結果レポートを得ることができます。なお、検証のためには、一定期間以上データが蓄積されている必要があります。例えば、抽出条件に長期移動平均線を使用している場合は、最初の移動平均の期間以降のデータが検証対象となります。蓄積データの最後のN日(Nは上述)は、評価データが得られませんから検証対象とはなりません。
まずは、検証結果レポート中の、「全事象」に着目してください。hit数は、全検証対象数(有効銘柄×有効日足)です。 は、hit数に対する評価値です。この例では、蓄積した全データ(約8年分)のうち、20日後に株価が10%以上上昇したケースが15.1%、8%以上下落したケースが24.0%、それ以外が60.9%であったことを示しています。ある銘柄の20日後の株価を確率事象ととらえると、その母集団の確率分布になります。
「全事象」以降に、あなたが設定した抽出条件を満たすhit数とその評価値が提示されます。ここに提示された評価値が、母集団の評価値の分布と変わりなければ、抽出条件としてはあまり価値がないと言えます。上昇シグナルとして有名なゴールデンクロスでさえも、評価結果は母集団の確率分布とほぼ等しいことがわかります。これは、下駄をほうり投げて選んだ銘柄がN日後に上昇する確率は15.1%であるけれど、ゴールデンクロス銘柄を1つ選んでも、それが上昇する確率は、下駄をほうり投げて選んだ銘柄が上昇する確率とほぼ同じ15.9%であるということです。(ちなみに、この結果は拙者の蓄積データを使って評価したものです。拙者のデータは文字放送から抽出したもので、歯抜けや不正データもけっこう含まれています。)
一方、「低位株買い時」というルールでは、明らかに母集団とは有意な差がある結果を得ています。差があるといってもこの程度で、あなたはどう解釈しますか? この機能を利用して、あなたが考案したルールが、どの程度価値があるものか、または下駄をほうり投げて選ぶのと同じ程度の価値なのかの判断の目安を得ることができます。