賛美歌が聞こえる。あの男が来たのだ。神の腕を持つ者が…。
Part1 誘拐13:13
事件は起こった。
13:13
誘拐事件発生。BIG SHOT名(迷)パーソナリティー「パンチ」が誘拐されたのだ。発生場所は局地下駐車場。大勢のテレビ関係者が見ている中、黒ずくめの男三人に無理矢理車に押し込まれたのだ。
13:58
番組放送直前になっても現れないパンチを苛立ったディレクターが関係者に聞き、初めて事件が発覚。関係者いわく「テレビ番組の撮影か借金取りだと思ってました」
14:10
ISSPのC11課=誘拐犯罪専門部が局に到着。さっそく交渉の準備に取りかかった。しかし…。
「要求は何だ?」
局長の「マック=ドナルド」は捜査官の指示を仰ぎながら電話をかけてきた犯人に答う。
「あんたは?」
犯人は質問を答えずに聞き返す。
「局長のマックだ。パンチは無事なのか?」
「さあね」
軽く流す犯人に。再び答うマック。
「要求は何だ」
犯人は叫ぶ。
「決まってんだろ!金だよ!20ウーロンだせよ!」
そこでとつぜん電話は切られた。
19:02
BIG SHOTパーソナリティー「ジュディ」はあきれていた。この前代未聞の低額の身代金に。そして彼の後ろで払うか払わないかもめているスタッフに…。
ひとり後ろで愚痴をこぼす。
「答えはきまているじゃい…」
『払わない』
もはや彼女は帰って寝ることしか頭にない。あくびを大きくすると部屋の隅でなにやら捜査官が話をしていることに気づいた。
「マイケル、上からのご命令だ。番組で賛美歌十三番を流してくれとさ」
どうやら捜査官同士の話し合いらしい。
「なんでですか?」
「わからん、とにかく上は賛美歌が聴きたいとよ」
あきれ顔で二人の捜査官はディレクターのそばへ行きなにやら話している。どうやら賛美歌を流すことについてらしい。
「どうゆうこと?」
ジュディはきょとんとしている。が、すぐに考えるのをやめた。
とくに恩もない奴が誘拐されたことで自分がこうして局に残っていなければならないのを思い出し、憎しみが生まれたからだ。
21:00
番組内「宗教の部屋」内にて賛美歌十三番が流れ出す。
ひとり部屋に男がいる。たったいま署の保管室からくすねてきた目薬を使おうしていると、聞き慣れた音楽がかかってきた。そしていそいそと電話をかける。数回のコールで電話が取られ言葉が聞こえてきた。
「なんだ、ボブ?」
力強い声の主にボブは答えた。
「ジェット…、いや…ゴルゴ13、依頼だ。」
作/460