誰でも出来るローカライザー作成講座 2000.01.31改訂
 ローカライザーとは簡単に言うと、元のアプリケーションを何の改変もすることなく下のイメージの様な感じで英語版のアプリケーションなんかを日本語表示させたり、ビットマップで描かれている絵を差し替えたりできる補助的なアプリケーションです。


 ローカライザーを利用するにはPalmOS英語版搭載機+J-OSIIIまたはWorkPad日本語版+山田さんが作成公開されておりますLocalize Hackが必要です。

 ローカライザー作成講座自体は下記にも記してある通り冨永さんによってすでに行われていますが、ここでは私のような初心者にも出来るだけわかりやすく、そして簡単に作成するまでの手順を記述していきたいと思います。なお、私自身はWindowsしか使った事がなく、以下は全てWindows98での話です。たぶんWindows95でも同様だと思います。他の環境は解りません。 (なお、冨永さんのローカライザー作成講座と重複する部分もあります。文章自体もコピーさせていただいて使っている箇所は多々あります。ご了承下さい。)

 さらに、ここで紹介させていただく手順はまったくの独学で勉強したものであり、本来の手順や、もっと効率が良い手順からはほど遠いかもしれません。ですが、一応ローカライザーはちゃんと出来上がります。

 最近では、Gaku TaniguchiさんがG-MkLocalizerというPalm上で簡単にローカライザーを作成するアプリケーションを開発・公開して下さっています。これなら通勤時間などのちょっとした空き時間に気軽に作業をできる点などなど、本当にすばらしいとしか言いようがありません。

 また、ローカライザー作成講座をして下さっている冨永さんと、J-OSシリーズを開発されローカライザーというシステムを確立して下さった山田さんに心からの敬意を表します。


では、これから実際の手順を細かく記していきます。
  1. 日本語化したいアプリケーションの選定
     まずはじめにローカライザーを作成するアプリケーションを決めます。初めから許可を得る必要はないとは思いますが(途中でやっぱりできない、なんて事もあると思いますしね。)ある程度目処が付いた時点で作者に連絡して許可をもらっておいた方が無用なトラブルを防げるでしょう。

     ソースファイルが公開されている場合を除いてローカライザーを作成するにはprcファイルを解析することが不可欠となります。特にパッケージソフトやシェアウエアソフトはリバースエンジニアリングと言われる解析を嫌う場合が多いので、必ず許可を得るようにして下さい。 「あなたのソフトの日本語版を作りたいんだ」という話をすれば、好意的に対処してくれると思います。

     今回の例では、山田さんが作成して下さったSampleアプリケーションに私が少しだけ手を加えたSampleアプリケーション2(sample2.zip)のローカライザーを作成します。

    以下は予備知識として、私が実際に海外の作者様から許可をいただけるまでのメールのやりとりを具体的に記したものです。

    海外製アプリのローカライザー公開許可までの道のり

     海外製アプリのローカライザー公開の許可を得るには、英語でのメールのやりとりは必須です。 しかも日本語版を作る場合と違って、海外の作者様はローカライザーというシステムやその思想なんかはご存じない訳ですから、そこから話を始めなければなりません。 実際にはもっと良い手順や説明があるかとは思うんですが、私の英語レベルではこれくらいで精一杯です。 海外製アプリのローカライザー作成にチャレンジされる方の参考になればと思います。

    • 私から作者様へのメール(* はターゲットアプリを示しています。)
      恥ずかしながら最初のメールでは、ローカライザーの説明には「日本語化パッチ」という言葉しか思い浮かびませんでした。
        --------
        Subject: Permission of opening to the public wish

