出目について

競艇場でよく次のような話を耳にします。
『今日は全然3が出てないなー。もうそろそろ出るぞ。』

例えば9レースぐらい終わって、ひとつもある枠番が出ていなかったら、だいたい誰かがそのような話をしています。
その人の言いたい事はおそらくこのようなことでしょう。
「3という枠は一定の確率で出るものだ。今日は、今まで一度も出ていないので、これから出る可能性は極めて高い。」
一見もっともらしく聞こえます。はたしてその通りなのでしょうか?

話をわかりやすくするために、コイン投げで考えていきましょう。完全に公平なコインで考えると、表か裏の出る確率は0.5になります。もし最初に表が5回連続で出たとします。次はどうなるでしょうか?
さてここで競艇場であのような話をしていた人なら、裏の出る方が起こりやすいと答えるでしょう。なぜならば、長く続けていけば表と裏とはバランスがとれていくはずで、この場合バランスがとれていないため、その埋め合わせをするために、裏のほうが余分に出なければならないと。
たしかにバランスはとれていきます。しかしここでこの人はバランスがとれていくという概念を間違って理解しています。バランスがとれていくというのは、比の意味で均衡していくことであって、絶対的な意味で均衡していくことではありません。

それではコンピューターでシミュレーションした結果を見ていくことにしましょう。これは実際に私がVisualBasicで試したものです。

投げ回数 表の数 裏の数 表の比 表の超過数
100 57 43 0.5700 11
1000 505 495 0.5050 10
10000 5014 4986 0.5014 28
100000 50134 49866 0.5013 286
1000000 500508 499492 0.5005 1016

さてまず表の比の所を見てください。投げ回数を増やすほど0.5という値に近くなっています。投げ回数を増やすほど均衡しつつあるということが出来るでしょう。しかし表の超過数という所を見てください。この値はますます大きくなってきています。一見バランスが崩れていくような感じがしますが、しかし比の意味ではバランスがとれてきています。
このように数を増やしていくと、比の意味ではますます具合よくふるまうようになりますが、絶対的な意味ではますます悪いふるまいを示し乱暴になっていく特徴があります。

さて先ほどの問題を考えていきましょう。まず投げ回数が100のところを見てください。表57に対して裏が43しか出ていません。ここで競艇場であのような話をしている人なら、これから先は裏のほうが余分に出なければならないと考えるでしょう。しかし1000000回投げても表の方が多く出ました。それでもやはりバランスはとれてきています。

このように表か裏の片方が多く出たからといって、その反対が余分に出るという法則はありません。コインは前のことを覚えていません。あくまでも表か裏の出る確率は0.5です。
同じ事が競艇でもいえます。ある目が出ていないからといって、その目が出やすくなることはありません。