コフィはこの仕事をを始めてからもう4年になるが、なかなか大物が捕まえられない。しかし、彼女はそれで満足なのだが…。
今回目をつけたのも中物の「アブドゥル・ハキム」という、希少動物保護観察指定動植物連続窃盗犯(これを見た時はすごいんだかすごくないんだか彼女は一瞬迷ったという)で、賞金は600万ウーロンだった。早速彼女は火星へ飛んだ。
火星についてからまずしたことは聞きこみ調査だ。…誰に聞こうか、と思っていると、妙な老人に話しかけられた。そこのオカマのねえちゃん、と。その老人は探し物を鳥を使って占ってくれるという。彼女は半信半疑でムッとしていたが、とりあえず占ってもらった。すると、探し物は近くの中華バーにあるという。彼女は礼を言いながらハキムの(整形前の)写真と500ウーロン渡しながら、こいつを見たら連絡して、おつりはいいわ、というような事を言いその場を立ち去った。
立て札には「占い一回500ウーロン」と書いてあったという。
そこら中の中華バーを探して回るコフィだが、さすがに21件目に入った時にはもうへとへとだった。そこで、次のバーで、休息しようと22件目のバーに入るとウーロンハイをたのみ(彼女は普段はよく飲む方だが、仕事中はウーロンハイと決めていた)一服ついた。
10分ほど経つと大男が大きなアタッシュケースを持ってバーに入ってきた。コフィそいつを見てとっさにこう思った。
「あ、あいつ!…わたしと髪形がそっくりだわ…。」
しばらくすると、鼻の赤い男が大男にぶつかって、何かを飲まされていた。彼女の場所は結構離れているので何を飲まされたのかは確認できなかったが、近くにいた薄い色眼鏡をかけた男がアタッシュケースを持ち去ったのはその時である。
大男はとっさにその男を追いかけるために、出ていった。コフィはきっちりした性格なのでとりあえずウーロンハイを飲み終えるまでその店を出ることは無かった。
しばらくして、まだ、中華バーをしらみつぶしに探しているとさっきのアタッシュケースを持ち逃げした男が店に入って行くところを偶然見かけた。看板には「アニマルトレジャー」と書いてある。動物専門店のようだ。そこに、また別の男が入っていった。そいつは青いスーツで髪の毛がもじゃもじゃしている男だった。コフィその男を見てとっさにこう思った
「あ!あいつ!…わたしに髪形が少し似てるわ…。」
気にせず次の中華バーへ行こうと思った時、その店の中から、
「整形のやりすぎで金が無くなったのか!?ハキム!」
と言うようなセリフが聞こえた。コフィは影に隠れその店の様子をうかがっていた。薄い色眼鏡の男がハキム…?整形した…?
少し立つと、もじゃもじゃ男が出てきた。なぜ出てきたのか考えていると、さっきアタッシュケースを盗られた大男がやってきた。そして、次の瞬間、その店からたくさんの動物が飛び出してきた。
今がチャンス!と思った彼女はドサクサにまぎれハキムを捕まえた。するとハキムは、なんでみんな俺がハキムだと思うんだ!このオカマめ!と言った。少しムッとしたコフィが薄い色眼鏡の男がハキムじゃないと気づいたのは5分後だった。
がっかりして歩いていると、さっきの占い老人の場所に来ていた。老人は探し物が見つからなかったことを表情から察知し、今一度タダで占ってやるぞオカマのねえちゃん、といった。ムッときたが、タダという言葉に負け、占ってもらった。すると、老人は川の橋のあたりだといった。その言葉を信じて川に沿って歩いていると水の中からさっきの大男が現れた。一瞬ドキッとしたが、その大男は、釣りをしていた少年達と何かを話すと少年達を突き飛ばして行ってしまった。
コフィは少年達に近寄ると、大丈夫?と聞いた。少年らは、オカマだァ〜!といって逃げて行った。彼女はかなりムッときたようである。
もう疲れたコフィは、とりあえずホテルを予約しておくことにした。そしてほどほどのホテルを見つけ部屋に入った。すると外から犬の鳴き声が聞こえてきた。何十匹もの声である。何かと思い外に出ると、一台の車の後にたくさんの犬がほえながらついていっている。そのあとを、大男ともじゃもじゃ男がおいかける。その時とっさに彼女はこう思った。
「あの、大男がハキムでは…!?」
思い当たるふしはたくさんあった。占いの老人が鳥を使って占った場所にことごとくいたし、目付きもそっくりだ。(この時、髪形が不自然だとは少しも思わないのは当然である)彼女は必死の追いかけたが、ハキムが結婚式場の車を奪った時点で追いかけるのをやめた。新郎、新婦は私を見て、今度はオカマが!と叫びそうだったので言われる前にその場を去った…。
その夜、コフィはウーロンハイを飲みながらTVを見ているとハキムと研究員がISSPに突っ込んだニュースを見て酒をウォッカに切り替えたという。
こうして彼女の1日は終わった。
作/りゅういち