Chemistry

せっけんでなぜ油が落ちる?

 石鹸で手を洗うと、不思議なことに水で洗っただけの手と違ってきちんときれいになりますね。家でフライパンなどを洗うときも全く同じ経験をしてますね。
 でも本当ならば油と水は混ざることはないはずですが・・・。
 実は石鹸は小さなレベルで見ると、細長い分子で出来ていて、端っこは水に溶けやすく、端っこは油に溶けやすいという性質を持っているのです。
 こんなミクロな物質が油と水をつなぎとめてくれていて、結果的に油汚れなどを水で洗うことが出来るのです。
 もちろん、このような性質を持ったものを使わないと出来ませんけどね。これが正式には界面活性剤といって、要するにセッケンや洗剤のことなのです。
 でもだからといって、油分を大量に流すのはやめましょうね。

ビルを建てる鉄筋がさびているけど大丈夫?

 日本の人口密度は世界でもかなり高く、多くのビルがところせましと建っています。でもこんなに地震の多い国で、あんなにさびた鉄筋を使って高いビルを建ててしまって平気なのかと疑問に思いませんか?
 実は全然平気なのです。さびは鉄が酸化することで出来てしまいます。ところがこの鉄筋が埋め込まれるコンクリートはアルカリ性なので、鉄筋コンクリートにしてしまえばもうさびは進みません。
 なぜ鉄筋だけでビルを建てないかは分かったかと思いますが、ではなぜコンクリートだけで建ててしまわないのでしょうか。
 実はコンクリートはつぶれにくいという性質はありますが、引っ張られるのにはとても弱いのです。よく考えれば石や砂で固められただけなのですから、当然といえば当然ですね。
 だから鉄筋を入れて地震などがおきてもポキッと折れてしまわないようにしているのです。

安全なガラス?

 タイトルが「安全」という言葉が入っていても、ガラスは割れるととても危険なのは誰でも想像がつきますよね
 今ではありとあらゆる場所で自然に使われているので気にもしていないかもしれませんが、ガラスにはたくさんの種類があるのです。
 ガラスの特性から衝撃に弱いので昔はワイヤーなどがガラスに入ったものや、強風や衝撃に強い高層ビル用のガラスや、音や熱を伝えにくくするペアガラスなど、用途に応じて使われています。
 特に自動車のガラスは、万一交通事故があった時の強い衝撃で割れても、ガラスによるけがをしにくくするために特殊なガラスが使われています。
 実はこのガラス、元々はフランスの化学者エドワール・ベネディクトスという人が1903年に偶然実験中にフラスコを落っことしてしまったことで発見されたのです。
 落としたフラスコは割れるどころかフラスコの形のまま、ぴったりとくっつき合っていました。
 実はなかにはニトロセルロースというプラスチックの一種が入っていて、これが蒸発して乾いた膜がフラスコの内側に張り付いていたのです。
 そのおかげで、フラスコは割れるどころかガラスをつなぎとめていました。
 しかししばらくは生産コストや安全性のために使われず、1914年に第一次世界大戦中にガスマスクのレンズとして使用されてから現在では自動車などでも広く使われるようになりました。
 今ではその技術に加えて、自動車のガラスは万一割れてもなるべく丸みをおびて割れるように改良され多くの人々をガラスの恐怖を少なくすることが成功したのです。

缶詰のミカンはどうやってむく?

 ミカンを食べるのは好きだけど、むくのが面倒くさくて食べない人も多いことでしょう。
 そして缶詰のミカンを買って来て・・・・。
 不思議な事に缶詰のミカンはすでにむいてあるのですね。
 もちろん、これは一つ一つ人間の手でむいているのではありません。
 現在の方法では、外側の皮は機械でむき、中身の袋は90℃のお湯にふやけさせてローラーでむいています。
 以前は化学薬品が使われていました。
 外側の皮は手でむいて、中身の袋は0.5%程の塩酸に30分ほど浸した後に水洗いをします。
 これを約50℃に温めた0.5〜1%の水酸化ナトリウムに数秒浸した後に水洗いすると、中身の皮が見事に剥がれてしまうのです。
 実はこの方法を発明したのは日本人なのです。
 やっぱり日本人はミカンが好きだったのですね。

卵をチンするとなぜ大爆発!?