        Hello.
        My name is Tetsuji Goto in Japan.
        Please permit sudden mail.
        I want to make the patch of making to Japanese of "*".
        "*" is not modified.
        (In short, "*" and this patch of making to Japanese are installed in Palm.)
        As a result, only an English resource part of "*" comes to be displayed in Japanese.
        (Menu, button, label, and character string, etc)
        And, I want to open it to the public.
        Of course, I support all patches.
        Therefore, the trouble is not put.
        There is no element that you become disadvantageous because of the appearance of this patch.
        Please permit the thing opened to the public if making the patch is completed.
        The user in Japan will increase further if permission is given.
        Please give me the answer when you examine this matter.
        A good answer is expected.
        --------
        件名: 公開許可願い

        はじめまして。
        私の名前は日本の後藤哲司と申します。
        突然のメールをお許し下さい。
        私は"*"の日本語化パッチを作りたい。
        "*"自体の改変はしません。
        (要するに"*"とこの日本語化パッチをPalmにインストールするわけです。)
        これにより"*"の英語のリソース部分のみが日本語で表示されるようになります。
        (メニュー、ボタン、ラベル、文字列など)
        そして、それを公開したいのです。
        もちろんパッチのサポートは、全て私が行います。
        だから迷惑はかけません。
        このパッチの登場で、あなたが不利になる要素はなにもありません。
        もしパッチの作成が完了したら、公開する事を許可して下さい。
        もし許可を下さったら、日本の利用者がさらに増えるでしょう。
        あなたがこの件について検討して下さったら、私に返事を下さい。
        良きお返事を期待しています。
        --------
    • 作者様からのメール
      やはり、1回目の私のメールでは説明が不十分だったようで(当たり前ですね。)、日本語訳に関する部分と、どういう理屈でリソースが日本語に置き換わるのかをもっと的確に伝えなければなりませんね。
        --------
        Thanks for the inquiry and request in the above email.

        Questions for you:

        1) Is the resource a direct translation (or as close as possible) from the English text to the Japanese text?

        2) Is the patch applied on the PC to the *.prc file, or is it applied somehow on the Palm unit?

        I think your idea above is an excellent, and I just want to verify that the contents of the patch are just translations of the English text to the Japanese text of the same meaning.
        --------
        問い合わせのメールありがとうございました。

        あなたへの質問:

        1) リソースは英文から日本語への的確な訳(もしくはできるだけ近い)ですか?

        2) パッチはPC上で*.prcファイルに組み込むものなのか、またそれはPalmデバイスでどのように扱われるのか?

        私はあなたの考えは素晴らしいと思います。私はパッチの内容が単に同じ意味の日本語テキストへの英文の翻訳であることを確かめたいだけです。
        --------
    • 私から作者様へのメール
      この説明はとても難しく、山田さんにアドバイスをいただきました。本当にありがとうございました。m(__)m
        --------
        Thank you very much for the reply immediately.

        A1)
        Yes, Japanese translation is faithfully done.

        A2)
        *.prc won't be modified both on PC and Palm device.
        I make *-localizer.prc which include Japanese resources.
        User will Install both of *.prc and *-localizer.prc
        English resource is overriden by japanese resources dynamically run time.
        I use a Localize Hack to do this.

        Can you understand above?
        A good answer is expected.
        Thanks.
        --------
        早速のお返事ありがとうございました。

        A1)
        はい、日本語訳は忠実に行います。

        A2)
        *.prcはPC上でもPalmデバイス上でも改変は一切いたしません。
        私は日本語のリソースを含んだ*-localizer.prcを作るだけです。
        ユーザーは*.prcと*-localizer.prcの両方をインストールするわけです。
        英語のリソースは、日本語のリソースによって常に動的に置き換えられます。
        これにはLocalize Hackというアプリを利用します。

        これでご理解いただけますでしょうか?
        良いお返事をお待ちしています。
        ありがとうございました。
        --------
    • 作者様からのメール
      だいたい上記内容でご理解いただけたようで、次のメールをいただきました。
        --------
        The process below sounds very good then here, as long as the Japanese translation is as faithfully done (as you indicate below).
        --------
        分かりました。(あなたがおっしゃる通り)翻訳が忠実に行われるのであれば、素晴らしいアイディアだと思います。
        --------
    • 私から作者様へのメール
      最後の確認です。
        --------
        Thank you very much for the reply immediately.

