お前達は、負け続けてきたから、貧窮し、
ウジウジと、人生の底辺を、這って、這って、這って、
這っているのだ......ゴキブリのように.....。
命を懸けたギャンブル船に集う
カイジを含める人生の落ちこぼれたち。
そんな面々に船の主催者・利根川が激を飛ばす。
「お前達はもう20を越えて何年にもなるんだから、
もう気付かなければならない。勝つことが全てだと。」






苦しく難しい決断になると
投げちまってそれを他人に委ねる。自分で決めない。
そうやって流され流され生きてきた。
その弱さがこの土壇場で出た.....。
この結果は言うなら必然。これまでの人生のツケ....!
救われない....こんなバカ.........。
命を懸けた大ギャンブル、しかし勝負開始後わずか20分で
あっさり騙し取られた。人を信用したばっかりに...!
「なんであんなやつを信用してしまったんだ。」
放心状態のカイジに押し寄せる、身が千切れるような後悔。





チョキチョキチョキと来たから
もうチョキが無いなどという読みは、まさに泥沼....。
嵌っている........ すでに泥中、首まで。
「固定観念」...この男の思想。
ギャンブルではこういう考えが一番危ない。
まさに地獄に直結する道。崩壊路....!





それはカイジ達が生まれて始めて味わう恐怖。
どこまでもどこまでもどこまでも落下していく...この感覚.......
....暴落....!
ピンチ脱出の為にカイジは「グー買い占め」と言う戦略に出た。
しかし、今カイジ達の目の前でその戦力の成否を決めるチョキの残数が
坂道を転げ落ちる様に真っ直ぐ落ちてゆく。





捕まってしまった...ギャンブルという魔物の....その粘りついた触手に
捕まってしまった....!!
カイジ達3人に訪れた、最大の危機。
状況に絶えられずに、動き出してしまった古畑と安藤を、
カイジは呆然と見送る。2人を見つめるカイジの目には、
破滅へといざなうギャンブルという魔物の姿が見えた。





突っ走って...その先にある亀裂を飛び越えるしかねえっ。
いい加減、気が付けっ!
退路なんか、もうねえんだよっ....!
カイジ達を絶望の危機に落とし入れた首謀者・北見。
カイジは仲間全員の命を懸けた大勝負に出ようとする。
しかし怯えて勝負に同意出来ない古畑と安藤に、カイジは怒鳴りつける!





博奕は熱くなった時点で8割9割負け。お前は今その状態にある。
その流れがなぜ見えない...?この典型的博奕オンチがっ...!
てめえの勝負の幕はもう降りかけてんだよ....!

フフ...降りかけてるか...。ってことは...隙間があるって事だ...
それで充分.....!
紆余曲折あったが、北見達とカイジ達の大勝負が遂に成立。
時満ちる...... カイジ VS. 北見 ...!
北見「どんなに感情移入したって負ける時は負けるのがギャンブルだろうが!」
カイジ「耳を傾けるべきは俺自身の声。信じるべきは俺の力...!」





勝たなきゃだめだ...勝たなきゃ悲惨がむしろ当たり前。
勝たなきゃ誰かの養分....。
それは船も外界も変わらない...!
人は生まれて死ぬのが当たり前で...それと同じように
勝たなきゃその生きてる間が悲惨なのもまた当たり前。
おれは下界にいる時そこのところを誤解していた...





正真正銘のデッド。抜け道など無い...。
そんな中...無情に時間だけが過ぎてゆく...
残り7分10秒....!
可能性ゼロ...カイジの戦略は完全に破綻。
このままいけばただ時間だけが過ぎタイムアップ。
なすすべなく、限られてくるカイジ達の可能性。
時間とともに押し寄せてくる...死...終局...終末...暗黒が...!





もう...あと一掻きか二掻きで...
向こう側へ辿り着くって言うこの最後の時に...
...抱きつかれたっ...!
溺死寸前の3人に...!
一攫千金をねらってギャンブル船に乗り込み、
詐欺と卑劣で儲け続けてきた男、船井。
なかば勝利を確信していた船井に、一度は敗れたカイジが食らいつく。





本当の人間関係って何.....?
カカカ.....
ククク.....
何それ...?
死ぬなおまえ....
騙された男を嘲笑う岡林。
そしてカイジもこの男に死を宣言される。
この船で助かろうと思ったら「利」しかない
絆とか信頼とかは全て寝言に過ぎないのだ。





.....ダメだ.....
この星も.....
金も......
オレのもの
手放さない....放したくない....
欲が人を支配する。
信頼が人を動かすのではなく
己のために人は動くのだ。





ごめんじゃねえっ....!古畑っ...
あやまったりするなっ....!
あやまるなっ....!
あやまるなっ古畑っ.......!
...きさまらっ.....
きさまらっ.....
きさまらっ.....
....それでも....人間かっ......!?
絶望のカイジ。
ぐにゃぐにゃのカイジ。
自分が何を言ってるのかもよく解っていない。
裏切りの絶望の中で漏らした言葉。
そして残るのは暗黒だけ....。





よせっ.....!
ちょっと...
ほんのちょっとだけ....
魔.....魔がさしたんだっ....!

.....やめようって....
僕はギリギリまで...その....