Egg  卵を殻つきのまま、電子レンジではチンしてはいけないというのは誰でも知っている話。
 殻も中身も木っ端みじんに破裂すると言われています。
 どんな風にかと好奇心もそそられますが、危険だからやめろと言われるのがオチ。
 さて、なぜ卵をチンしたら爆発してしまうのでしょう。
 実は卵白と卵黄の固まる温度が違うためで、黄身のほうが先に固まって膨張し、白身と殻を破裂させるからです。
 まぁここまでは説明書にも書いてあることでしょう。
 では凝固する温度はどれくらい違うのでしょう。
 まず卵白の方はドロドロした流動性の液体になるのが62〜65℃。
 70℃くらいになるとかなり固まってきますが、完全に固まるのは80℃以上です。
 ところが、卵黄の方は65℃〜70℃の間で完全に固まってしまいます。
 この温度差はお湯で外側からジワジワとゆでた時は特に問題はありませんが、電子レンジで暖めると中心も含めて温度が上がってしまいます。
 だから凝固温度の低い卵黄はすぐに固まってしまい、その時はまだ卵白はまだドロドロ。
 そしてこのときに内側から強い卵黄の圧力を受ければ、簡単に破裂してしまいます。
 脅かす訳ではありませんが、本当に危ないそうですからくれぐれも実験などしないように!

切手のノリって?

 何気なしに使っている切手ですが、切手の裏にはノリが塗られているのは誰でもご存じですね。
 でもなぜ普段はくっつかないのでしょう。
 昔のノリにはでんぷんを分解したデキストリンを用いていましたが、湿気があると切手同士がくっついてしまったり、丸まったりする性質がありました。
 そこで、日本の印刷局の技術陣が研究開発してつくったのがPVAノリです。
 PVAとはポリビニルアルコールで、これに酢酸ビニルソルビットを添加して作ったノリを使っています。
 この物質は濡れるとすぐにくっつく性質があり、全く無害なのが特徴。
 最初に使われたのは日本ですが、今では世界各国の切手で使われています。

化学実験はコワイ? 面白い?

Experiment  化学は正に発見の歴史であり、多くの先人がいろいろな化学実験を行って見つけたものばかりです。
 「化学は暗記もの」と思う人も多いでしょうが、そうではなく、それぞれの発見に多くのエピソードがあって、授業時間内では伝えきらないのです。
 そんなエピソードの中から、コワイ話や笑い話をピックアップしてみました。

1.ゲーリュサックの青酸
Experiment  高校では「気体反応の法則」として暗記されてしまう化学者のゲーリュサックですが、彼の晩年の研究は「青酸(HCN)」の発見でした。
 当時は酸素を含まない酸の発見は画期的なものですが、彼は本当に運良くこれを「舐めて」確かめなかったのだそうです。
 この当時の科学者たちは、ろくな分析方法も無かったので、必ず生成物を自分の舌で味わってみたそうで、何人もの犠牲者が出ていました。
 彼は猛毒の青酸を運良く舐めなかったそうですが、若い頃に多量の金属カリウムを使った実験で重傷を負っているそうです。

2.モアッサンとフッ素
Experiment  フッ素の単離は19世紀初頭の大きな実験テーマで、その激しい反応性ゆえに何人もの科学者が瀕死の重傷に追い込んだ元素です。
 多くの大科学者達はこれに挑み、これが原因で病気になったり、中毒にかかったり、悲惨な事故を起こしたりしました。
 決着をつけたのはモアッサンで、低温で単離することに成功し100年に渡る長い戦いに終止符をうちました。