        It is glad to understand.
        Then, may I open this to the public?
        A good answer is expected.
        Thanks.
        --------
        早速のお返事ありがとうございました。

        ご理解いただきうれしいです。
        それでは、公開させていただいてもよろしいでしょうか?
        良いお返事をお待ちしています。
        ありがとうございました。
        --------
    • 作者様からのメール
      やりました!作者様より許可がいただけました。
        --------
        Yes, you may open the patch to the public.
        --------
        はい、公開していただいてかまいませんよ。
        --------
     私の場合ですと、こういう流れでした。
    実際には全くこの場合と同じようにはいかないでしょうが、皆さんの参考程度にでもなれば幸いです。

  2. 準備段階(サンプルとツールの入手)

    なお、上記ツール類などのアプリケーションの検索には、PalmGear H.Q.Handango!が非常に便利です。

  3. まずしなければならないのは、JDKのインストールです。
    とりあえずこの作業は無視して下さい。上記のようにjviewが安定しない場合はJDKをインストールして試してみて下さい。あとでインストールした場合は、インストールが完了した時点で一度PCを再起動して下さい。
    ダウンロードしてきたjdk1_2_2-001-win.exeを実行します。インストール先は例えばC:\JDKにします。あとは勝手にインストーラが行ってくれるので待っているだけです。インストール途中でJava Runtime Environmentをインストールするか聞いてきますが、これは何も考えずに次へのボタンを押せばいいでしょう。

  4. 次は、GCCのインストールです。
    ダウンロードしてきたwin32gcc050-1〜9.zipを解凍して出来たファイルを一つの適当なフォルダに入れておきます。
    で、setup.exeを実行します。インストール先は例えばC:\GCCとします。Setup TypeはTypicalでいいでしょう。あとはこれも勝手にインストーラが行ってくれるので待っているだけです。

  5. GCCのインストールが終了するとPCを再起動しますか?と聞いてきますので、ここで再起動しておきます。
    再起動が完了したら、c:\autoexec.batをメモ帳または普段お使いのテキストエディタで開いて見て下さい。
    以下は私のPCでの例ですが、赤字部分が追加されていればインストールは成功しています。
    C:\ C:\WINDOWS\COMMAND\ /NS /WIN95
    PATH=C:\ORAWIN\BIN;C:\PROGRA~1\JUST\JSLIB32;C:\jdk\bin;(←この部分はJDKをインストールした場合のみ)
    SET BLASTER=A220 I7 D1 T2
    REM [Header]
    @ECHO OFF
    loadhigh c:\windows\COMMAND\nlsfunc.exe c:\windows\country.sys
    
    SET PATH=C:\PROGRA~1\JUST\JSLIB32;"%PATH%;C:\WWW\PERL\BIN;";C:\GCC\BIN
    
    call C:\GCC\bin\instsh.bat \bin C:\GCC\bin\bash.exe \bin\sh.exe
    SET EMACSLOADPATH=C:\GCC\emacs\lisp
    SET EMACSPATH=C:\GCC\bin
    SET EMACSLOCKDIR=c:\temp
    SET INFOPATH=C:\GCC\info
    SET EMACSDOC=C:\GCC\emacs\etc
    SET EMACSDATA=C:\GCC\emacs\etc
    SET GCC_EXEC_PREFIX=C:\GCC\lib\gcc-lib\
    
    

  6. ptools-0.7.zipを解凍して出来た以下のファイルを例えばc:\loc\ptoolsに全て移動しておきます。
    classes.zip
    src.zip
    ptools.html
    ptools-e.html
    readme.txt
    

  7. pilrc22J.ZIPを解凍して出来た以下のファイルを例えばc:\loc\pilrcに全て移動しておきます。
    docフォルダ
    exampleフォルダ
    vslickフォルダ
    pilrc.exe
    Pilrcui.exe
    Readme.txt
    ReadMeJ.txt
    

