オーパーツと考古学



オーパーツとは

オーパーツとは、場所や時期的にふさわしくない物を表す造語である。

大昔に存在するはずがない発掘物や、現存する不可思議なものなどである。前者には、クリスタル製の頭蓋骨やスペースシャトルのような飾り物などであり、後者には錆びない鉄塔や多数の球体石などがある。

オーパーツがオーパーツたる所以は、人類の歴史やこれまでの定説に基づいて判断されているものである。

クリスタル製の頭蓋骨はいくつか発見されているが、これらに問題になるのは、その形成における手法である。いかにして、硬いクリスタルを削り、輝くように仕上げたかである。現在なら可能であることも、大昔には困難であったと推測できる。

直径が数十センチから数メートルの球体の石は、誰が何のためにどうやって作ったのかが問題となっている。中心部に金があると噂され破壊されたものも多いが、何もないただの岩石であった。

他にも多数のオーパーツが存在している。

しかし、全てを受け入れるわけにはいかない。

なぜなら、定義から間違っているためである。



定義の間違い

定義をもう一度見てみる。

「人類の歴史やこれまでの定説に基づいて、場所や時期的にふさわしくない物がオーパーツである」である。

この中に、問題があるのだ。おわかりだろうか。

人類の歴史とは何か。

それは、ヨーロッパ・アメリカの白人社会の歴史によるものである。彼らの歴史では、アメリカ大陸は数百年前には存在しなかった。そういう人々による文明判断でしかないのだ。歴史や文明の判断において、白人至上主義による、白人以外がそれ以上の文明を、白人以上の早期に持つはずがないという論理によるのである。明らかに間違いである。

定説が正しく、それを盲目的に信じるという人々もいる。日本でも、「それが定説です」という決まり文句でお茶を濁した集団がいた。定説とは、多くの学者により現時点で最も支持されている説のことであり、それが真実であると決められるものではない。例えば、天動説と地動説がある。以前は天動説が定説であったが、現在はそうではないのは子供でも知っている。地球と月の成り立ちでは、ジャイアントインパクト説が有力であるし、6億年前に地球は氷に覆われた氷球となったのも多く支持されている。これらは、たった数十年前までは存在しなかった説であり、現在も有力な説であって、定説には至っていない。

大昔には技術がなかったから、存在するのはおかしいというが、ピラミッドですら、その正確な建造方法が解っていないのに、その数千年後に作られた物をオーパーツとしているのである。

だから、白人との歴史が浅い地域にオーパーツが多く存在しているのである。



発掘の間違い

発掘は考古学の鍵である。

通常、発掘に捏造はなく、それが発掘された周囲の状況や、C14などによる年代測定により年代を推定するのである。

しかし、捏造は多い。

先に示した、クリスタル製の頭蓋骨について発見の経緯を見てみよう。

冒険家のある男は、南米において発掘をしていた。彼の養女の17歳の誕生日に、その娘が瓦礫の下からクリスタル製頭蓋骨の上半分を発見した。その数ヵ月後、その発見現場からわずか7メートルの地点から、またも彼女が下あご部分を発見したのである。

まさか、発掘は彼女だけで行っていたのだろうか。

普通、発掘中にそれだけの物が見つかったら、その周囲は詳細に調査するはずである。昨年、発掘捏造が発覚した日本のアマチュア考古学者もそうである。すでに発掘されている部分をちょっと掘ると大発見があるのであるから、ゴッドハンドと呼んだ人には申し訳ないが、素人目にもペテン師だと解る。それに似ていないだろうか。

明らかにフェイクである。

スペースシャトルに似た造作物も、筆者の第1印象では、昆虫に見えた。よく見ると、鳥やトビウオのような魚にも見える。恐竜のような造作物も発掘されている。これら両者に対しての見解は、現在のスペースシャトルや恐竜復元予想に基づくものであり、それらを作成した文明のことは考えていない。つまり、彼らの宗教をはじめ、生活や文明が不明であるのに、オーパーツと断定しているのである。

宗教において、特異な形状の造作物を持つことは多い。南米にワニやトカゲの怪物を考えた人がいても不思議ではないし、イグアナを模しただけでも恐竜になる。人類が最初に発見したのは、イグアノドンであり、そのデザインはイグアナを模したのであるから、似ていて当然だといえる。

太陽信仰や星を崇めることも多い。星の位置や太陽の昇る位置は、季節により決まっている。その位置により、雨季や乾季が訪れるのだから星に不思議な力を感じたことだろう。西洋占星術はそれらから発展したものである。従って、空には不思議な力を感じただろうし、空を飛びたいとも考えただろう。大抵の民族において、神は天にいて、その使いたる者は空を飛ぶのである。民族によっては、牛が神の使いだったり、フンコロガシが太陽の使いだったりするのである。キメラ(キマイラ)と同様、いくつかの生物から想像することも人類には可能である。大昔にスパースシャトルを模したと考える方が不自然なのだ。

もちろん、全てがフェイクではない。

どうやって、石を積み上げたか、どうやって石を球体に加工したのかなど、不明な点が多い。

それらは、それを作った文明の詳細と、作成方法を科学的に検証すべきであって、不思議なオーパーツで片付けるのは卑怯ですらある。

神の仕業とか、宇宙人や未来人(タイムマシンで訪れた)だとするのも不可である。

そして、最も問題なのは、白人至上主義的発想なのである。

オーパーツは、彼らの陳腐な発想の賜物にすぎない。




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