火星、チャイナタウン。
ジャパニーズ系の商人が始めた宝石店に、アタシはドレスアップして、入る。
開店したはがりなのか、店の中は成り金のジャパニーズ系のオバサンだらけ。いくら宝石で着飾っても、アタシほどの美人じゃなければ、意味がないわね。おまけにドレスが似合わなければ、女をやめた方がいいわよね。 そんなところに例の賞金首が現れればいいんだけど・・・。
え?どうしてこんなところで例の賞金首と関係があるって?
実は、勢い余って出掛けようとした時、
「おーでかけですかー?」
エドが逆さ釣りの状態で現れた。
「決まってるんじゃないの。例の賞金首を取っ捕まえにいくのよ」
「そのじょうほうをしってるんだ」
「え?ちょっとエド、ホントに知ってるの?」
「ただし、おみあげかってくれたらね」
「エド、あの賞金首の情報はつかんできたの?」
いつものようにエドがコンピューターでハッキングをしている。
「エドね、きになったことがあるんだよ」
「気になることって、何なの?」
「テレビでみたことがあるけど・・・」
あの軟体動物の話を聞いていたら、肝心なことがいつになるのかわからない。
訳のわからんガキといい、口数が少ないもじゃもじゃといい、御託を並べるハゲといい、食べることしか能のない犬といい、全くどうしてアタシの周辺はロクな人間がいないのよ?そもそもは、そもそもは・・・。
あ〜、何かイライラしてきた。そこで煙草を一服。
ふぅ〜。やっぱイライラの時の一服は格別ね。
「じょうほう、めっーけた!」
エドが大声をあげるとアタシはマジマジとモニターを見入った。
例の賞金首の容疑は窃盗で、被害場所は火星の宝石店、レストラン、コンビニエンスストア、銀行とバラエティに富んでいて、1カ月にして被害総額は5000万ウーロン。かなりの被害総額の割には、賞金の額がちょっとコスいんじゃない?
「つぎにねらわれやすいのは、チャイナタウンでかいてんしたばかりのほうせきてん!」
ふふふふふふふふ。ならばやってやろうじゃない。
アタシが宝石店に入ってから10分後、自動ドアが開く。コロコロと音を立てながら、何かが転がってくる。
ソフトボール大の赤と白のボール・・・。まさか?
その時、
ピカーッ!
目がつぶれるほどの閃光を放ったかと思ったら、
シュー!
白い煙が店舗を包み込む。
ゴホゴホと咳き込みながら、
「一体何なのよ?!」
店員が叫ぶと、
「何だかんだと聞かれたら・・・」
「答えてあげるが世の情け」
作/平安調美人