  8. Prc2pilrc.tgzを解凍して出来た以下のファイルを例えばc:\loc\prc2pilrcに全て移動しておきます。
    拡張子がtgzの圧縮ファイルの解凍方法の詳細は統合アーカイバプロジェクトをご覧下さい。ていうか、ここはどう考えてもブックマーク確定でしょう。
    Prc2pilrc
    Prc2pilrc.html
    Prc2pilrc.jar
    Prc2pilrc.tar
    

  9. これで下準備は完了です。sample2.zipも解凍して、出来たsample.prcを例えばc:\loc\sampleに移動しておきます。

  10. では次にjviewまたはJDKを利用してsample.prcのリソースを取り出してみます。
    c:\loc\sample\sample.prcをc:\loc\prc2pilrcにコピーしておきます。
    以下の内容でc:\loc\prc2pilrc\prc2pilrc.batというバッチファイルを新規作成します。
    jviewの場合
    cd c:\windows
    jview /cp c:\loc\prc2pilrc\Prc2pilrc.jar rdc.Prc2pilrc c:\loc\prc2pilrc\sample.prc
    
    JDKの場合
    java -classpath Prc2pilrc.jar rdc.Prc2pilrc sample.prc
    
    c:\loc\prc2pilrc\prc2pilrc.batを実行します。
    しばらくすると以下のファイルが作成されます。
    sample.rcp
    Tbmp1000.pbitm
    Tbmp1100.pbitm
    

  11. ではこれらのファイルを覗いてみましょう。メモ帳または普段お使いのテキストエディタで開いて見て下さい。
    まずはsample.rcpです。
    これはリソースと呼ばれる、アプリケーションに含まれる文字列やその表示位置、またビットマップを定義するファイルです。このファイルの英語文字列を日本語文字列に置き換える作業と、表示位置の微調整がメインの作業となります。
    // Prc2pilrc 0.1 by Dick van den Burg (burg@is.ge.com)
    
    Form id 1000 at (2 2 156 156)
    Modal
    HelpId 1100
    MenuId 1000
    Begin
      Title "Sample"
      Button "Tap here!" id 1001 at (50 135 60 13) LeftAnchor Font 0
      FormBitmap at (44 16) Bitmap 1100
    End
    
    Menu id 1000
    Begin
      Pulldown "Options"
      Begin
        MenuItem "about Sample" id 1000
      End
    End
    
    Alert id 1000
    Confirmation
    Begin
      Title "Sample"
      Message "Sapmle Application for Localize Making."
      Buttons "OK"
    End
    
    Bitmap id 1000 "Tbmp1000.pbitm"
    Bitmap id 1100 "Tbmp1100.pbitm"
    String id 1100 "Help string for Sample"
    String id 1000 "Welcome to the Earth"
    ApplicationIconName id 1000 "Sample"
    Version id 1000 "1.0"
    

  12. 次にTbmp1000.pbitmです。
    これはランチャーで表示されるアプリケーションのアイコンファイルです。これは今回はローカライザー作成では使いませんので、削除してもらって構いません。
    --------------------------------
    --------------------------------
    --------------------------------
    --------------------------------
    --####------------------#-------
    -#----#-----------------#-------
    -#----------------------#-------
    -#----------------------#-------
    -#----------------------#-------
    -#----------------------#-------
    --####---###-####--###--#--##---
    ------#-#--#-#-#-#-#--#-#-#--#--
    ------#-#--#-#-#-#-#--#-#-#--#--
    ------#-#--#-#-#-#-#--#-#-####--
    ------#-#--#-#-#-#-#--#-#-#-----
    -#----#-#--#-#-#-#-#--#-#-#--#--
    --####--####-#-#-#-###--#--##---
    -------------------#------------
    -------------------#------------
    -#################-#-##########-
    -------------------#------------
    --------------------------------
    --------------------------------
    --------------------------------
    --------------------------------
    --------------------------------
    --------------------------------
    --------------------------------
    --------------------------------
    --------------------------------
    --------------------------------
    --------------------------------
    