3.新型火薬の発見
Experiment  化学者シェーンバインはオゾンの発見者として知られていますが、ひょんな事から別の発見をしてしまいました。
 ある日、自宅で実験をしているときに、硝酸と硫酸の混合物を誤ってこぼしてしまいました。
 手近にあった木綿の布をこれでふき取ってしまいましたが、その布は夫人のエプロンでした。
 あわててきれいに水で洗い、ストーブの上に干していたら、乾いた瞬間にエプロンは爆発して煙りのように消えてしまいました。
 これが綿火薬発見の瞬間です。
 それまでの硫黄や硝石からつくる黒色火薬は、大砲で使うと辺り一面に黒煙が立ちこめてしまう欠点があったのですが、この綿火薬は煙が出ません。
 しかし、各国ですぐに工業化の試みがなされましたが、不安定な化合物なので事故が続発し、成功したのは魔法瓶の発明者のデュワーでした。

4.こんな時にもうっかりミスが・・・
 細い管の先端に超小型カメラがついている「胃カメラ」。
 これを飲み込むときの苦しさといったら極まりない!
 この発明をしたのは実は東大付属病院とオリンパス。
 試作を何度も重ね、ついにやってきた撮影実験の日。
 現在のものに比べたら、かなり大きな試作品を飲み込む役になったのは坂本馬城氏、撮影役は後輩の今井光之助氏であった。
 今井氏は坂本氏の胃を洗浄し、麻酔をかけて勇気を振り絞って飲み込んだ!
 計28枚もの写真を取り終えて、「さあ現像!」とカメラを開けたとたん今井氏は真っ青に。
 なんと、フィルムが入っていなかった!
 坂本氏は一言、「ばかったれ!」と叫んだだけで、またベッドの上に戻っていったという。
 こうした苦労の末、現在では光ファイバーを使って映像をモニターに映すまでに至ったのですね。

 これらの失敗談から大発明になることも多かったようです。
 学生達が「先生、失敗しちゃったよ。やり直して良い?」と言う事があります。
 しかし、その失敗がとても大事だったのです。
 科学の進歩は「失敗と成功の歴史」と言われるように、ひょんな失敗からの大発見が多数あります。
 キケンな事をしなければ大いに失敗してみては?

天ぷら油が火を吹いたらマヨネーズじゃ!

Fire  家庭の火災の原因で多いのが、天ぷら油が火を吹いて家まで火だらけになること。
 主婦の長電話は夫の寝煙草に次ぐほど問題で、油に火を掛けているのをすぅーっかり忘れてしまいがち。
 もし不幸にも油に火が着いたらどうすれば良いのでしょう。
 まずここでお勉強。
 物質が燃焼するには3つの要素が必要なのをご存じですか?
 必要なのは「燃える物」、「酸素」、「温度」で、この1つでも欠けてしまうと火は着きません。
 油に火が着いた時は消火器を使ったり、毛布を使ったりすることも多いようですが、最も簡単なのは何とマヨネーズなのです。
 冷蔵庫からマヨネーズを取り出して、パックごと油の中に投げ込んで下さい。
 パックは溶けて中身が流れだし、鍋一杯にあふれて火が消えてしまうのです。
 これは実験でも明らかになっている事で、あふれたマヨネーズが油の表面に浮いて「酸素」を遮断してしまうのです。
 これで主婦の皆さん、安心して長電話出来ますね。(!?)
 ※少量のマヨネーズでは返って炎を大きくしてしまうそうですので、このトピックは消防的にはあくまでも雑学として扱って下さい。
 関連トピック: 火事の時はポリ袋をかぶれ!(その他

からだに毒?

Poison  毒を持つ魚もいろいろいるが、やはりフグはその代表だけあり強い毒を持っています。
 フグの毒はテトロドトキシンというもので、煮ても焼いても変わらないという厄介なものです。
 この毒はフグのどの部分に含まれているかというと、まず卵巣と肝臓は猛毒、血液や皮も危ない。
 ちなみにマウスを使った実験だと、致死量は体重1g当たり1億分の1gで、マフグ一匹でだいたい大人33人を殺すことができるそうです。

 さらに、地上最強の猛毒も発見されました。
 沖縄など亜熱帯から熱帯地方に生息するイワスナギンチャクのもつパリトキシンというもので、毒性はフグ毒の10倍はあるというからすごい話です。
 半数致死量が体重1gあたり0.025ナノグラムで、1.5mgでウサギ10000羽が死んでしまう。
 人間に換算すると1.5mgで1000人位になるというから恐ろしい!

