ゲーム機エミュレータは違法か



エミュレータとは

他のハードウェアをソフトウェアで再現するものがエミュレータです。一般にハードウェアによる処理速度はソフトウェアによる場合に比べ、非常に高速であることは、パソコンを少しでも勉強されたならお分かりでしょう。従って、エミュレータを動作させるためには、実機(エミュレーションされる側のハードウェア)に比べ圧倒的な性能を要求されます。これは、高価なパソコンを使用しなければならないことを意味します。

ゲームなどのソフトがなければハードをエミュレーションさせてもほとんど意味はありません。最近はエミュレータで動作するゲームを自作している方もあり、特別なハードを使用しなくてもゲームを公開できるようになりました。



エミュレータに違法性はあるか

ハードウェアのコピーは違法性が高く、海賊版とかニセモノと呼ばれます。ソフトウェアをコピーした場合は確実に違法です。このコピーとは、元と同一のプログラムコードを含む場合であって、類似しているだけでは違法になりません。

IBM PC/AT発売時OSに採用されたのはMicrosoft社のMS-DOSでした。このMS-DOSは他社のOSを模倣(同一コマンド同一機能)したもので、当然裁判になったものです。これは同一ハード上で動作するものなので、エミュレータではありませんが、同一機能の実現を異なるプログラムコードで実現することからパソコンの歴史が始まったことになります。第一、WindowsもMacOSに似ているのは誰でも知っていますし、Windowsで動作するMACエミュレータも、Macで動作するWindowsエミュレータも存在します。

つまり、ハードウェアが異なるため、同一ソフトは動作しないためコピーではないため、エミュレータに違法性はありません。ただし、ゲームソフトのコピーはバックアップの域を越えると違法です。ゲーム機の場合、コピーしたソフトはコピープロテクトにより動作しないでしょうから、バックアップする理由は存在しないでしょう。まして、ゲームのコピーをインターネットで公開することは本人も含め、誰もが違法であると感じているのではないでしょうか。

エミュレータが、ソフトの違法コピーを助長する可能性を否めないのも事実です。これについては今後考えていく必要があります。



ソフトの違法コピー

ソフトウェアのコピーを配布することは違法です。バックアップを禁じて使用許諾とするものもありますが、一般的には、正規ユーザがひとつだけバックアップを所持するだけで、配布しないなら咎められないでしょう。その範囲を超えるコピーが「違法コピー」と呼ばれるものになります。

違法コピーソフトを配布することは、有料無料にかかわらず違法ですし、交換も違法です。海外から、違法コピーソフトを国内に持ち込むこともできません。市販ソフトのコピーまで存在しますから、ソフトメーカは対策に追われることになります。その費用は当然製品価格に上乗せされるでしょうから、購入しているユーザにはたまったものではありません。これについては早急な対策が必要です。



中古ソフト販売は違法か

中古ソフト販売を違法とする判決がありましたが、これは誤りです。映画(ビデオ)にはレンタルが存在していますが、ソフトにはありません。使用済みのレンタルビデオは販売されていますし、何を以って違法としたのか裁判官の見識を疑います。例の経歴詐称疑惑告発でも、一般常識とはことなる判断が司法当局にはあるようです。法を護る人たちに江戸時代のような「お目こぼし」があるようですが、それなら「三方一両損」のような大岡裁きも欲しいものです。

コピーではない「本物」を買った人が「自分の資産」を「再利用:リユース」に廻すことは権利というより義務です。そうれなければメーカは「再処理:リサイクル」のために「回収」しなければならないでしょう。日本型消費経済構造を改めるのは缶やペットボトルだけではないのですから。

不可思議なことに、新品ソフトの価格が中古ソフトより安い場合があります。もちろん仕入れ価格からの値入ですから起こり得ますが、中古販売業者の意識改革が必要であることも明白です。メーカは新品販売業者に圧力をかけ、中古販売をさせないようにしていますが、これは違法です。中古を適切に扱えるような方策をメーカが考えて欲しいものです。



メーカ側の怠慢

ゲーム機メーカはパソコン用のエミュレータを販売していません。パソコンがこれだけ普及し、エミュレータも存在する今、メーカは逆にビジネスチャンスと捉えるべきです。確実なコピープロテクトをエミュレータ・ゲームソフト双方に施し、販売すべきでしょう。例えば、USBに装着する小型のハードウェアキーを実機の半額以下(ハードが不要なため)で販売すれば、ゲームソフト開発も裾野が広がっていくでしょう。また、カセットを装着できる形状であればもっといいのではないでしょうか。

いずれにしても、有料のエミュレータが存在している事実から、メーカはそれを阻止するのではなく、「本物のエミュレータ」を開発すべきです。

ゲーム機ではありませんが、特に、PC98シリーズによって日本のパソコンシェアを長年独占してきたNECは、AT互換機における(Win上が望ましい)PC98エミュレータを開発する義務があるのではないでしょうか。筆者は98/V(エプソン)を購入したことがありますが、例えばこれをエプソンと共同開発にして配布してはいかがでしょう。ちなみに、筆者が買ったのは初期のWin95以前のバージョンで、パソコンも非力であったため、使い物になりませんでしたが、先日Anex86を試したところ、意外に動くのに驚きました。98/Vもバージョンアップして試してみようかと思っています。




トップページへ