  13. 次はTbmp1100.pbitmです。
    これはアプリケーションを起動した画面の中央少し上に表示されるビットマップファイルです。もちろんこれも置き換え可能で、今回はこのビットマップも置き換えてみますが、このビットマップを置き換えない場合は特に必要ありませんので削除してもらって構いません。
    ----------------------------------------------------------------
    ----------------------------------------------------------------
    ----------------------------------------------------------------
    ----------------------------------------------------------------
    -------------####-----------------------------------------------
    -------------#---#----------------------------------------------
    ------------##---#----------------------------------------------
    ------------#----#----------------------------------------------
    ------------#----#-------------------------------------###------
    ------------#----#-------------------------------------#-#------
    ------------#---#-------------------------------------#--#------
    ------------##--#------------------------------------#---#------
    -------------#-#-------------------------------------#--##------
    -------------###------------------------------------#---#-------
    --------------##------------------------------------#---#-------
    --------------##------------------------------------#--#---##---
    -------------#-#--------###------------------------#--##-####---
    -------#######-##----######--##--##-###----#-------#-##-##--#---
    ------##---#-#########---#--###-#-###-#----#-###---###--#--#----
    ------#---#-----##--#---##--#-##--#--##---#-##-#---##---####----
    ------#--#------#--##---#--#--#---#--#---#-#---#---##--###-----#
    ------#-##------#-#----##--#--#--#---#--###----####-####-#######
    ------##--------##----##--##-#---#--##-##########---------------
    -----###--------###--######--#--#---###-##-###------------------
    ----#--##------#--####-----------------##-----------------------
    --###----######------------------------#------------------------
    ---------------------------------------#------------------------
    --------------------------------------##------------------------
    -------------------------------------##-------------------------
    -------------------------------------#--------------------------
    ----------------------------------------------------------------
    ----------------------------------------------------------------
    

  14. 上記の通り、今回のローカライザー作成ではsample.rcpとTbmp1100.pbitmを置き換えていきます。
    以下からは詳細な説明と置き換え作業内容です。

  15. ではsample.rcpの説明です。
    // Prc2pilrc 0.1 by Dick van den Burg (burg@is.ge.com)
    ↑単なるコメント行です
    
    Form id 1000 at (2 2 156 156)
    ↑このフォームの番号と表示位置の定義です
    Modal
    HelpId 1100
    ↑このフォーム番号1000で右上のiをタップしたときに表示されるヘルプ番号です
    MenuId 1000
    ↑このフォーム番号1000で表示されるメニュー番号です
    Begin
      Title "Sample"
      ↑一番上に反転表示されるタイトルです
      Button "Tap here!" id 1001 at (50 135 60 13) LeftAnchor Font 0
      ↑このボタンの文字列と表示位置などの定義です
      FormBitmap at (44 16) Bitmap 1100
      ↑筆記体のSampleと書いてあるビットマップ番号と表示位置の定義です
    End
    
    Menu id 1000
    ↑上のフォーム番号1000が表示されている時のメニュー番号です
    Begin
      Pulldown "Options"
      ↑Menuボタンを押したときに一番上に表示されるタグです
      Begin
        MenuItem "about Sample" id 1000
        ↑Optionsタグをタップしたときに表示されるメニューの内容です
      End
    End
    
    Alert id 1000
    ↑about Sampleを選択したときに表示されるアラートボックスの定義です
    Confirmation
    Begin
      Title "Sample"
      ↑アラートボックスのタイトルです
      Message "Sapmle Application for Localize Making."
      ↑アラートボックス内に表示される文字列です
      Buttons "OK"
      ↑アラートボックスの一番下に表示されるボタン内の文字列です
    End
    