水───この異常な物質

Water  この地球は表面の70%以上を水で覆われています。
 水は地球上をくまなく循環し、全ての生物体の生活を支えています。
 水分子はHOで表され、「へ」の字がたをした分子です。
 ちょうど折れ曲がったところが「O」原子で、その両端は「H」原子が結合しています。
 他にも同族の化合物にはHSやHSe、HTeなどもあります。
 普通はこの同族の化合物は、化学的にも物理的にも性質が似通っているものですが、水分子とこれら同族の物質とはかなり異なっています。
 同族の化合物の平均の融点は−80度前後なのに対して水分子は0度、沸点も同族の平均は−50度なのに対して水は100度です。
 本来は水分子の融点は−100度前後、沸点も−80度前後なはずです。
 これは水には特殊な結合力が働いているからです。(水素結合と言います)
 だから、この地球上の気温では水は液体でいられるのです。

 水の異常性
  @氷は融けて水になると体積が小さくなる。普通の物質は固体の方が液体よりも体積が小さい。
  A水は4度で体積が最小になる。普通の物質は温度を上昇させると膨張する。
  B比熱がとても大きい。すなわち、暖まりにくく冷めにくい。
  C水はものを良く溶かす。特にイオン性物質を良く溶かす。
 @とAのおかげで湖の水は表面から凍るのである。
 氷は水よりも密度が小さいので、水が凍ると氷になって水に浮かぶ。
 そして氷は水の表面だけに張り、湖に住む魚達は氷のカバーに守られて冬を過ごせるのです。
 Bの性質のおかげで海、湖、川などの温度が昼と夜であまり変わらないのであり、もっと大きな目で見ると一年間の気温の差が極端に大きくなるのを防いでいるのである。
 Cの性質が無かったら生命に必要な養分が溶けきれず、生命が誕生しても維持出来なかったはずです。

 水は生命を育むのに無くてはならないもので、だからこそ各国が競って外の天体に水があるかどうかを探査しているのです。
 生命は海から誕生したせいもあり、体液の組成は海の組成そのものです。
 人の身体の70%が水でできているのも関連があるのかもしれませんね。

カニやエビをゆでると、なぜ赤くなる?

Crab  こういう外骨格の甲殻類動物をゆでると、不思議と殻が赤くなって行きますね。
 実は、カニやエビの殻にはカロチノイドと言われる色素が大量に含まれているからなのです。
 このカロチノイドは元々は鮮やかな黄色〜橙色なのですが、加熱することで熱分解されて各種カロチンに変化するのです。
 ちなみに、ゆでるとエビが丸まってしまうのは、加熱されてタンパク質が変化してしまい、硬直してしまうからです。

複写!?

Copy  領収書や伝票などの複写出来る紙って不思議だと思いませんか?
 昔はカーボン紙などを下に敷いて複写しましたが、現在のは真っ白・・・・・ナゼ?
 上からボールペンでも鉛筆でも強く書けば、紙は白なのに下に文字が写る・・・・不思議ですね。
 実は紙の表面に仕掛けがしてあるのです。
 二枚複写式であれば、一枚目の裏と二枚目の表に薬剤が塗ってあるのです。
 ちなみに、感熱紙とは全く違うので注意。
 まず、一枚目の紙の裏には色素の前駆物質(半人前の色素)がマイクロカプセルに入れられて塗られています。
 そして二枚目の紙の表には酸性の物質が塗られています。
 文字か書かれると、紙の裏のカプセルが筆圧で破れて、半人前の色素が出てきます。
 そして、紙の表の酸で一人前にして上げて、初めて色が出るというわけです。
 さて、カプセルというのですから大きい物を想像してしまうでしょうが、そうでもありません。
 なんとこの大きさは数umから数百um(umは100万分の1m)というとても小さいものだったのです。
 ちなみにですが、イクラにもイクラもどきがありまして、同じようにカプセルでイクラの味を閉じこめたものがあります。
 話によると、ファミリーレストランではこれを使っていることが多いそうです。

オゾンって何?

