賭けの方式に「倍賭け」というのがあります。それは負けたとき、いままでの掛け金の2倍を賭けるという方法です。例えばコインを投げて表か裏かを当て、勝ったら掛け金の2倍戻ってくるゲームがあったとします。最初に100円賭けてはずれ、次に200円賭けて当たれば、掛け金の合計は100+200で300円になり、払い戻しは200×2の400円になります。また4回続けて負けて5回目に当たったとしたら、掛け金の合計は 100+200+400+800+1600で3100円で、払い戻しは1600×2で3200円になります。このようにどの時点でも1度当たればそれまでの負けを全て取り返し、さらに100円の利益を得ることが出来ます。
これを競艇に応用してみましょう。競艇は掛け金の2倍戻ってくるゲームではないので、掛け金を倍にする必要はありません。話をわかりやすくするために全て一点買いですることにしましよう。例えば4レース連続ではずれて、5レース目に4.0倍のオッズの舟券が当たったとします。普通に全レース1000円ずつ賭けたとすれば、掛け金の合計は5000円で払い戻しは4000円になり、1000円のマイナスになります。しかし5レース目1400円賭けたとすれば掛け金の合計は5400円、払い戻しは1400×4で5600円になり、200円のプラスになります。
以上このように賭けていけば絶対に勝てそうな気がします。しかしこのような賭け方には重大な欠点があります。それは負けつづけると非常に多額のお金を賭けなければならないということです。
最初のコイン投げの例で考えていきましょう。何回負けたら、どれぐらい賭けなければならないか、またどれぐらいの確率でそうなるかを以下に記します。
負け数 | 賭け金 | 確率 |
0 | 100 | |
1 | 200 | 1/2 |
2 | 400 | 1/4 |
3 | 800 | 1/8 |
4 | 1600 | 1/16 |
5 | 3200 | 1/32 |
6 | 6400 | 1/64 |
7 | 12800 | 1/128 |
8 | 25600 | 1/256 |
9 | 51200 | 1/512 |
10 | 102400 | 1/1024 |
10回はずれ続けたら102400円も賭けなければなりません。1/1024の確率というのも、そんなに低いとはいえません。しかもこれもはずれる確率が1/2あります。
次に競艇で考えていきましょう。コイン投げはまったく公平なゲームですが、競艇は25%の控除があります。コイン投げで1.5倍しか掛け金が戻ってこない例で考えると話がわかりやすくなります。なぜ1.5倍かというと、25%の控除を考慮に入れ、2×(1-0.25)で=1.5になります。このゲームだと最初に勝っても儲かるお金は50円なので、どの時点で当たっても50円勝つようにします。
負け数 | 賭け金 |
0 | 100 |
1 | 300 |
2 | 900 |
3 | 2700 |
4 | 8100 |
5 | 24300 |
6 | 72900 |
7 | 218700 |
8 | 656100 |
9 | 1968300 |
10 | 5904900 |
10回はずれ続けたら、今度は5904900円も賭けなければなりません。競馬の攻略本で「勝つなら倍賭けだ。」みたいな事が書いてある本を見たことがありますが、それは読者に破産しろと言っているようなものです。大金持ちが公平なゲームで倍賭けをすれば、絶対勝てそうですが(たかが100円のために大金持ちはそんなことはしないという話もありますが)、日本の公営ギャンブルでこのような方法を用いるのは非常に危険です。
しかしこのような方法を利用して、いつもより損しないようにする方法は考えられます。例えば毎レース1万円賭けている人が、100円から始めれば、1万円に到着するまでは回収率が100%を超えることが出来ます。また1万円に到着してしまえば、あとはいつものように毎レース1万円賭ければ、少なくともいつも以上に損することは無いでしょう。