    Bitmap id 1000 "Tbmp1000.pbitm"
    ↑ランチャーで表示されるアプリケーションのアイコンファイルの定義です。
    今回のローカライザー作成には必要ありません
    Bitmap id 1100 "Tbmp1100.pbitm"
    ↑フォーム番号1000で表示される筆記体のSampleと書いてあるビットマップ番号の定義です
    String id 1100 "Help string for Sample"
    ↑フォーム番号1000で右上のiをタップしたときに表示される文字列です
    String id 1000 "Welcome to the Earth"
    ↑プログラム内から呼び出されて表示される文字列です
    ApplicationIconName id 1000 "Sample"
    ↑ランチャーで表示されるアプリケーションの名前です。
    ローカライザー作成には必要ありません
    Version id 1000 "1.0"
    ↑ランチャーで表示されるアプリケーションのバージョンです。
    


  16. それでは、このsample.rcpの翻訳と表示位置の微調整です。
    基本的にはダブルクォーテーションで囲まれた箇所(文字列)とカッコで囲まれた箇所(表示位置)がメインの修正対象となります。
    // Sample Localizer
    ↑自分のわかりやすいように適当なコメントに置き換えておきます
    
    Form id 1000 at (2 2 156 156)
    Modal
    HelpId 1100
    MenuId 1000
    Begin
      Title "サンプル"
      ↑日本語に置き換えたい部分を翻訳します
      Button "ここをタップ" id 1001 at (50 135 60 13) LeftAnchor Font 0
      ↑日本語の幅は1文字9ドットです。見やすく表示させるためには +4ドット必要でしょう。
      atの後の()内の数値は左上のX座標, Y座標, 幅, 高さとなっていますので、
      1, 3番目の数字と文字列の長さのバランスを取りましょう。
      FormBitmap at (44 16) Bitmap 1100
    End
    
    Menu id 1000
    Begin
      Pulldown "オプション"
      Begin
        MenuItem "サンプルについて" id 1000
        ↑各Pulldown項目の合計の横幅及びMenuItemの横幅が 160ドットを超えないように注意します
      End
    End
    
    Alert id 1000
    Confirmation
    Begin
      Title "サンプルについて"
      ↑ここも横幅が160ドットに収まるように気を付けます
      Message "ローカライザー作成用のサンプルアプリケーションです。"
      Buttons "了解"
    End
    
    Bitmap id 1000 "Tbmp1000.pbitm"
    ↑ランチャーで表示されるアプリケーションのアイコンファイルの定義です。
    今回のローカライザー作成には必要ありません
    Bitmap id 1100 "Tbmp1100.pbitm"
    ↑フォーム番号1000で表示される筆記体のSampleと書いてあるビットマップ番号の定義です。
    今回のローカライザー作成ではこのビットマップも置き換えてみるのでそのまま記述してありますが、
    このビットマップを置き換えない場合はこの行も必要ありません。
    String id 1100 "サンプルのヘルプ文字列を記述します。"
    String id 1000 "地球へようこそ"
    ApplicationIconName id 1000 "Sample"
    ↑ランチャーで表示されるアプリケーションの名前です。
    ローカライザー作成には必要ありません
    Version id 1 "1.0"
    ↑ランチャーで表示されるアプリケーションのバージョンです。
    ローカライザーではVersion id 1と定義して下さい
    