 環境破壊で二酸化炭素の増加やオゾン層の破壊のことを良く日常で聞くようになりました。
 でも一体オゾンってなんでしょね。
 オゾンは酸素の同素体で、O3という化学式です。
 酸素はO2で、これにもう一つ酸素が割り込んでくっついたと思ってください。
 オゾンは酸素に比べて非常に酸化力が強く(フッ素の次に強い)、殺菌、漂白、脱臭、防腐に大変優れています、反応後は普通の酸素に戻ってしまうだけですから、とても優秀なのです。
 空気中の酸素が240nm(ナノメートル)以下の紫外線に当たると、これを吸収してオゾンが発生します。
 この反応はおよそ地表から35kmの上空で行われていて、これをオゾン層と呼ぶわけです。
 で、このオゾンは生物にとって有害な230〜290nmの紫外線を吸収することで、皮膚ガンや白内障を防いたりしてくれます。
 オゾンはとても有用で、殺菌効果が強いので現在は殺菌剤や浄水場などで使用されるようになりました。
 普通は塩素を浄水場で使うのですが、塩素は毒ガスに使われていた位人体には有毒で、浄水する際に水中の有機物と反応して40種類以上の有機反応生成物を作り出します。
 この中には総トリハロメタンと呼ばれる発ガン性物質が多く含まれています。
 それに対して、オゾンで浄水するとたったの4種類しか生成しません。
 塩素は6番目に強い酸化力であるのに対して、オゾンは2番目に強く、その殺菌能力を比較してみると、塩素の殺菌力を1として以下のようになります。
 ウィルスに対してオゾンは5〜200、腸内細菌にたいしてオゾンは20〜2000、最近芽胞に対して50〜5000、アメーバシストに対して10〜100という圧倒的な強さを持っています。
 また、農薬は数千種類ありますが、塩素では分解困難なものでもオゾンでは容易に分解されます。
 脱臭も、塩素のカルキ臭さとは対称に、オゾンの脱臭は瞬時で無臭にしてくれて、しかも残ったオゾンは酸素に分解して空気中に逃げていきます。
 オゾンは空から地球上生物を守り、人間生活をよりよくしてくれる非常に有効な物質です。
 現在フロンガスによる、このオゾン層の破壊が非常に問題視されています。
 直接は関係ないかもしれませんが、間接的にオゾンは超ぉ重要だったのです、ハイ。

どんな燃料でジェット機は飛んでる?

Jet  空気を圧縮して、そこに燃料を吹き込んで燃焼させて排気を高速で噴出するジェットエンジンのパワーは強大なものであることは誰でも知ってますね。
 あのジェット機をたったの2〜4機のエンジンで何百トンもの機体を高度一万メートルにまで持ち上げてしまうのです。
 だから、誰もがその燃料は相当特殊で高価なものであると思うでしょう。
 ところが実はそうでもないのです。
 普通燃料と言ったら、天然ガス、ガソリン、灯油、軽油、重油などを思いつくでしょう。
 ジェット燃料として使われるのは何と、灯油なのです。
 そう、石油ストーブに使われる灯油です。
 もちろん、灯油に多少の添加物が加えられるのですが、確かに灯油です。
 なぜ意外にもこの灯油が燃料に使われるのかというと、他のガソリンや軽油と違って、低温状態でも凍結しにくく発熱量が大きく、すすも出ないし、安全性も高いという理由からです。
 あのハイテクな飛行機がまさか灯油で飛んでいるとは誰も思いつかなかったでしょうが、石油ストーブとはスケールが違い、ジャンボジェット機は最大21万5400リットルもの灯油を積む事が出来るのです。
 だから、使用する量も桁違いということですね。

ビールの泡の正体

Beer  ビールをつげば、必ず泡が出ます。
 一般に目上の人にビールをついでもらう時は、礼儀としてコップを傾けたりして、泡が出る量を少なくすることもありますが、一般に「泡越しに飲むのが旨い」といいます。
 さて、この泡の正体は一体何でしょう。
 このビールの泡の正体は主に炭酸ガスです。
 その炭酸ガスの気泡にビール中のタンパク質やホップの苦味成分などが付着し、そして空気に触れるのを極力抑えて酸化を防ぎ、味を維持する役目があるのです。
Beer  もちろん、コーラなどと同じように炭酸の喉越しを楽しむという意味もありますね。
 ビールの味は、この泡があってこそだったのです。

温度計の摂氏(℃)と華氏(゜F)ってなんだ?

