「おい、スパイク!もうすぐ金星に着くぞ!」
「・・・ん・・」
スパイクはのん気に寝ていた。
「はぁ〜・・・あ・・」
「寝てたのかよ・・・所でスパイク、何故金星へ行きたかったんだ?」
「のちにわかるさ・・・」
「は?」
それから20分後、ビバップ号は金星に着いた。
「おい、ジェット」
「なんだ」
「お前も来い」
「何処へ?」
「教会」
「いつから信者になったんだよ」
「違ぇよ」
「じゃあなんだ?」
「いいから来い!」
「はいはい」
スパイクのイラ立ちを感じたジェットは、黙ってついて行った。
そして、歩いて45分。
・・・・・・・・・・・・・・・・・教会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「おい、結婚式やってんじゃねぇか」
「そうだが」
「そうだがじゃねぇだろ・・・まさか、お前!いくらビバップ号の食料が底を突いたからって他人の結婚式に混じって持ってく事はないだろう!」
「んなわけねぇだろ!そんなことしなくても、ここで腹いっぱい食えるわい!」
「何言ってんだ、お前?じゃあなんだ、片っ端から全員のしてくのか?」
「あのなぁ!!!!」
「あのぉ、スパイク・スピーゲルさんとジェット・ブラックさんですよねぇ?」
式場の係員が言い合ってる二人の間に入って、聞いた。
「ん?・・あっ・・ああ・・」
「あちらの席にお座りください」
二人は指定された席に座った。
「おい、スパイク・・どう言う事だ?」
「メールが来たんだよ、ステラからメールが来たんだよ」
「ステラ?」
「あそこにウェディングドレスを着ている女だよ」
「ん?・・ふ〜ん・・結構可愛いじゃん・・」
「ロリコン親父・・・」
「なんか言ったか?」
「別に・・」
スパイクが小声で愚痴ると後から誰かに肩をつかれた。
「ん?・・おっ!・・お前!」
「お久しぶり!お師匠さん!」
「ロコ!どうしてお前がここに?」
「ステラが・・俺をコールドスリープさせてくれたらしい」
「そうか・・でも、どうやってそれ程の大金を?」
「あいつは、目が治ってから病院で働き、ある老人をつきっきりで看病していたんだ、そしたら、そいつが何と大金持ちでね!それで、礼に俺をコールドスリープさせてもらったと言うわけ」
「妹に大きな借りを作っちまったじゃねぇのか?」
「ああ、でも借りは返したぜ」
「は?何を?」
「あいつが一番会いたがってた奴をこの結婚式場に呼んだのさ!」
「誰だよ」
「俺の代理さ!」
「・・・ん?・・・何かどっかで聞いた事のあるような・・・」
スパイクが考え込むと向こうから声が聞こえた。
「ねえ!兄さん!その人誰?」
「俺の代理!」
「えっ!まさか、その人がスパイクさん?」
「ああ!お前の会いたがってた人を呼んだぞ!」
「え?おっおい、メール送ったのはステラじゃ・・」
「あっ、そのメール俺が送ったの」
「どうしてお前の名前で送らねぇんだよ!」
「だって、死んだ人のメール送ったメールなんか見たらビックリするでしょ?」
「まぁ、確かに・・・」
「そう言えばさ、スピーチを言う人が風邪でこれなくなっちゃったのよ、って事でさ、お師匠さん変わりにやってくれないかな?」
「えぇ!俺が?・・・おい、ジェット!」
「何だ?」
「お前スピーチやれ!」
「は?急に如何して?」
「いいから!」
「あっ!もう時間来ちゃったよ!あぁ!しょうがない!ジェットさん、この紙にメモってあるから」
「てっ!おい!何だよそれ!」
「いいから行って来い!」
「しょうがねぇな〜!・・・判ったよ!この紙を読めばいいんだな!」
「そう!じゃあ、がんばって!」
ジェットは立ち台のある方へ向かった。
「では、まず最初にスピーチお願いします!」
係員が威勢の良い声で言うと、ジェットは立ち台に立った。
「え〜・・・」
ジェットはロコにもらった紙を見た。
「・・・!(なんじゃこりゃ!?)・・・」
「ったくも〜・・・ジェットさん何紙見て困っているんだよ〜!・・・・あっ」
ロコはスボンのポケットに違和感を感じた。
「げっ・・・昨日買った「小倉マーガリン」のレシート渡しちゃった・・・・」
「・・ん〜・・(ったく!なんだよ!この「小倉マーガリン 88ウーロン」って)・・・・」
ジェットはレシートを見ながら黙ったままである。すると、周りがぞわぞわしはじめた。
「・・・え〜・・あ・・その〜・・・(ヤべェ〜な〜)」
額は汗びっしょりで、何を言えば良いか判らなくなったジェットは、最後の手段を使った。
「結婚式はいつやるの?きょうかい(教会)?な〜んちゃって」
せっかくの「めでたい結婚式」がジェットの最後の手段「ダジャレ」により、南極よりも「つめたい結婚式」になってしまった。
作/ホーセス