    あと、Tbmp1100.pbitmの置き換えですが、ここでは例えば下記のように修正しておきます。
    ----------------------------------------------------------------
    ----------------------------------------------------------------
    ----------------------------------------------------------------
    ----------------------------------------------------------------
    -----#-------#--------------------------------------------------
    -----#-------#--------------------------------------------------
    -#################----------------------------------------------
    -----#-------#--------------------------------------------------
    -----#-------#--------------------------------------------------
    -----#-------#--------------------------------------------------
    ------------#---------------------------------------------------
    ------------#---------------------------------------------------
    -----------#----------------------------------------------------
    -----------#-----##---------#-----------------------------------
    ----------#--------##------#-------------#----------------------
    ---------#----------------#-------------#-#---------------------
    --------#---------------##---------------#----------------------
    ----------------------##------###########-----------------------
    -----------------#####------------------#-----------------------
    ----------------------------------------#-----------------------
    ---------------------------------------#------------------------
    ---------------------------------------#------------------------
    --------------------------------------#------#--#---------------
    --------------------------------------#------#--#---------------
    -------------------------------------#-------#--#---------------
    ------------------------------------#--------#--#---------#-----
    ----------------------------------##---------#--#--------#------
    -------------------------------###----------#---#------##-------
    --------------------------------------------#---#----##---------
    --------------------------------------------#---#--##-----------
    -------------------------------------------#----###-------------
    ----------------------------------------------------------------
    


  17. 修正し終わったsample.rcpとTbmp1100.pbitmをc:\loc\pilrcにコピーしておきます。
    次にc:\loc\build-prcというフォルダを新規作成します。
    c:\GCC\m68k-palmos-coff\bin\build-prc.exeを先ほど作成したc:\loc\build-prcにコピーしておきます。
    (GCCのインストールはこのbuild-prc.exeを取り出すためだけに行った事になります。必要でないならGCC自体はアンインストールして構いません。)
    続いて、以下の内容でc:\loc\pilrc\pilrc.batというバッチファイルを新規作成します。
    pilrc -J sample.rcp c:\loc\build-prc
    
    c:\loc\pilrc\pilrc.batを実行します。
    しばらくすると以下のファイルがc:\loc\build-prcに出力されます。
    MBAR03e8.bin
    Talt03e8.bin
    Tbmp044c.bin
    tFRM03e8.bin
    tSTR03e8.bin
    tSTR044c.bin
    tver0001.bin
    

  18. ここまできたらもう一息です。
    以下の内容でc:\loc\ptools\ptools.batというバッチファイルを新規作成します。
    jviewの場合
    cd c:\windows
    jview /cp c:\loc\ptools\classes.zip ptools.ShowDatabase
    
    JDKの場合
    java -classpath classes.zip ptools.ShowDatabase
    
    c:\loc\ptools\ptools.batを実行します。
    しばらくするとptoolsが起動してウィンドウが開きますので、File→Open...からc:\loc\sample\sample.prcを選択します。
    以下のcreator = 'strt'.の部分が次の作業で必要になりますので覚えておきましょう。

  19. さて、いよいよローカライザーを作ります。
    以下の内容でc:\loc\build-prc\build-prc.batというバッチファイルを新規作成します。
    build-prc -t strt sample-loc.prc "Sample Localizer" JLoc *.bin
    
    c:\loc\build-prc\build-prc.batを実行します。
    しばらくするとsample-loc.prcが作成されます。
    これでローカライザーのファイルが完成です。

  20. sample.prcとsample-loc.prcを各種インストールプログラム、ホットシンクを使ってお使いのPalmOS搭載機にインストールして下さい。
    インストール後、PreferenceのJ-OSIII→ローカライザー...でSample Localizerがインストールできていることが確認できます。


    Preferenceの「ローカライザー」を「有効」に設定して下さい。

    以上の設定してSampleを起動すれば日本語化+ビットマップが置き換えられているはずです。
    以下のイメージのように置き換わっていますか?









おめでとうございます。
ちゃんと置き換わっていれば、これでめでたくローカライザーの作成は成功です。
どうでしたか?この説明でわかっていただけるでしょうか?うむぅ〜
ともあれ技術的には結構簡単に作成することが可能です。
実際の作業では、ほとんどの場合、今回のサンプルよりもただリソースが多いだけです。なのであとはやる気だけの問題です。
あなたがいつもお使いになっているアプリケーションをぜひとも日本語化してみませんか? 私もまだまだ頑張ります。お互いに頑張りましょう。
補足
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