 世界どの国でも、温度計を見たことが無い人はもちろんいるわけがありません。
 でも、実は温度を表す時は何種類かの言い方がるというのを知っていますか?
 日本ではおなじみの摂氏(℃)で表しますね。
 アメリカなどでは華氏(゜F)で温度を表すのです。
 もちろん単位が違うのですから、同じ数字でも温度は全然違うのです。
 摂氏の30℃は、華氏では86゜Fになるのです。
 日本とアメリカでは、度量方法を採用した国が違ったので、同じ温度でも単位が違うので違った数字になってしまったのです。
 摂氏はスウェーデンのセルシウスという天文学者が1742年に初めて百聞目盛りの寒暖計を作ったのが由来です。
 これに対して、華氏はガブリエル・ファーレンハイトという学者が考案者です。
 換算方法は、

               5
  摂氏 = (華氏−32)× −
               9
となります。

水素は次世代エネルギー

 水素は将来的に、クリーンなエネルギーとしてとても注目されています。
 水素は石油と違って、燃やしても二酸化炭素や有害物質を一切ださず、出てくるのは水だけです。
 その上、熱量もとても大きく、1kg当たりガソリンが12000kcalに対して、水素は34000kcalもあるのです。
 水素エンジンは武蔵工業大学で開発され、大変有望なのですが、水素をタンクに保存して走行するのはかなりの危険が伴ってしまうのが、今の問題です。
 その解決策として、工学院大学では水素をマグネシウムやチタンなどの合金に吸収させてしまい、固体として保存・運搬するアイディアが開発されました。
 これで、水素を安全に扱うことが出来るようになりました。
 あと数年もすれば、ガソリンやディーゼル自動車にかわって、電気自動車や水素自動車が走るようになるでしょう。

形状記憶合金?

 なんと、金属にも記憶力があるのです。
 ニッケルとチタンとの合金を50度C以上の元で加工します。
 冷えてからくしゃくしゃにしても、熱めのお湯の中に入れると不思議なことに、さっき加工した時の形に戻って行きます。
 今まで、このような合金は形状記憶合金と呼ばれ、十数種類見つかっています。
 実はこの合金は1951年、アメリカの学者が発見したのですが、その後は月面探査機などのアンテナの素材などに利用されています。
 なぜなら、アンテナはそのままだと大きすぎてロケットに積めません。
 だから、形状記憶合金でアンテナを作って、折り畳んでしまえばよいのです。
 月面に着いたら取り出して、太陽の熱で暖めれば元通りおわんの形をしたアンテナに戻るのです。

超伝導磁石? 何それ?

 ニオブという元素とスズを混ぜた合金の針金を絶対温度18度(−255度C)まで冷やすと、突然電気抵抗が0になります。
 抵抗がゼロということは、一度ここに電流を流したら、電源を切ってもいつまでも電流が流れ続けるのです。
 これを超伝導といい、超伝導の状態になる温度は物質によって異なり、殆ど絶対零度(−273度C)に近い温度でなければいけません。
 このニオブ等を使った超伝導のコイルは、一般家庭の電力の10000倍以上出なければつくりだせない磁界を、ほんのわずかな電力で作り出すことが出来、しかも抵抗が無いので電力を消費せず、磁界が持続するのです。
 その為、リニアモーターカーなど、重量の物質を持ち上げて運搬するときなどは、この技術さえあれば少ない電力でまかなえるようになるのです。
 問題なのは、どうやってこれらの物質をこのような超低温まで冷却し、そして持続させるかが課題です。

 Q.超伝導って電気もたくわれられるの?抵抗がなければ、永久に電気って無くならないんでしょ。
 A.Yes.でも、超伝導にするのがとにかく大変なんだ。
   実際は超伝導でも半永久的に電気が残る訳ではないぞ。
   なぜ、電気製品を使うと電気を消費するかということを考えて見ればわかるね。
   電気を通せば、熱が出る。
   こうして電気エネルギーが熱になって逃げちゃう。
   それに、電線は電気が通ればその周りに磁界も出来てしまう。
   こうして磁力として電気が消費されたりもするけど、超伝導はそれでも画期的な発明なんだ。
   そうすれば、電気をあまり使わなくて良いから公害も減るし、自然も破壊されなくなる。
   今後の開発に期待!