さえずるなっ......!
お前らにその資格はないっ....!
さえずらずただ黙って出せっ.....!
安藤、古畑の醜い弁解が続く。
全く目もくれないカイジ。
裏切った者と、裏切られた者。
さあ、ザンゲの時間だよ。





うんざりなんだよっ....!
損だ得だ..金だ資産だ..そんな話はもうっ...!
そんな事を話せば話すほど...
俺達はあさましく醜く這い回っている....
この釜の底を....!
損得に振り回されれば振り回されるほど
血道をあげればあげるほど
そんな姿を見て主催者は喜ぶ。
「くそっ...くそっ...くそ野郎っ....!」
船に対する激しいカイジの抵抗。
...しかし、その影で笑う男がやはりいた。
「....楽しい......。」





ふ...ふざけるなよ...!
戦争だろうが...
疑っているうちはまだしも
それを口にしたら...
戦争だろうがっ......!
疑いをかけておきながら逃げる男。
「あの人の強気は口まで。大金も賭けないしケンカもしない。」
「あんなもんっスよ...今時の大人なんてみんな。」
...しかし、怒りのおさまらないカイジ。





俺達みたいなプーが浮かび上がろうと思ったら
これはもう...どこかで一発当てるしかない
でなきゃあ....
風穴なんか開くもんか....!
世間に入っていけない......!
はみ出し者の心の叫び。
必死の佐原と、それを止める事の出来ないカイジ。
しかし、カイジ自身にも佐原と同じ気持ちが押し寄せつつあった。





俺がお前を星の下へ連れてゆく
ただ...そこから先星をつかむか否かは各個人の力...
その気があるのなら来な....!
来れ、星の下に
この話はいわば絶望的日々に溺れてるカイジの前に現われた
救助船....救いの光.....!
「希望の船」エスポワールの次の戦場は
スターサイドホテル.....「絶望の城」!!!
集え、野望高き若者達よ....





「ええ〜〜〜っ!」
「部屋ってもしかしてこれ...?」
「バカなっ...!」
確かに...それは部屋というより........
柩....! 垂直の柩....!!
「嫌な予感がする...この薄気味悪い予感はいったい....?」
黒服の言われるがままに、
囚人のように歩かされたカイジたちの前に現れたのは垂直の柩。
同様を隠せないカイジ達。
(結局この柩はあまり意味はなかったのだが)





その時...! 一人行くっ...!
持たざる者.....
動き出す.....!
(明らかに脇役顔の)眼鏡男がついに先陣を切った!!
切られる...戦いの火蓋!!
何をボーっとしている!!! いいから走れぇ!!! カイジィ!!!





要求・・・・彼らは口々にこう叫んでいたのだ
お..........
押せっ...
そうすることによって初めて道は開かれる。
情け無用!! 勝つために人を押しのけろ!! 一番有利なのはしんがり!!
ようやくカイジは気がついた。これはそういうゲームであることを。





なんか汚ねぇ...ずるいぞこいつら...
とどのつまり落とすんじゃねえか...
俺は謝らない...謝るもんか....!
許されようなんて思わない...!!
落とす...ただ黙って落とす....!
落とさなきゃ落とされる...
この世の姿そのもの、基本も基本、大原則。
カイジの決断に11番大ピンチ!! ...しかし...





俺は...何をしようとしている....?
押さければ押される...
押さければ押される...
押さければ押される...!
....けど........
押さないっ.....!
押さないっ.....! 押さないっ.....! 押さないっ.....!
「押さない」を連呼するカイジ。
挙げ句の果てには「お前も押すなっ...!」
..って無茶言うな、カイジ!





勘違いするなっ...ガキめらっ...!!
世間の大人どもが本当の事を言わないなら俺が言ってやるっ!
金は命より重い...!
「そこの認識をごまかす輩は生涯地を這う...!!」
はっきりと言い切った利根川。
...これに誰か言い返せる奴はいないのかっ???





当然だろ...
落ちるさ...派手に...
多分一人も残るまい...ククク...
全員星になる...!
はっきりと外道ぶりを見せる利根川!!!
全員星になってなぜ嬉しい!!??
このレースを一番楽しんでるのはお前じゃないのか!?





金もいらないっ...!
何もいらないっ...!
40まで借金でもいい...
ただ生きたいっ.....!
「この感情はまずい...この感情は俺を殺すっ...!!」
ここまでストレートな泣き言を言う主人公がかっていただろうか!!??
しかし、今のカイジに必要なのは泣き言ではない!! 進め!!カイジ!!





「切ってぇ〜っ!」「お金はいりません...!」
「やめますからっ...!」「ギブアーップ!」
「利根川さん...!」「利根川先生っ...!」
利根川「ククク...」
ずれた命乞いだ....
「ギブアップ? 真剣勝負にそんな物あるか...プロレスじゃあるまいし...」
そう言う利根川はなぜか嬉しそう。
これはお前の言う「安全である事の愉悦」なのか!? どうなんだ、利根川!?





落ちたっ...! 落ちたっ...! 落ちちまった...!
それも...
無言で.....!!
無言であることに意味があった!!
最後の最後の意地...強さ....矜持を示した!!
そのメッセージを受け、カイジの中で何かが変わった...!!





この状況がこの俺のいる世界だ
全ての飾りを取ればそういう事だ...
天空を行く一人一人...
57億の孤独(あかり)....!!
全ての人間に手は届かない。
できるのは理解とは程遠い通信だけ。
しかし打とう...確かに伝わる物があるからっ!!





「わかったか....つまり....
 お前は自ら放棄したのだ。権利を...。
 残念残念...残念至極...。 ククク...。」
「ふ...」
ふざけるなっ....! てめえっ....!!
金がもらえないのが悔しいのではない。
「みんな何のために死んだんだっ!」それが許せない...!!
髪を振り乱してカイジが利根川に襲い掛かる!!!!





わしは生涯人を助けぬ....
金はある...湯水のようにあるがわしは助けん...
折れた足をいじられると彼は痛いが...
わしは痛まない.....!
そうか、これが「安全であることの愉悦」なのかっ!!
甘いマスクに渋いヒゲ、そしてお決まりの袴姿!!
ついに待望の「影ボス」が姿を現した!!!
それは人というよりむしろ...化物!!!






The Gambling Apocalypse
KAIJI