人間に地球は優しいか



地球の定義

今更の感はあるが、地球とは何だろう。

『様々な動植物を育み、人類の文明を誕生させた、母なる大地、地球』

江守徹か森本レオのナレーションをイメージして読むと、更にもっともらしい。

人がこの星を考えるとき、天体のひとつであるただの惑星を擬人化し、神格化させていることがわかる。ギリシャ神話の地母神ガイアのように、女性としてのイメージを人類は持ってきた。それは地球から生まれ、地球によって育まれたからなのかもしれない。

運命論者や神学者は否定するだろうが、人類を含めすべての地球生活者がパラサイトであることは明白である。地球はこれらの発生を望んではいないだろう。人類は、勝手に地面を掘り起こし、コンクリートの塊で地面を塞いでいるのだ。迷惑この上ない。

最も重要なのは、「地球に優しい」というのは、「地球に人類が住む環境を維持するのに必要だ」という意味であり、「地球のためにはなっていない」ということである。大気組成やオゾン層は地球には当初存在しなかった。生物が酸素を放出してできたものなのであるから、大環境破壊ともいえる行為だったのだ。酸素が減り、メタンや亜硫酸ガスが充満してこそ、元の地球に戻るのである。どうせ地球を擬人化するなら、最初まで考えて欲しいものだ。

もっとも、地球に人格があれば、「勝手にしろ。おれも勝手にする」であろう。協力体制はおろか話し合いにも応じてくれなさそうである。

地球とは、単なる惑星であり、勝手に住んでいる生物に責任を負うことはない。運命といえるものは、地球や太陽はある程度の未来が決まっていることである。長期には太陽の変動や寿命があり、短期にはプレート変動や平均気温の変化がある。けっして優しくはない。



大気汚染

大気は汚染されていく。

本当に汚染なのだろうか。

原始大気というのをご存知だろうか。生命が誕生する前の、生まれたままの地球の大気である。それは地球内部から発生した気体である。それを生物が現在のように変えたのだが、生物が消え去れば、原始大気に戻って行くのが自然である。これを阻止しているのは、植物であり、森林や海洋の植物プランクトンなどである。森林の破壊や海洋汚染はその防波堤としての役目を阻害するものなのだ。

現在一番大気を変化させているのは、言わずもがな、人類である。化石燃料の消費は固定化した二酸化炭素を放出させるし、フロンなど人工的物質はオゾン層を破壊する。

油田などで、余剰な天然ガスはその場で燃やしている映像を見たことがあるだろう。もちろん、そんなものをそのまま大気中に放出されては困るが、燃やしていいのだろうか。大量の天然ガスを不要だからという理由で、何に利用するでもなく水と炭酸ガスに変えているのである。大気は確実に汚染されている。

大気汚染で深刻なのは、炭酸ガスによる気温上昇である。その温室効果により平均気温が確実に上昇している。

雪国、新潟に住んでいて感じるのは雪が減ったことである。昔は1・2月に雨は降らないものだったが、最近は降るのである。原子力発電所からの温排水による日本海の海水上昇もあるだろうし、2酸化炭素の温室効果による気温上昇もあるだろう。子どもの頃に『日ごろの行いがいいと雪が少ない』と先生に言われたが、違っているようである。

夏が暑いのは困るが、冬暖かいのは大歓迎である。もう少し気温が上昇して欲しいくらいだが、そう暢気には構えていられない。気温が上昇すると、その先には冷却が待っているのである。



気温が上がると、気温が下がる

矛盾しているようだが、そこには時間経過が存在している。

「風が吹くと桶やが儲かる」のは途中に必然性がないため現実的ではないが、「気温上昇が地球冷却に繋がる」のは在り得る話なのである。なぜなら、以前にもあったからだ。

気温上昇のプロセスはこうだ。

1. 気温が上昇していくと、雪や氷が解ける。ロシアのツンドラ地帯は氷の大地であるが、それも解け始めている。氷河が短くなり、万年雪も消えて行く。北極や南極の氷山も解けていく。

2. その結果、海面が上昇し、人類の多くが住む海沿いの平野は水没する。

3. 当然、人間は水没する前、水没しない地点に移り住む。
そこは山間であり、森林を伐採し土地を確保しなければならないし、新たに建物を建てるには木材やコンクリートが必要となる。
重機が日夜稼動し、アスファルトで道路は舗装されていく。道路が通り車が往来するようになると、道路沿いの森林は腐食されてしまう。

4. その結果、森林は減り、更に気温が上昇していく。1.に戻る。

これらは既に警告されているし、現実になっているものも多い。

では、なぜ温まった地球が冷えるのだろう。そのプロセスである。

1. 温まった大気により、ツンドラ地帯、グリーンランド、万年雪や氷河などが解ける。北極や南極の氷山も解ける。

2. 解けた水が海面を上昇させるが、反面、南極をはじめ、今まで氷に覆われていた地表が顔を出す。

3. 地表は大気から2酸化炭素を吸収する。

4. その結果、2酸化炭素の温室効果が減り、地球は冷えて行く。
間氷期が終わり、氷河期となる。

元に戻るのではない。気温が下がるのである。

うまく氷が張って、地表を覆ってくれれば2酸化炭素の吸収が抑制され、平衡を取り戻せるかもしれない。もし、そうならなかったら、更に冷えて行くのである。

最新の学説では、地球は約6億年前に氷に覆われていた。そのプロセスが上記である。そこまで行かなくても、極最近に氷河期があったことは常識である。現在は間氷期であるといわれているが、それが終わるだけなのだ。

人の寿命からみれば遥かに遠いが、人類の歴史からみると迫ってきているのである。

蛇足ながら付け加えると、温暖になるほど、文明の中心が北になり、寒冷になると南に下がるそうである。エジプト、ローマ、ヨーロッパと文明の中心が北上してきたのは、生活に適した気温でこそ、人類が活動しやすいからだという。

とりあえず、海抜の高い田舎暮らしを考えられては如何?




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