光化学スモッグの正体

Smog  1970年7月18日、東京の立正高校で体育の授業中の生徒達がバタバタと校庭で倒れ、目やのどの痛みを訴えたりけいれんを起こしたり、意識不明になる事件がありました。
 これが、日本で初めての光化学スモッグでした。
 世界でこれが初めて確認されたのは、アメリカのロサンゼルスでした。
 1943年の夏、多くの市民が吐き気や呼吸困難に悩まされましたが、当時は原因不明で、10年以上たった1954年になって学者達によって原因が突き止められました
 原因は、自動車の排気ガスの中に含まれる炭化水素や窒素酸化物などが、太陽の強い紫外線で化学反応を起こしし大量の酸化物やオキシダントを発生したためでした。
 オキシダントとは、強酸化性物質の総称で、オゾンを中心にして、ホルムアルデヒド、パラオキシアセチルナイトレートなどを含みます。
 空気中の亜硫酸ガスは湿気と結びついて亜硫酸になり、これにオキシダントが作用して硫酸に変わり、霧状に降ってきます。(硫酸ミスト)
 光化学スモッグは、これらの他にもアクロレイン、硫酸メチルなど、多くの公害物質を含み、原因となっています。
 光化学スモッグが発生しやすい日は、晴れていて紫外線が強く、風の無い日に発生しやすいですが、曇っていたり、時には夜間にも発生することがあります。
 私も小学校の頃、光化学スモッグが出てはサイレンが鳴り、夏の暑い日でも窓を閉めて外の空気が入らないようにしたり、マスクを着用したりしました。
 そして、現在はロサンゼルスに住んでいますが、ダウンタウンの空はいつも、もやがかかっています。
 曇りの日などで、風が無い日は特に危険で、雲が空気の循環を遮ってしまい、ダウンタウンに永くいるととても気分が悪くなります。

鉄とプラスチック、どちらが硬い?

 もちろん「鉄」と答える人が普通だろう。
 ところが新しく開発されたプラスチックは鉄よりも固いものもあるのだ。
 原料はジアセチレンのポリアミド合成塩。
 この針状の結晶に真空中でγ線(ガンマ線)を4日間照射する。
 すると、青黒い金属光沢をした粉末になり、これを5万気圧、230度で20分ほど加熱すると、成形体が出来上がる。
 これこそがその「最強」のプラスチックで、鉄の約1.4倍も強い。
 そのくせに、重さは同じ大きさでも鉄の7分の1しかない。
 これこそ本当に「軽くて丈夫」なプラスチックかな?

周期表って何だ?

 今さら周期表なんてどうでも良いよという人もいるかもしれません。
 元々は、当時発見されていなかった元素を、性質の似ている順に並べ直してみると、なにか規則性があるのではないかと、感じた科学者の間隔が初まりでした。
 現在は発明されている元素も含めて110種類以上ですが、というのも当時は単体(純粋に他の物質を含まないもの)は得ることが難しく、中にはすぐに酸化物など別の物質になってしまうことがほとんどで、単体は得ることができませんでした。
 ところが、ナント、発見したり、単体を得ることが出来て、その性質や有用性が分かるようになりました。
 残念なのが、それを予知した多くの科学者たち。
 結果として見つけ出されていても、彼らの努力なくしては見つからなかったことでしょうね。
 そうやって我々の生活に使われる希少金属も、金や白金などもとても役に立つ方法で使われたのですよ。

 さて、私も教材に必要であったため、エクセル版の周期表を作成しました。
 単なる周期表ですが、転用がいろいろと可能なので有用かと思います。
 どうぞみなさんも教材などにご自由にお使いください。
 (著作部分以外は自由に変更して、テスト用などに空欄にしたりして使っても結構です。)
 ダウンロードはこちらです。



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